第8話 長い夜の終わりと朝
「ルーク・・・わたくしあなたのこと知りたいの・・・いい?」
「あ、あぁ・・・」
あまりの状況に言葉が出ない俺であった。昼間の一件があったため分かりづらかったが彼女の美しさは相当なものである。物腰も柔らかでひとつひとつの所作が綺麗であった。貴族の出は伊達じゃないことがわかる。
動揺する俺を他所に『ちょっとそっちに行くわね』と俺のベットにちょこんと座った。俺ばかり横になるわけにもいかないため起き上がりその横に座る。
「へ、変じゃないかしら?」
「とても綺麗でその・・・目のやり場に困るくらい・・・」
「ありがとう」
顔を赤くしてサレンが俯く。そんな大胆な格好でやってきて照れられてもと思わざるおえないが俺も俺で心臓がバックバクである。
「それでサレンは俺に何が聞きたいんだ?」
耐え切れず俺から質問を投げかける。
「私は知りたいの、アナタのその強さがどこからきているのか」
「あぁ、そんなことか」
「そんなことってアナタね!爆風を推進力に変える機転とそれを可能にする身のこなしと繊細な風魔法の使い方。ショートワープして避けても風圧だけで痕のつく剣の速度」
そう言ってネグリジェをめくりお腹のうっすらできた痣を見せる。ネグリジェをめくったためか下の大事な布が完全に見えてしまっているが最後の理性を振り絞って下を見ないようにしている。
「痕ついちゃったの!?ホントごめんなさい」
剣(木の棒)を当てずに済んでよかったなと思っていたが女の子の体を傷つけてしまっていた。
こちらとしては命を狙われていたのだから仕方ないといえば仕方ないことだが気にしているようなら謝るしかない。
「いいのよ。わたくしだってアナタを燃やそうとしてたんだもの。そのかわりに教えてもらえる?」
「いいけど、面白い話なんてないぞ?ただただ人外の師匠にしごかれただけだからな」
俺は師匠から受けた修行という名の拷問のさわりを説明した。剣の型を徹底的に叩き込まれてからの即実践という名目で師匠にボコボコにされるわ、山に置き去りにされるわ、川に投げ出されるわ。戦闘において第六感というのは非常に大事であり生と死の狭間では必ず自分を助けてくれると言われても現在生と死の狭間だったりしてな!
ハッハッハッ・・・もう戻りたくねぇ・・・・。
話を聞いていたサレンはドン引きしながらもうんうんと相槌をくれていた。
また、魔法習得の際に師匠と身体を交わせていることも語った。なぜかその話を異様に食いつき興味深々に聞いていた。
「ねぇルーク。その・・・ソレってどういう感じなの?」
「んーー戦闘と似てるかなぁ。相手と自分の弱点を探りあって的確につく。相互理解が深まった時にはそれはもう・・・サレン?」
手をギュッと掴まれる。
「わたくしも・・・してみたいです・・・ルーク」
「マジで?」
「はい。やはり初めてはわたくしよりも強い人と・・・と思っていたので」
そのままなされるがままにサレンに押し倒される。
『お願いしますわ』と耳元で囁かれて俺の中で何かが切れる音がした。
ーーーーーーーーーー!
ーーーーー!
ーー!
「昨晩はお楽しみでしたね」
クエスト日和のすがすがしい朝、ミィの第一声であった。