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10話 幼女達と遊ぶ幼女

「おはよう、ヤヨイ様!

 様子を見に来たんだが、

 この家の改装はたまげたな!!」


 村長が表に出た俺に声をかける。

 どうやら新しくなったソイネ家を見に来たらしい。


「あのボロ家が!?」


「すごい! たった1日でキレイに!」


「ウチの家も頼みたいなー!」


 集まった村の皆が驚嘆している。


「村長がみんなを集めたんですか?

 見世物小屋じゃないんですよ」


「違えよ。

 昨日から、見慣れない家が突然現れたって噂になってたんだよ。

 俺が様子を見に行くからって言ったら皆ついてきてな」


「やっぱり村長が連れて来たんじゃないですか」


「まあ、それよりも。

 これならいつ母親が戻っても問題ないな」


「ええ、ですが。

 もう少し村長の家で休ませてあげてください。

 今戻って来たら無理して働きそうですし」


「ああ、そのつもりだ」


「ありがとうございます」


「村長さん、

 ありがとうございます!」


 家から出てきたダリアちゃんが、村長との会話を聞いて頭を下げる。


「おっ、ダリアちゃん。

 なんかいつもより元気そうだな!」


「えっ!?」


 村長の相手をダリアちゃんに変わってもらおうと家に帰ろうとしたら。


「「「ヤヨイ様!!」」」


 村の女の子に囲まれてしまった。


「いっしょにあそぼーよ!」


「あそぼーあそぼー!」


「あたし、ヤヨイ様とおはなししたーい!」


 おう、女の子達の圧がすごい!


「ヤヨイ様、俺達大人は村の修復と柵の強化の作業があるからな。

 子供達と遊んでやってくれないかな。

 ソフィアも頼む」


 大人達は家の外観を見学すると仕事に出かけた。

 信頼されたのか子守を押し付けられたっぽい。


 男の子達も離れた所からこっちを見ていたが、興味が無いので無視する。


 残った幼女達はソフィアちゃんとダリアちゃんも入れて全部で8人。

 背が高くて年上かな、って思う子が2人いる。


「僕は、リーン=アップルビー。

 よろしくな!」


 一番背が高い、褐色の肌と藍色の髪のスポーティな少女と握手する。

 胸もちょっと年上っぽく膨らんでいる。


「こっちからアドリアーナ、カリタ、ローズとリリー、セシル、ジュリア、村長の子のソフィア」


 リーンが背の高い順で紹介して、それぞれ頭を下げる。


「よーしじゃあみんなで遊ぶか!」


「「「わーい!!」」」


「ダリアちゃんもね」


 家に入ろうとするダリアちゃんの手を捕まえる。


「えっ!?

 私は家の事しなきゃ……」


「真面目か!

 今日は皆で遊ぶのが仕事」


「仕事……」


「ダリアと遊んでいいの!?」


 リーンが驚く。


「なに?

 ダメとか言うなら私も遊ばないから!」


「違うよ、

 彼女はいつも家の手伝いしてるから誘いたくても誘えないんだよ!」


「はぅぅ……」


「私もダリアちゃんと遊びたい!」


 2番目に背の高いアドリアーナちゃんがふわふわ髪を揺らしてダリアちゃんの手を取る。

 彼女は大人ほどではないけど胸が大きい、ロリ巨乳!


「昨日約束したでしょ」


「一緒に友達をつくる?」


「そうそう、だから行こ!」


 近くの原っぱに行って、抱きつき魔のソフィアちゃんから逃げていたら自然と「鬼ごっこ」の流れになった。

 皆スカートが翻るのを気にせずに全速力でかける。

 ローズとリリーは水色のおかっぱ髪の双子でいつも手を繋いで走る姿が微笑ましい。

 二人はお揃いのかぼちゃパンツ。

 小さい子の中にはパンツを履いてない子もいる。


 小さい子がオニになると大きい子はワザと捕まる。

 そしてゆっくり走って追いかける。

 優しい世界。


 もちろん俺は力を最小にセーブして走る。

 きっと全力で走ると少女達の目で追えなくなる速さになる。


 俺がオニになると、タッチするだけではつまらいので。

 お道化て抱き着いて捕まえる。

 うん、親睦を深めるためだからしょうがない!


