第16話 噂話と新武器
「それでどうしてドワーフの街はこんなに静かなんですか?俺結構楽しみにしてたんですけど・・・」
「なんだボウズ、今街で何が起こってるのか知らないのか。噂だが全ての元凶はアソコよ」
そうして指さされたのは温泉、鍛冶工房、鉱石と天然の宝を生み出す大地の母である火山だ。
「あの火山でなにかあったんですか?」
「何かあったなんてもんじゃねぇ。俺らの火山に魔物が住み着いたらしく、マグマなんかの熱を全部持ってかれちまった。おかげでこのぬるーーーーい湯ってわけだ。さらに鍛冶仕事まで出来ないときた。」
「魔物の仕業・・・。火山の熱を持ってくとなると相当強大な魔物なんでしょうか?」
「あぁそうみたいだ。都から送られてきた先遣隊は調査して以来、帰ってきやしねぇ。7日後にはさらに増援が派遣されるらしいが心配がないかってっと嘘になるな」
思った以上に深刻な事態であった。まさか活気のない理由が火山が乗っ取られてるとは・・・と困惑する俺を他所にドワーフのオッサン、ドルフの話が思わぬ方向に進んでいく。
「それでボウズ、アンタも冒険者なんだろ?腕が立つってんなら見に行けたりできんのか?」
「まぁ腕が立つかと言われると何ともですが、魔王一歩手前くらいならなんとかなると思いますよ」
「魔王?魔王か!魔王と来たか!ハッハッハッハッ久々に笑わせてもらったよ!そんな大きな事が言えるのは馬鹿か本当の勇者だけだ!!」
頭をバシバシと叩かれドルフが大声で笑う。『それでこれまで何と戦ってきたんだい?』と聞かれたので
「この道中だと霊獣と魔鋼蟲の卵くらいですけど・・・」
と答えるとドルフの笑いが止まる。
「ボウズお前、霊獣倒したのか?あの生まれたら近くの街が地図から消える厄災を?それに魔鋼蟲の卵つったらここいらじゃ最も気を付けるべき案件だぞ?大量の子どもに凶悪な親までセットだ」
「えぇ。霊獣の牙を武器に加工してもらいたくてこの街に来たんですから。俺は幼虫駆除だけして親はウチのパーティーが倒したんですけどね」
「コイツは驚いた・・・。こんな大変な時にくる変な冒険者だと思ったが街を救ってくれる救世主になるかも知れんとはな。さっきの無礼はすまねぇなボウズ」
「大丈夫ですよ。これも何かの縁ですし調べられる範囲で調べてみます」
こうしてドワーフの街の事情を知ることができた。俺は温泉から上がり装備を着込む。
「ボウズまさかその装備で火山に行くってのか?」
「そうですけど・・・」
「それはオススメ出来ねぇな。火山つったら炎吐く敵がわんさかいるから耐火性が何よりも大事だ」
「といっても急に耐火性の防具なんて・・・」
「それなら火山の麓で飛蛇竜でも狩ってきたらどうだ。あいつらの皮は耐火性に優れている。素材を持ってきてくれりゃ俺んところで防具にしてやるよ割引きでな」
これは願ってもない話である。俺一人だったら最悪なんとかできるがミィやサレンのことも考えるとどうしても装備が欲しいところでこの提案だ。
というかドルフさんアンタ防具作れたんですね・・・流石ドワーフの街。
こうして次の目的が決まり早速ミィとサレンに報告しようと温泉の待合所で待っていたら
「お待たせしたわねルーク」
「温泉よかったですねルークさん!!」
湯上りで浴衣姿の二人が出てくる。その格好どうしたんだと聞くと『客もいないしせっかくだからと無料で貸し出してくれた』とのこと。長い髪を纏めて上げてたサレンは普段とは違った色っぽさがあり思わず生唾を飲む。
ミィもとても良く似合っており微笑ましくなった。
旅続きなことを思い出し、一旦は飛蛇竜の提案を置いて息抜きにドワーフの街を観光することにした。
街の観光はいわゆるウィンドウショッピングに近い。ドワーフの街だけあって色々な装備屋があちこちにある。
供給が止まってるせいで閉めてる店も多かったが、鉱石を用いない皮や木を利用した店は少ないが営業していた。
「そういえば明日、飛蛇竜を狩りに行こうと思ってるんだけどミィも何か飛び道具を用意した方がいいんじゃないか?」
「なんですか突然。そんな話聞いてませんよ」
そりゃ言ってないのだから聞いたことはないだろう。ミィはダガー主体であって空を飛ぶ敵に対しては攻撃手段がないのが問題であった。
「とりあえずクロスボウとかどうだ?ホラカッコよさそうじゃん?」
「話を聞いてないですねこの遠距離攻撃できるチート剣士は。クロスボウのカッコよさについては私は理解できませんが・・・まぁ弓程練度を必要としないのでいいんじゃないでしょうか」
「よっしゃ!オッチャンクロスボウひとつ!とびっきりのやつ!!」
こうしてミィの装備も新調して次の日
「さて行くか!!」
飛蛇竜狩りが始まる




