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2 春咲静という少女

No.3

春咲円香 はるさきまどか

中学2年

誕生日:2月5日

身長:157cm

好きな教科:体育

ポジション:CF

背番号:10

「……私が蹴ります」


「妹ちゃんかー。まあ一応トップ下希望だもんね。いいよ」


 静の身なりから少し大丈夫なのかと心配しながら美鳥は承諾しました。それに対して円香と千才は満更でもない様子です。


「ふふ、またシズのパスが受けれるなんてねー」


「……ウチも楽しみ……」


 全員が配置につきました。守備陣は真萌莉はキーパーなのでゴール前、優芽はニアサイドのポスト前で美鳥は前衛二人のどちらにも対応できそうな位置です。


 一方攻撃陣の二人は円香はニア気味に行き千才はフォア気味に位置しています。そしてキッカーは静です。


「じゃ、自分の好きなタイミングで蹴って!」


「はい……!」


 静は深呼吸をしてフィールドの状況を見続けました。


「……あの配置、キャプテンはどちらかといえば天野さん寄り……。優芽さんはポスト前だからニア気味に出してもまず拾われる。狙うならフォアになるけどそれを読んだキャプテンの位置取り……。うまいな」


 静はまだ少しどのコースを狙うか悩んでいます。


「ねね、円香さん。妹ちゃんホントに大丈夫?」


「大丈夫ですよー!」


 美鳥はやはり不安でしたがまあ姉が言うならと待ちました。


「よし、少しキツめのコースだけど天野さんなら……拾える!」


 静はボールを高く蹴り上げました。そのボールはゴールの逆に向かって行くように思えます。


「あらら、失敗かな?」


 しかし。


「!? 楕円みたいに曲がってる!?」


 そのボールは楕円のように曲がってました。それに気づいたときには時すでに遅し。楕円にあがるボールの先には先読みし走っていた千才がいました。


「……ふふ、やっぱり面白いね」


 千才は多少距離があるのも関係なしにその小ささとは思えないほどの強烈ボレーをゴールに叩き込みました。


「ちょ」


 真萌莉は手を限界まで伸ばしましたがボールに触れれず、ゴールネットが激しく揺れました。千才のゴールです。


「あれ……曲がるんだ……」


「何今の……。どう見ても真っ直ぐだった……」


「信じられない……」



 静の的確な角度で曲がるセンタリングに驚愕の優芽、美鳥、瞳深。


「それもそうだけど天野ちゃんのシュートなんて意味わからん早さだったんだけどー」


「……もう一回!」


 美鳥は偶然だと信じ、もう一回蹴らせました。そのあとも何回も何回も。


 ですがその数回全部守備陣はボールを触ることすらできませんでした。


「なんなの……」


「当たり前じゃないですか。だって静はぜーーんぶあっこから計算して一番パスが通る位置を割り出してるんですからー!」


「だとしても! それを正確に蹴ることができる技術なんて……」


「……見てなかったですか? あの子……静さんにはそれを行える技術があるんです。相手の位置、角度、動作、そしてフィールドコンディション、風向きなどなど全てを頭にいれて一番見方にパスが通るルートを描くんです。それを数ミリの違いなく蹴ることができるんです」


