第9話 出発
「ナンノコトデショウカ」
「しらばっくれても無駄です!声がこっちまで響いてましたよ!!」
あちゃー筒抜けでしたか。
サレン嬢の家の一回で朝食を頂いているとミィからの激しいツッコミが入る。
向こうから来たので不可抗力で無罪放免なのだがパーティの仲間がクエスト前日の夜うるさかったらキレるのもわかる。本当に申し訳ない。
「極めつけはそれです!」
ミィがビシッと指をさした先には俺の横にピタッと引っ付くサレンの姿だった。
ニッコニコでくっつかれて非常に食べずらいがスルーしていたところをミィに指摘された。
「お気になさらずミィさん」
「気にしますよ!!一体なにがあったんですか!!!」
『うふふふふ』と言い笑顔で流すサレンであった。ミィも諦めたのかツッコムのを辞めていた。
食事を終え支度をすまして警護団の建物へ向かう。さすがに街で有名人であるサレンにくっつかれて歩いていたら目立つので少し離れて歩いてもらい無事に到着した。
団員達はまだ来ておらずクエスト出発に向けての最終準備をサレンがいそいそと始める。俺も手伝うといったが座って待っていてくださいと促された。
続々と団員たちが集まり鎧を身にまとっていく。基本的に全員俺と同じアイアンシリーズ装備であり、イチバンガイ、ニバンガイでは上質な部類のらしい。命を懸けて戦う兵士達のためにも装備だけはしっかりと揃えようと資金を工面しているとサレンは言った。
粗暴なところが多々あるが部下たちのことを思いやっているからこそ皆がサレンを慕って着いて来るのだなと認識させられた。
装備を整えた団員達が外で隊列を組む。いよいよ出発だ。
「それじゃ巣の駆除に行くわよ!みんな決して無茶はしないで生きて帰ってくるのよ!!」
「「「おう!!!!」」」
団長サレンの一言の元に街を出る。
隊列は副団長にしてサレンに次ぐ実力者であるノリスが俺と二人で先頭を行く。耳と鼻の利くミィは前後が分断された場合にどちらでも向かえるように真ん中に、遠距離主体であるサレンは後列に着いた。いつもはサレンが先頭を行くのだが今回は俺がいるからといった理由で理想のポジションである後衛となった。
道中で出てくる敵は俺がサクサクと倒していく。この程度サクサクと倒せないと霊獣が来たら対処できないですよってサレンさんに言ったら、普通の人間にはそもそも霊獣に対処できないと一刀両断された。
空を飛ぶ風蝙蝠は俺が倒すこともできるがサレンが焼いてくれる。こうなったときに後衛の魔法職がいたら便利だよなぁと切に思った。御伽噺に出てくる弓が達者なエルフとかもいずれ会ってみたいそんな妄想もしながら快適な道中を進む。
ちなみに風蝙蝠などの小さい敵は空間魔法でその場に張り付けることができる。なんだそのチート能力だと思うが使える術者がそもそも少なく魔力の消費も激しい。一流の空間魔法使いは人のサイズでも消固定できるが消費魔力と割り込まれるリスクを考えてあまりやらないと師匠が言っていた。
「団長すごいですね。ウチのパーティーに来て欲しいですよ・・・」
「お!?ボウズ団長にお熱か?あんなんだが立派な乙女だ。連れてくならちゃんと責任取ってやれよ?」
「責任ってノリスさん!!それよりも団長を引き抜こうとしてるの団員としていいんですか?」
「そりゃ良くはねぇ街だって無敵の魔法使いがいなくなるんだ不安にもなるさ。だが、団長はずっと都から追放されたことを気に病んでいる。だからこんな田舎に閉じ込められてないで都で返り咲いて元気な姿を見してもらいたいってもんよ!」
『なるほど』と後ろの団員達とキャッキャしてるサレンを見て思いにふける。
「さて、ボウズここらへんが話のあった道なんだが・・・アレか!」
雑木林に人が行き来するように少しだけ整備された道にその球体はあった。ドデカいソレは直径6mほどあり道を塞いでいたが、ここまでデカいと一般人ではどうしようもない。
そして一団は球体の少し離れたところで待機し、俺と副団長が先行して接触を図る。球体に近付いてみるとソレはなにやら蠢いて小さい鳴き声が聞こえる。そして表面が塗れている。
「これは血・・・?」
それは動物か、人間かはわからないが血液が付いていた。その球体の正体に気が付いた瞬間
「うぉっ!?なんだ!!?腕が引っ張られーーーー」
「これは魔鋼蟲の卵だ!卵があるってことはミィ!!!!」
ノリスさんの腕を引っ張っていた魔鋼蟲の幼虫を斬り飛ばした一瞬の隙に背後には巨大な魔鋼蟲がいた。
魔鋼蟲は雑木林の木々をなぎ倒し俺と副団長、それ以外を分断した。
「クソッ!!やっぱり親がいやがったか!」
サクサク道中から一辺して突然の戦いが始まった




