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第13話 雨と小屋とおじいさん

ニバンガイを旅立ったルーク、ミィ、サレンの一行はドワーフの街へ向け街道を歩いていた。

巣のあった雑木林を超え山を越え、2つ目の山を超え・・・ようとするその木々に覆われた山道の道中。


「急に降ってきたわね」

「急げ!とりあえず雨宿り出来るところを探そう!」

「雨は嫌いです・・・」


と急な雨に襲われた俺たちであった。山の天気は変わりやすいとはよく言ったものだ。

長い旅路での疲労など気にもせず爆速で山道を進軍していく。雨に乗じて麻痺小蛙(パラフロッグ)などの魔物が現れたが神速で斬り払う。ドロップなんて無視だ無視!!


20分ほど駆けただろうか、周りが雨で見ずらい中1軒ポツンと建つ小屋を見つけた。


『小屋があった!ちょっとそこで雨宿りさせてもらおう!!』と俺はたまらず小屋のドアをノックする。


「なんだい、こんなところに客かい珍しい」


すぐに扉が開き中からとても小柄なおじいさんが出てきた。小柄といっても骨太でしっかりと筋肉がついているのが見て取れる。もしかしてこの人は・・・と思案をよそに


「おじいさん、よろしければわたくしたちを少し雨宿りさせていただけないかしら?」


とサレンがおじいさんに尋ねる。外の雨はさらに激しさを増しており、ここでお断りされるのは正直厳しいものがあるがおじいさんは優しく承諾してくれた。

助かったと一安心をしておじいさんに御礼を言い小屋の中に入った。

雨のせいで服はぴっちりと身体に引っ付き、出っ張ってるところに引っ込んでるところと丸わかりで目の保養・・・ではなくて精神衛生上良くない格好であった。

奥の部屋でミィとサレンはおじいさんの用意した大きな布で髪と身体を拭く。俺は鎧を脱いで先に焚火に当たることにした。


「こんな雨の中大変だったのぉ、ゆっくりして行きな」

「ありがとうございます!突然降ってきて、山の中で周りに家一軒ないので助かりました」

「しかし、お主らみたいな若いのがなんでこんな山奥におるんかの?」


寛容なこのおじいさんに今回の旅の経緯を説明する。ニバンガイから出発して山を越えドワーフの街に向かっていること、突然の大雨に襲われて走っていたらこの小屋をみつけたこと。

そしておじいさんから思わぬ反応をもらう。


「ドワーフの街に行きたいってんなら本来この道は通らないはずなんだが。もしかして雨の中で道を間違ったのか?」


おいおいおいおい、まさか道を間違っているなんて。ニバンガイに行くときも道を間違っていたよなと思い返す。道は間違ってしまったものの結果として、こうやって雨宿り出来たので良しとしよう。さらにおじいさんの話は続く


「それは良いとして今ドワーフの街に行こうだなんて物好きだな?ここ最近はちょっとゴタゴタしてるらしいから大変じゃぞ?」

「ゴタゴタ・・・?それはどういうことでしょうか?それにドワーフの街に詳しいっておじいさんもしかしてドワーフですか?」


気になることを言い出したおじいさんに質問を投げかける。ついでに初めてあった時の疑問も添えて。


「おう。ワシはドワーフ族のガンテツだ。今は隠居の身だがなハッハッハッ!!」


バシバシと背を叩かれるが叩く強さがとても隠居してるおじいさんのソレではない。やはりドワーフは力強い種族だったんだなと少し感動する。


「ゴタゴタしてるって言ったな!それはちょっとコッチ来な!」


外に連れられて小屋の裏口から出たらさらに小さな小屋が見えた。中に入るとそこには小さな鍛冶工房があった。


「ワシが普段炉として使っているマグマの温度が下がっちまってる。きっと街の方では大騒ぎだろうな、鍛冶は何より温度が命だ」


素人の俺からしたら何が違うのかわからないがガンテツさんからしたら違うのだろう。


「それじゃあ武器を作って貰おうっていう俺の願いは・・・・」

「まぁ今行っても叶わんじゃろ」


そ、そんな・・・・。落ち込んで倒れ込んでいる時に丁度ミィとサレンが戻ってきた。先ほど来ていた服ではなくサレンが持ってきていた薄いワンピース形状の部屋着に着替えていた。

『一体そこで何してるんですかルークさん・・・』と冷ややかな目で俺を見るミィが一言。


「泊めてくださりありがとうございますおじいさん」

「お世話になりますわ」


とお礼を述べるサレンとミィ。そしてそのまま自己紹介を終えてから何か手伝うことはないかとサレンが提案する。


「それじゃあ料理ができるんなら美味いもんが食いたいねぇ。独り身だと食事は寂しいもんばっかりでの」

「よろしいですわよ!!ナーヴァ家の誇りを胸に腕によりをかけて作りますわ!」


突然、料理が始まった。基本的な調理は自信満々だったサレンが進めていく。お嬢様ではあるものの料理はニバンガイ時代に覚えたらしい。万能お嬢様だなホント。

俺は農家のせがれ、田舎育ちの意地を見せ野菜の処理を高速で行っていく。ちなみに俺も師匠に教え込まれて料理はある程度できるがサレンには見たところ敵わなさそうだ。

ミィは今夜の主役となる鶏の処理を手際よく行っていた。どこで覚えたのだろうか・・・ミィの謎は深まるばかりであった。


3人で料理を初めて1時間半といったところ、無事に出来上がり食卓に並べる。

『こいつぁすげぇ』とガンテツさんも大喜びで作った俺たちも嬉しい限りである。そして皆で食事を頂く。


山小屋に住む陽気なドワーフ、ガンテツとの出会いであった。


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