 千才は今までにないくらいの饒舌で静について熱論しました。


「そそ! 全部言ってくれた! ってなんで知ってるの!?」


 円香は自分が言いたいことを言ってくれたと同時に何故天野千才がそれを知っているのかと驚愕しました。


「……前にプレーを見てから気になっていて自分なりに調べました」


「なるほど? それで超名門の推薦断りまくってここに来たのは静がいたからかな?」


「……はい」


 そのあと千才は静には恥ずかしいから言わないでとなんとも可愛らしいことを伝えました。


「ふう……。もう終わりで大丈夫ですかーー!」


 静はコーナーの位置から少し大きめな声で美鳥たちに問いました。


「あーもう大丈夫だから戻っておいでー!」


「はーい!」


 静はみんなのところに戻るなりみんなに頭をわしゃわしゃされました。


「すごいじゃん! これからは蹴ってもらうからよろしく!」


「あ、はい!」


「どう!? みんなのプレー!」


 職員会議が終わりダッシュで戻ってきた先生に美鳥は、


「いやほんとすごかったです信じられないくらい」


「あはは! まあそれは神に選ばれてるしあとは得点王だからね! で妹さんは?」


 先生は信じられないくらいすごいのはとびきりすごい称号がある千才と円香のことだと思い込んで言いました。


「いや、一番信じられないのがその妹さんですよー。やーなんであれが話題にならないのかってくらいのすごさ。驚愕」


「え? そんな冗談いくら先生でも通じないよー」


 先生、未だに信じないご様子。


「んーなら試してみよっか。静ー! あとみんなもー!」


 美鳥はなにか準備を始めました。静の位置を決め、そこを中心にみんなを離れた位置に行かせました。それは美鳥曰く静の正確なキックをより魅せれるようなことだそうです。


「んじゃ、静は私の指示通りにみんなにパス送ってね! ただしワンバウンドでもしたらアウトだから!」


「は、はい!」


「えっとー。なにを始めるのかしら?」


「まあ見ててください。よし、じゃあまずは普通に真萌莉にパスして!」


「はい!」


 静は美鳥の指示通りにいたって普通にノーバンで真萌莉にパスしました。そのボールはふんわりと真萌莉の足に吸い込まれるかのようでした。


「おー完璧な位置。私一ミリも動いてないやー」


「おーやるじゃない!」


「はい次! 優芽に右カーブで足ちょうどにパス!」


「はい!」


 静の蹴ったボールは右に曲がりながらも優芽の足を射抜いてるかのように向かっていきます。


「すごい! 完璧だよ!」


「すごい……」


「まだまだこんなものじゃないよね! 次は円香の頭狙って左カーブ!」


「は、はい!」


 ボールは左にカーブし、でもふんわりさせて頭で合わせてもあまり支障のないように円香の頭に向かっていきます。


「さすがシズ! アタシの自慢の妹!」


「まじか……」


「はいじゃあラスト! 千才がゴール周辺で自由に動くからそれ計算してドンピシャなシュート位置にパスよろしく!」


「わかりました!」


「それはさすがに無理だよー」


 さすがに常識外の展開に先生も思わず苦笑いでした。


「よし……!」


 静のパスは低空の高速パス。もう千才がそこに行くしかないようなくらいの絶妙なシュート位置にパスを出しました。千才はこれでもかというくらいに気持ちよさそうなシュートをゴールに叩き込みました。


「……あ、ついめちゃ打ちやすそうで自由に動くの忘れてしまった」


「自由に動かないでそっち向かっちゃうくらいの絶妙なパス、しかも計算し尽くされたかのような正確なパス……信じられない」


 先生も驚愕しました。そんなプロでもできなさそうなことを中学一年の華奢な少女がやってのけたのですから。


「ねえ、先生が今から右か左に動くから先読みしてパスして」


「え? わかりました」


 先生は急に目を瞑りました。先生の動く方に先読みしてボールを出すという高難易度なことをやれと言って。


「行くよ!」


 静はふんわりと先生の裏にボールを出しました。先生は後ろを振り返り走りました。


「……!?」


 右か左と言って後ろに走ったのにちょうどいい具合の位置にボールが降ってきました。


「どうして……!?」


「あ、先生の軸足が後ろに向かう動作をしたので後ろかなって思って」


 静はいたって普通ですって言わんばかりの仕草で説明をしました。やはりサッカーをやるモードの静は一味違うようです。


「そりゃ今のシズは攻撃軍師様ですからね! あ、これは小学校の時のサッカーモード時のシズもあだ名ね!」


 攻撃軍師。まさにサッカーをしている時の静にぴったりのあだ名でした。


「ちなみに試合中だと攻撃の指示バンバン出してくれるから!」


「これで分かりましたよね? 一番やばいのは得点王でも神に選ばれた少女でもない。春咲静というひとりの少女だってことを」


 先生は痛いくらいに分かりました。この女の子がとんでもない能力を持っていると。しかも今の今まで存在も知らなかったような華奢な少女。


「で、なんでこんなにすごいのに無名だったの?」


「え、あのーわからないです……」


「あらら、攻撃軍師モード切れちゃったね。えと、シズの試合は基本アタシがいてアタシがいる試合はアタシばっか注目されてたからかなー。みんなほんとにすごいのはアタシのゴールじゃなくてその前のシズのパスなんだけど気づかなかったのかな」


