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死処を求め異世界順道  作者: 飴口
黒白の砂城
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囮役


 「……貴方の言った通り、敵は相当のやり手の様ね」


 「然り。敵の実力、我が軍に匹敵」


 「本音は?」


 「個人の能力は人智を超えており、全国民が立ち向かっても勝ち目は無いかと」


 【トゥーハ・ニルグ】

 役職は女王身辺警護。アマンダの推薦によってこの地位に就いた。

 一般的な黒人よりも体が細いが、実力は折り紙付き。ニルグ自身の世間評価も高い。


 「数百人くらいは森に入って行ったけど、あくまで目的は白人の殲滅。見つけたからには例外なく()らないとな」


 「ですが先程も申し上げました通り、奴に勝てる者などそうはおりませぬ」


 「ニルグ、お前でも勝てんのか?」


 「私の役目はあくまで女王陛下の恩身を護るのが役目。戦っている間に同格の剣客が現れるやもしれません」


 「つまり私があいつの近くに行けば戦うという事か?」


 「ご安心を。多少私よりも腕は劣りますが、奴を倒せる者が居ります」


 「でそいつは何処に?」


 「……そろそろ準備が整った様子。クリエラ様はどうかご心配なく」


 「そう。なら任せる」


 ----- ----- ----- -----


 長物での距離を取った攻撃。同時に攻めかかる一斉攻撃。息もつかせぬ怒涛の攻撃。あらゆる攻撃という攻撃を繰り広げるバクサ兵だったが、全て()なされ再起不能の一撃を加えられてしまう。

 葉昏を中心に取り囲んでいた円も、徐々に開けていった。


 「ば、化物だァ!!」


 「怪鳥人を飼いならす奴等だ。強ェのは当然か!!!?」


 「……これくらいでいいか。おい主ら」


 「喋ったぞ!!!?」


 「当然じゃろうが、儂も同じ人間だぞ?」


 「み、耳を貸すな!! きっと疲労し始めたから、時間を引き延ばそうとしているに違いない!!!」


 「(全く披露してはおらんのだが、この際言いっこなしか。)兎角話を聞け。これ以上無駄に傷付けたくはない」


 「何を今更……! 綺麗事を言った所で、白蛇が出された今貴様らは死ぬ未来しかないわ!!! かかれ、かかれー!!!!!」


 「ウオオオオ、っ」


 奮闘の雄叫びが、明らかに途中から小さくなった。

 何事かと周りに目をやると、今まで横にいた筈の仲間が膝を折って倒れていた。それも一人や二人ではなく、二十人近くがだ。


 「ふー……これで分かったか? その気になればこの程度の数、一瞬で()せれる」


 「ぜぜっぜ、全然疲労してねぇ……」


 「分かったら少しは儂の話を聞け。主らは勘違いしとる。バクサを襲った化鳥は白人とは関係なっ!!」


 数は減ったとはいえ、まだまだ兵士の数は多く(ひし)めき合っている。

 だがその犇きの隙間から、長物の槍が的確に葉昏の心臓目掛けて伸びて来た。

 咄嗟に刀で対応するが、衝撃で数センチ後ろに押し出されてしまう。


 「(明らかに別種の強さ。予想はしていたが……)」


 「おお! 白人に初めて防御の構えを取らせた!!!」


 「誰だ! 一体誰が!!」


 「煩いですよ。雑魚は雑魚らしく、静かにしていなさい」


 「この声は……【ダァン】隊長!!!」


 兵士が右へ左へと分かれ、ダァンという男の通り道を作る。

 十中八九人に化けた怪鳥人と考えている葉昏は本気で刀を構える。


 「……何だ、その顔に付けている面は」


 【ダァン・ルーマンダ】

 巡回兵を纏め上げる隊長。

 昔受けた蠍の毒で顔をが爛れ、それを隠す為に蜥蜴の皮を縫って作ったマスクを被っている。

 ダァンを知らない人間は不気味がってしまうが、圧倒的な実力と口の悪さに対して仲間思いな性格も相まって、彼を知る巡回兵の内ではかなりの信頼と憧れを向けられている。だがここ最近口調が変わったと、兵士達の間では話題に上がっている。


 「ここは私に任せて、君らはさっさと森へ行きなさい」


 「しかし隊長!」


 「しかしもへったくれもないわよ。こんな陽動に一々構ってたら、本来の目的を遂行できないでしょ」


 「陽動!?」


 「言われてみれば、そうかも……」


 「だったら早く森に行って、逃亡を図っている白人を殺さないと!」


 「そうそ、雑魚は雑魚らしくやれることをやるのが一番。あんた達は森で雑魚以下の雑魚を殺す。で私がこいつを殺す。それがベストよ」


 「……本当に、お任せして宜しいのですか」


 「いいから行きなさいって。こんな所で足踏みしてたら、祝杯を挙げる時間が遅くなっちゃうわよ!」


 「! わかりました。どうか勝って下さいダァン隊長!!」


 一斉に包囲網を解き、走り去っていく兵士達。

 本来ならば是が非でも止めなければならない状況だが、明らかな強敵を前にそんな行動は自殺行為だという事も、葉昏は百の承知である。


 「素直に行ってら~」


 「……主は素直じゃないな。化けの皮を着た状態で、本領が発揮できるのか?」


 「ん~、出るっていえば嘘になるかな?」


 元気な兵士は走り去っているとはいえ、足元には気絶、もしくは悶絶している兵士がまだ多くいる。

 本性を曝け出した瞬間を見られれば、先入観に囚われているとはいえ、疑いの念を持つきっかけになる。


 「残念じゃが、儂も命を背負っとるんでの。主の都合に合わせたりはせんぞ」


 「その点は大丈夫よ。こっちで勝手に舞台を整えるから」


 「何? それはどういう……」


 兵士達が二人の周りからいなくなった後、二人の周りを取り囲むように結界の様なものが張られた。

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