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神神鳥蝶悪竜撃滅  作者: 雪銀かいと@「演/媛もたけなわ!」コミックシーモア等で連載中
第三章 総力戦と致命禁断の詠唱

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10話

オーバーラップ文庫一次通過しました。

       10


 ファルヴォスが舞い始めた。竜旋棍から黒炎波が射出される。間断なく四方八方に死の炎がまき散らされていく。

 ユウリは風扇を生成。片手であおいで風を起こし、炎の波をいなして躱す。

 少し先では、カノンが徐々にファルヴォスに近づいていた。ユウリのように異能力は使わず、純粋な見切りで避け続けていた。

「ユウリ君!」黒炎波をしゃがんで回避し、カノンはぴしりと言い放った。

「おう!」ユウリは即答し、雷槌(らいつい)を小振りした。雷が飛んでいき、カノンの黒黄刀に命中。するとバチバチと雷光を帯び始めた。

 黒黄刀は神鳥聖装(セクレドフォルゲル)由来。ゆえにその材質は特殊であり、電気を吸収して威力を増す性質があった。ただ一つ間違えればカノンが感電する、諸刃の剣の技だった。

 カノンがファルヴォスに急接近。斜め下から斬り上げる。神速の一撃。だが。

 黒炎がファルヴォスを包んだ。黒黄刀は防がれる。それでも、斬撃が当たった箇所にわずかに隙間ができた。

 ファルヴォス、竜旋棍を一閃。しかしカノンの反応も速い。刀の柄で棍を弾いて、身体への致命打を免れる。

 反動でカノンは後退していく。ファルヴォスは竜輪を飛ばす。

 金髪の男子が割って入った。両拳に取り付けた小盾で弾き軌道を変える。

(炎の壁が破れた? 高威力の技なら突破もできるのか?)

 ユウリは思案しつつ、雷槌(らいつい)を縦横に振るった。雷が四筋、ファルヴォスへと飛んでいく。

 またしても黒炎に阻まれた。それでもファルヴォスの気は引けた様子で、カノンたちは安全域へと移動できていた。

「ユウリ! できたぜ! あと十秒ちょいでブッ放す! そいつと戦い続けて、必殺の攻撃が躱されないようにしてくれ!」

 シャウアの必死そうな声がした。

「巻き添えは大丈夫なのかよ!」ユウリはファルヴォスから視線を外さずに答える。

「俺を誰だと思ってんだ! その心配はねえ! ユウリたちばっか矢面に立たせて悪りいが、もうちょい堪えてくれ!」

 力強いシャウアの返答を受けて、ユウリは雷槌(らいつい)を消して水盾(すいじゅん)を手に取った。意を決し、翼を羽ばたかせてファルヴォスへと接近する。

 シャウアの指示が聞こえていたのか、他の生徒も一斉にファルヴォスにかかっていった。

「羽虫ドモガ! 頭ガ高イゾ!」

 ファルヴォスが怒鳴った。竜旋棍を恐ろしい速度で振り回す。

 黒炎波が全方位に飛んだ。これまでとは比べものにならない数だった。

 生徒たちは各々の神鳥聖装(セクレドフォルゲル)でやり過ごそうとするが、凄まじき猛攻に次々と撃破されていく。

 水盾(すいじゅん)で防ぎ、風扇で逸らし、ユウリは徐々にだがファルヴォスに近づいていった。少し遠くではカノンが、神がかった身体の捌きで炎を避け続けていた。

 ファルヴォスの目の前まで至った。右手竜旋棍の一撃が来る。読んでいたユウリは水盾(すいじゅん)で防いだ。

 間髪入れずにファルヴォス、もう一本の竜旋棍を振るった。

 ユウリ、風扇で応じる。一瞬つばぜり合いになるが、「がっ!」激痛が生じる。

 竜旋棍がこめかみにぶち当たった。恐ろしい力に堪えきれず、風扇による防御は突破されたのだった。

 かすむ視界の端で、ファルヴォスが右の竜旋棍を構えた。今度は何の障害もなしだ。頭への一閃。ユウリは反射的に目を閉じた。

 ガキン! 金属音がした。一本の刀が竜旋棍とユウリの間に割り込んでいた。ユウリは持ち主に視線を向ける。

 カノンだった。鬼気迫る表情でファルヴォスを睨んでいる。

「カノン!」ユウリは叫んだ。

「させません! させるはずがないのです!」悲痛な口調でカノンは吠えた。丸く愛らしい瞳は決意に燃えている。

「よし、準備はバッチリだ! そんじゃあ行くぜお前たち! 高らかに、勇壮に、誇りを持って唱えろ!」

 シャウアが元気いっぱいに怒鳴った。ユウリはそちらへ目を向ける。

 蝶翼を身につけた十人ほどの生徒が、真剣な表情で立っていた。そして、一斉に息を吸い込んで、唱えた。

「「摂理(エデン)の真性は聖にして貴。されど神敵、暴悪なれば、邪に染まりても其を滅す。出でよ、黒神蝶!」」

 声が響き、空気に溶けていった。するとユウリたちの頭上に透明の何かが現出し、実体化した。

 全身が黒の一羽の蝶だった。威風堂々たる翼を小さくはためかせている。

(まさかあれは! 神代(かみよ)の戦の!)ユウリが絶句する一方で、黒神蝶を呼び出した生徒たちはほぼ同時に両手を組み祈り始めた。

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