 そのうち皆も真似をして抱き着いてくる。

 抱いて抱き着かれて。

 幼女同士だから全然問題無い!


 鬼ごっこに飽きて、次に何で遊ぶ? となった。

 リサーチしてみると子供達が知ってる遊びの数が極端に少ない。

 この村は大人も子供も娯楽が少ないんだ。

 だから家が新しくなったぐらいで大騒ぎになる。


 ということで。

 レトロな子供の遊び「ケンケンパ」を提案、実演しながら説明する。


 マス目を地面に書いて連ねて通路をつくり、そのマス目を片足飛びと両足着地とを繰り返して踏んでいく。

 最初に石を投げて、石があるマス目を踏んだらアウト。

 石を避けて行って帰って往復するんだけど、帰る時にしゃがんで投げた石を拾わなければならない。


 スカートの村の幼女がジャンプしたり、しゃがんだりして遊ぶ。

 皆が夢中になっている姿を眺めて楽しむ。


 ダリアちゃんは運動が苦手みたい。

 走るのも遅いし、ケンケンパもすぐ失敗する。


 空が朱に染まる頃、年長2人とダリアちゃん以外は寝転んだ僕にしがみついて昼寝を楽しんでいた。


「あのー動けないんですけどー」


「ふふっ、みんなヤヨイちゃんが大好きなんです」


 ふんわり笑うお姉さんキャラのアドリアーナ。

 ここの少女達には「ヤヨイちゃん」と呼ぶように約束した。


 みんなやっぱり体臭が少し強い。

 けど甘美な香りでもある、幼女限定。


 そのうち一人、また一人と親が呼びに来て帰って行く。


「「またねー」」


「うん、またね!」


 最後にリーンとアドリアーナが帰るのを見送る。


「さてと」


 ダリアちゃんの方にふり返る。


「ダリアちゃん、立てる?」


「あ、うん、ええっと……。

 久しぶりに運動して疲れてしまいました」


 彼女の腕をつかむ。

 なんて細い。


「ダリアちゃんはもっと栄養を取って、体力を付けなきゃ」


「もう少し休んだら立てます……きゃっ!!」


 ダリアちゃんをお姫様だっこで持ち上げる。

 そして家路を歩く。


「あのっヤヨイちゃん降ろしてくださいっ!

 一人で歩きますから!」


「だーめ。

 今日はこのままベッドに寝てもらいますよー」


「でも食事の用意が」


「今日は私の下手な料理でガマンしてね」


「もう大丈夫です!」


「ダリアちゃんの身体はね、

 お母さんの看病と、お母さんと同じ病気にならないように魔法で守って。

 それで弱くなってるんだ」


 夜中に寝顔を眺めてる時に見たんだ。

 ダリアちゃんが無意識で自分に治癒魔法をかけているのを。

 劣悪な環境のせいで回復術師になってるなんて皮肉な話。


「もしヤヨイちゃんが家に来てくれなかったら……。

 いつかママと同じ病気になっていたのかな」


「多分ね」


「じゃあヤヨイちゃんはママと私の恩人です!」


 あれ、そんな恩着せがましい事を言いたかった訳じゃないけど。


「いつか恩返ししたいです。

 私に出来ることがあったら何でもいってください!」


 ダリアちゃんが俺の肩に頭を預ける。


「じゃあ帰ってすぐ寝てくださーい」


「むーっ、やっぱりヤヨイちゃんは意地悪です!」


 ほっぺを膨らまして怒るダリアちゃんも可愛いよ!


「あっ」


「ど、どうしたのダリアちゃん?」


 細い腕を上げて家の二階を指さす。


「お布団、出しっぱなしでした……」

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