第19話 火山、登山、奇襲
その女性は初対面の俺たちに高圧的な態度で問いかけてきた。齢20前後で肩ほどの長さの青髪を煌めかせ、鎧に身を包み剣を携えている姿から都から来たギルドの一団であろうことは察しがついた。
また、先頭で十何名の指揮をとっているので、この女性が団長なのだろう。
「俺たちは火山の調査をお願いされただけの冒険者ですよ」
「その人数で調査なんて随分と気軽なモノね。目的は一緒のようだけどくれぐれもワタシ達の邪魔をしないように」
素性もわからないまま邪魔者扱いされることにカチンときたがグッとこらえる。彼女も部下達の命を預かる身として少しでも不安要素を取り除きたいのだろう。
「あぁ、邪魔はしないですよ。団長さんも頑張ってください」
「あら?思ったよりも素直ね。私はレイナ、残念ながら団長ではなく副団長よ。団長は単身で別のクエストで今回はお休み」
「レイナさんこれは失礼しました。俺の名前はルーク。また機会があればよろしくお願いしますね」
レイナさんの意を汲んで俺たちはギルドの一団とは別のルートから登ることにした。街のドワーフ達から聞いて周った火山の情報が早速役に立った。
『言われっぱなしなんて甘いですよルークさん!』『もっと威厳を見せたらどうなのかしら?』とミィとサレンは先ほどの俺の対応にご立腹だったが戦闘以外の不安要素はないにこしたことがないのだ。
もし火山の温度低下の原因となっている敵の前でギルド一団といがみ合うなんてことは御免だ。最悪どちらも死にかねないことだとミィとサレンに説いたが、完璧に納得とまではいかないが了承はしてくれた。
ドガン火山を登り始めてしばらくは軽い足取りで出てくる敵にも苦労することもなかった。出てくる魔物も散々狩り散らかした飛蛇竜や少々熱いゲル状の生き物、ヒートジェムくらいである。
登り始めて3時間、火山という環境が俺たちに牙をむき始める。暑さに加えて熱の影響か遠くの視界がぼやけておりミィもたまに矢を外していた。火を吐く敵もポツポツと現れ始め、飛蛇竜装備のありがたみをミィとサレンは実感していた。
「随分と登ってきましたが巨大な敵なんて見当たりませんわね」
「そうですね。出る魔物も小物ばかりですし」
ミィとサレンがサクサクと敵を倒しながら突き進む様は傍から見たら驚愕であろう。前衛が俺一人で負担はデカいものの、このドガン火山程度なら全然余裕である。後ろに攻撃が流れても二人なら平気な顔をするから頼もしい。
俺も張り切って敵を斬る、斬り進むことさらに3時間ほどだろうかーーー
頂上も見えてきたその時
「ウワアアアアアアアアアアアアア」
男の悲鳴が響き渡る。俺たちは慌ててその声の元へ駆け出す。金属のぶつかり合う男が聞こえてくる。
視界に捉えた。そこには人の倍ほどの大きさの魔鋼蟲8匹ほどに今朝のギルドの一団が襲われていた。雑食ではあるが元来、鉱石を食べる魔鋼蟲が火山にいるのはわかるが数が多すぎる。奇襲されたのか数人が倒れており、倒れた仲間を庇うためかギルドの人達の動きが制限されているのを感じる。
「ミィ!サレン!怪我人を襲おうとしている前方の1匹を頼む。あとは俺がやる!!」
その指示と同時にミィとサレンが構える。ミィが魔鋼蟲の関節に即座に3本矢を撃ち込む。撃ち込まれた矢を起点にサレンが
[[連鎖小爆裂]]
小さい威力だが連鎖的に複数の箇所から爆裂魔法を起こす新技を放ち魔鋼蟲が吹き飛ぶ。
<<風神速連刃>>
俺は風の刃を操り一太刀で敵を切り刻むスキル<<連刃>>を、風の魔法を身に纏い加速させるスキル<<魔風礼装>>によって神速の連撃で敵を斬り抜ける。
戦っていた一団が風を感じた頃には魔鋼蟲7匹は細切れで崩れ落ちる。
俺たちの戦っていた場所のさらに奥から激しい戦闘音だけが聞こえてきた。
「クソッまだ敵がいるのかよ」
そう叫びながら急いで向かうとそこにはミィとサレンがニバンガイで倒した巨大な魔鋼蟲より一回り大きな魔鋼蟲がいた。
その魔物に対してレイナさん一人で対峙していたがすでに勝敗は決着しようとしていたーーー




