第11話 一本の剣
「くっ!外殻が硬くてダメージが思ったより通らないわ」
サレンを守るように前衛の騎士とミィが魔鋼蟲の攻撃を引き受けている間、爆裂魔法を放つも致命傷とならず防戦一方となっている。敵の攻撃も強烈であり身体を一振りさせるごとに兵士が1人、また1人と倒れていく。
ミィもギリギリで躱してはいるものの反撃の手立てが見つからない。
「中々致命傷が与えられないわね・・・ミィなにか手はないかしら?」
「見ての通り私は基本あの化け物みたいに攻撃力はありませんので!!クッ!」
打つ手がないまま敵の攻撃を捌き続ける。
ルークの到着を待つために耐久戦に持ち込もうかと思った中で、倒れた兵士の剣の1本が奇跡的に魔鋼蟲の胴体の関節に刺さっているのをミィは見つける。
「もしかして・・・」
ミィは倒れている兵士の剣を拾い上げ構える。この剣一本では今の私じゃ決してあの敵に致命傷を与えることはできない・・・。だけど・・・
チラリとサレンの方に目をやる。彼女の闘志に溢れた力強い瞳に確信を持ち、呼吸を整え、感覚を極限まで研ぎ澄ませ敵の一点に狙いを絞る・・・
そして敵がミィをめがけて突進してくる、突進の勢いを利用して剣を顎の関節部に突き立てる。剣は突き刺さり魔鋼蟲へダメージは与えられたものの突進の勢いを止められようもなくミィが吹き飛ばされる。
「ミィ!?」
木に叩きつけられその場に倒れ込むミィに動揺するサレンであったがミィが力を振り絞って敵の方を指さすことに気付く。
その先には突き立てた剣を振り払おうと暴れる魔鋼蟲であった。
「あ・・・そこに・・・・魔法を・・・」
・・・・・!『そういうことね!』ミィが伝えたいことに気付いたサレンは魔法陣を展開する。
伝えられたことに安心したミィは力尽き意識を失う。
空間魔法によって突き立てられた剣を魔鋼蟲へ固定する。さらに傷口へ爆裂魔法の魔法陣を展開する。
「ありがとうミィ。ミィの分まで焼き尽くしてあげるわ!」
[[紅炎爆]]
小さいが威力が凝縮された爆発が身体の内部から発生し、顎と片目を吹き飛ばす。ついに与えた大きなダメージに警護団の士気も高まる。
一方で突然のダメージから魔鋼蟲が暴れ出す
「ついに傷を与えられたわ!!みんな関節部に剣を刺して!片っ端から燃やすわよ!!」
「「「うおおおおおおおおお」」」
団員たちは体を張りダメージ覚悟で剣を次々と突き立てる。突き立てた傍からサレンが爆破していく。
どんどん魔鋼蟲を削り取っていく・・・が
「どんだけタフなのよコイツ!!!」
動きも鈍り、失った部位から挙動もおかしい所はあるがトドメの一撃がさせないでいる。
魔力も尽きかけて最後の一撃を放つサレンーーー
ピシャッ
かつてない威力の爆発と共に魔鋼蟲の体が砕け散った。
何が起こったかわからないがすぐにはわからなかったが魔法陣を見て理解した。そうルークの風魔法が割り込まれていたのだ。その結果サレンの爆裂魔法がより多くの酸素を取り入れ魔鋼蟲を吹き飛ばすほどの威力の爆発が起こった。
「まったく・・・見えてないってのに無茶苦茶なことするわねルーク」
巨大な魔鋼蟲を討伐し終えたサレンは安心してその場にへたり込む。
団員たちも安堵と同時に勝利の雄叫びをあげた。
「あっちは終わったみたいだな。こっちもあと少しですよノリスさん」
「あぁ、ルークのおかげで俺もだいぶコイツらの対処法がわかってきたよ!」
俺と副団長ノリスさんは一面にいた幼虫達のほとんどを片付けていた。言っていたように終わりごろになるとノリスさんも結構な手際で幼虫の首を刎ねられるようになっていた。
そして最後の一匹も無事に狩り終え一団との合流を計る。合流する方法は至極単純、俺達と一団を仕切っていた倒木を
セイッ!!
斬って吹き飛ばして終わりである。いままで最初からそうしなかったかと言うと幼虫が散らばって親と合流されたとなると倒すのが余計面倒になると思ったからだ。
気を失っているミィの姿が見えて慌てて駆け寄る。
「ミィ!?大丈夫か!???」
「大丈夫だから動かさないであげてルーク。あまり揺らすと悪化するわよ」
サレンからミィが倒れる経緯を聞いた。この戦いの決着を導く一手を身体を張って示したこと、その際に倒れてしまったこと。
「ホントすごい奴だよお前は」
気を失っていたミィのあたまを撫で労った後、まわりを見渡す。
親のしかも巨大な魔鋼蟲相手に一団は結構な手傷を負ってしまっていたが幸いにも誰一人として命を落とすことはなくて安心した。
「サレンもお疲れ様。やっぱお前の魔法は頼りになるな!!」
「そんなことないわ。私の魔法もまだまだよ。それに最後の一撃はアナタの手を借りたみたいだし」
「気付いてた?サレンにしては爆裂魔法を連発してたから威力不足なのかなって思わず」
『ホントあなたは・・・』と言って人目のつかない木の陰まで引っ張られ
「んっ・・・・ホントに助かったわ。ありがとう」
ほっぺにキスをされ眩しい笑顔で御礼を言われる。これだけで頑張った甲斐があったというものだ。
道を塞ぐ残りの倒木の処理を俺が行い一同は街へと帰投する。
こうして巣の駆除は想像以上の大仕事となったが無事解決となった。




