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1 いざ入部!

リラ女子プロフィール

No.2

天野千才 あまのちとせ

中学1年

誕生日:9月2日

身長:150cm

好きな教科:体育

ポジション:LWG

背番号:11

「わ、私はサッカー部に入ります!」


 そう豪語した静に続き、


「ならウチもサッカー部に入ります」


 と、言った千才でした。


「そっか! よかった~! 今三年生卒業しちゃって部員足りなくてね~……。せめてあと三人入ってくれないと十一人にすらならないところだったの!」


 リラ女子サッカー部は県内ではまあまあの成績で特に守備のレベルはすごく評価されている学校です。しかし攻撃の方はなかなか手薄で強豪校相手ではなんとか守れても点が取れずに結局負けてしまうというのがリラ女子の現状でした。さらに部を引っ張っていた三年の引退により部員数大幅減少。現在部員数八人。


 マンモス校ではないリラ女子では女子サッカーの人気が高いわけではないので顧問である押江先生は部員獲得に必死でした。


「これであと一人…! しかも神に選ばれた天才が入ったしこれなら全国二冠も夢じゃないかも……!」


 中学の女子サッカーには夏のインターミドルと冬の全日本選手権という大きな大会があります。だいたいインターミドルと全日本と言われます。インターミドルと全日本の本選は女子サッカーをやってる人は誰もが憧れる舞台です。もちろん静もそこを目指しています。


「あと一人なら私のお姉ちゃんが……」


 静は姉の円香のことを言おうとした瞬間!!


 ガラッ!!


「押江先生いますか! サッカー部入部します!!」


「ちょ、円香ちゃん待ってってば~!」


 円香とその後ろにもう一人追いかけるように一年三組に乗り込んできました。


「ってお姉ちゃん!?」


「あ! シズじゃん! このクラスだったのか~」


「入部希望!? やったこれで揃った! どれどれ~……え!?」


 押江先生は円香の顔を見るなり驚きの表情を見せました。


「入部希望って去年のインターミドル最多得点王の春咲円香さん!?」


「そうでーす! 水芭蕉から転入してきましたー!」


 驚くのも無理ないです。去年インターミドル最多得点王で一年ながら市立水芭蕉中学女子サッカー部全国三位の立役者の春咲円香が入部すると言っているのですから。


「ってことは……春咲さんは円香さんの妹さん!?」


「は、はい」


 静のことは知らなくても仕方ないのでした。小学校の時パスがうまい選手とは言われてきたが目立ったようなプレーは一切してこなかったからです。


「それを早く言ってよ~」


 押江先生は部員が集まってほっとした様子でした。


「あ、優芽が誘ってくれたの? 部員集め貢献助かるよ~」


 先生は続けて円香の後ろを追いかけてきた少女に話しかけました。


「わたしはただ同じクラスになっただけですよ~。円香ちゃんが入部したいから先生のところに連れてって! って言ったから案内したんです」


「そうなのね! ともあれ強力な部員が二人も手に入った! これはすごい収穫!」


「先生みんなを農作物みたいに言ったらダメですよ」


「あはは、ごめんごめん」


 二人……。静にはこのふたりに自分は含まれていないのだろうとわかっていました。千才は神に選ばれた天才と多く報道されていておそらく推薦が多く来ていたはずの選手。姉の円香は去年神奈川の水芭蕉中学で一年生ながらエースストライカーとして全国三位に押し上げた立役者でしかも最多得点王の称号がある。そんな中自分はなにをしただろう。ただ少しパスが上手なだけだ。


「……ま、後のお楽しみでいっか」


「……違う」


 円香と千才は褒められているはずなのになぜか少し苦い顔をしてぼそっとなにかを口に出しました。


「さて! 今日は部活ないけど部室案内するね! ついてきて!」


 静達は先生についていき、教室を後にしました。




「さて、ここが部室!」


 そこはみんなが思い描くようなサッカー部の部室とは違い用具は綺麗に整頓され、ロッカーやその他諸々新品のような空間でした。


「まじか! 水芭蕉と全然違う! めちゃくちゃ綺麗じゃん!」


「当たり前でしょ! 女の子が使うんだから常に清潔を保ってるに決まってるわ!」


 円香が綺麗な部室に驚いていると後ろから物凄く大きな声で言われました。


「おい新入部員にいきなり喝入れるなよもう」


 喝を入れてきた少女の後ろからもう一人現れました。


「あ、キャプテンに内山先輩! 今日部活ないのにどうしてここに?」


 喝を入れた女の子が三年生のマネージャー内山瞳深、その後ろから出てきたのがリラ女子キャプテンの折沼美鳥でした。


「いやーあたしは最近までサッカーできてなかったでしょ? だからひとりで自主トレでもしようかなーって思ってたんだけど瞳深がついてきてねー」


「人を金魚のフンみたいに言うんじゃないの。あんた前の大会で大怪我したのわかってる?」


 美鳥は前回の全日本予選で全治三ヶ月の大怪我をしていました。美鳥の負傷により守備の要を一人失い、その試合は惨敗。去年のリラ女子の全日本選手権はそこで幕を閉じました。