「……あなたが派手なシュートばかり決めるからあなたに注目がいったんでしょ」


 円香が自分すごいトークを始めた時、静を研究してた千才に的確に突っ込まれました。


「あはは! まあ決めるときは派手に生きたいじゃん! でもそのおかげでずっと隠せてたからよくない? シズの存在が分かるのは千才みたいに洞察力に長けている数名と昔のチームメイトくらいなもんだよ」


 確かに静の存在が周知されてないのであれば大会にすごく有利に、しかも今のリラ女子には神の子天野千才と前回大会で大暴れした春咲円香がいます。なので静が攻撃軍師になってもその二人の効果で静への注目はほぼないようなもの。


「どの試合でも攻撃軍師様になってもらってさらに前衛の二人+全ポジできる鳴羽で固めれば……」


「こんなにすごい子が目立たないようになるかも!」


「これは二冠、ほんとに狙えちゃうかもね」


 先生と美鳥は少し悪い顔をしながら笑いました。


「さて、そろそろ解散ね! 明日から普通に部活あるから!」


「はーい!」


 先生は口内へと戻り、部員のみんなは部室に戻りました。



「今日あったことを踏まえてメニュー考えなきゃ……」


「マネージャーさんさんきゅね」


「当たり前でしょ……!」


 瞳深は今日の静のプレーを見て作戦から練り直さないとと熱心にノートに書き込んでいました。


「はいはい、帰るよ」


「ま、待ってあとちょっと!」


「家でやろうよー」


「よし、おまたせ!」


 みんな支度を終え部室をでました。


「じゃ、あたし達こっちだから! また明日~」


「はい! キャプテンに瞳深さんさようなら!」


 美鳥と瞳深は別方向なので分かれました。優芽と真萌莉は途中ま同じ方向で円香、静、千才はほぼ最後まで一緒の道だそうです。他愛もない会話をしながら帰宅していると。


「じゃあ、私たちこっちだからじゃあね!」


 優芽達と別れてまた三人で帰宅することに。


「そういえば天野さんの家どこなの?」


 ふと静は疑問に思ったことを言いました。すると千才はなんと。


「……ウチはそこまっすぐいったところのマンションで一人暮らし始めた……です」


「え!?ひとり暮らしってすごい!」


 千才は静を追ってリラ女子に入学したわけで決して近くに住んでいたわけではないのです。なんとか親を説得して条件付きで一人暮らしを承諾してもらいました。


「お家近くみたいだした遊びに来ていいよ……! それにご飯だって!」


「……あ、ありがとう……静さん」


「静でいいよ! 私も、えっと千才ちゃんって呼んでいい!?」


「……うん。いいよ……静」


「うん! 改めて宜しくね!」


 こうして静達の新たなサッカーの幕が開けるのでした。


「ちょっと姉のこと忘れるなぁぁぁ!」


藍寧柚芽です。

リラフト二話投稿しました。

ついに静の本領発揮です!そして静は主人公でありがちなスーパーストライカーや守護神キーパー的な立ち位置ではありませんでしたね!そうです中盤です!攻撃の指示をする側です!

セットプレーの練習の場面はこれでちゃんと伝わっているかは正直わからないです汗ここはまたいずれ……。

あと今回語尾と丁寧にしようと思ってやっているのですがこれってどうなんですかね?少し最近読んだ小説に感化されてしまっているような……笑

さてさて、今回の前書きは主人公である静ちゃんのお姉ちゃんで前回大会得点王の称号を持ってる春咲円香ちゃんです!

あ、次回はどーんとキャラが増えるのですがもしわかりにくくなるようでしたら台詞の前にもうキャラ名入れようかなって思ってます!わかりやすいの大事かなって思うので!

ではでは~

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