「んーだからそうならないようにしようとしてるんでしょ」


「だから私がマネージャーとしてケアするんでしょ」


「はいはい、そこまでです。みんなポカーンとしちゃってます」


 優芽は慣れたように二人をなだめると静達に二人を紹介しました。


「へぇ~。神の子に天才ストライカーとその妹ちゃんかー。よろしくね」


「す、すごい。この二人の入部だけで攻撃手薄って言われ続けたリラ女子に爆発的な火力が……!」


 美鳥と瞳深は新入部員の詳細を聞くと飛び上がるように驚き、同時にこれは勝てるのではないかと言う笑みを浮かべました。


「あ、みんなここにいたのかー。一年三組まで行っちゃったじゃーん」


 そんな時にまた一人部室に入ってきました。


「あ、真萌莉も!? 先帰ればよかったのに~」


 彼女は茅那真萌莉。優芽と円香のクラスメイトで母親が女子サッカー日本代表の正ゴールキーパーでその母親から直々に教えてもらっていたため去年も一年生ながらリラ女子の守護神として活躍しました。


「帰ろうかと思ったけど部室に向かったって聞いたからー。いちおー私も新入部員拝みたかったしー」


「な、なるほどね……」


「二ノ瀬姉妹と鳴羽は用事あるから先帰るって言ってたわね」


「あ、部室来る途中に希志乃と桜月姫と紗良見かけたけど帰宅途中だったっぽいよー」


 他のメンバーがこないとわかった美鳥はせっかくだしこのメンバーで少し練習するかと提案しました。


「せっかくだしどう? 今更だけど新入部員の実力把握しときたいし。特に妹ちゃんは初めましてだからさー」


 この美鳥の発言は静にはこれはもう実質自分だけが対象の実力テストだと思いました。


「ウチは賛成です。これからチームメイトになるみなさんなのでなるべく早く知っておきたいです」


「アタシもいいよ! 一式持ってるし!」


 実力が知られている二人はノータイムで賛成しました。


「シズ、大丈夫だよ、シズの実力なら絶対に」


 静は円香に諭され賛成しました。


「わ、私も大丈夫です……!」


「うん! 優芽たちはもちろんいいよね?」


「はい!」


「いいですよー」


 今集まっている部員全員がおっけーを出したところで先生が、


「少しだけだからねー。先生は職員会議行っちゃうから、あとはうっちーよろしく!」


「任されました!」


 先生は部室を後にし、職員会議に向かいました。美鳥達はよし! と言うと各々準備を始めました。


 静も準備を始めました。


「頑張らなくちゃ……頑張らなくちゃ……!」


 準備が終わったメンバーからグラウンドに出始めました。最後に残ったのは千才と静です。千才に至ってはとっくに準備が終わっているのに静を待っているかのようでした。


「よし……」


 準備が終わった静が力が入りすぎなくらい張り切って部室を出ようとしたときです。


「……静さんまって」


 千才は満を持したかのように喋りかけました。


「え、天野さんどうしたの……?」


「あなたなら大丈夫だから。ウチはあなたの実力知ってるから。あんまり張り切りすぎないでリラックスして」


 千才は静にそう言うとささっと部室を出て行きました。


「天野さん……。うん、そうだね……! よ~しっ」


 静も部室を出てグラウンドに向かいました。




「改めて聞くけどみんなはポジションどこ希望? ちなみにだけど今のところのポジションは」


 瞳深は現部員の各ポジションを言っていきました。


 ゴールキーパー茅那真萌莉

 センターバック折沼美鳥、右サイドバック二ノ瀬瑠菜、左サイドバック二ノ瀬玲菜

 ボランチ片桐希志乃、右サイトハーフ藍川優芽、左サイドハーフ平森紗良

 左ウィングトップ紅内鳴羽


 これが今のリラ女子の現ポジションです。


「ってな感じの3-4-3で足りてないところは中盤のボランチかトップ下のミッドフィールダーが一人と前線の右ウィング、センターフォワードが一人ずつね。みんなの希望によってはフォーメーション変えるかポジ争いしてもらうかになるわね」


「アタシセンターフォワードで!」


「ウチは……左ウィングがいいです」


「私はトップ下がいいかな……」


 各々希望を出しました。千才だけが既存のメンバーと被りました。千才は右より左のほうが数倍やりやすいらしくポジ争いも辞さないそうです。


「あ、なら左でいいよ」


 美鳥はさらっと左を鳴羽から千才にしていいと言いました。


「……ウチ優先ってことですか。それは納得できないです」


 神に選ばれた天才だからと優先されたような気がした千才は納得ができないことをストレートに伝えました。


「あ、違う違う。そういうふうに聞こえたならごめんね。鳴羽オールラウンダーだからさ。別にポジションどこでも良かったんだよねー。去年の三年生いたときの余りが左ウィングだったからそこにいただけなのよ」


「……そうでしたか。なら遠慮なく左ウィングやります」


「それでほかの二人がセンターとトップ下ね。このまま3-4-3でいけそうね! 正直な話、人足りてない状況だし新入部員そのまま使うからフォーメーションまで変えるとなれるのに少し時間かかっちゃうかなーって心配だったのよ」


 そのままのフォーメーションでいけることにほっとした瞳深。それを聞いて美鳥は次にどの練習をするかを希望を聞きました。


「でさ、なんの練習する?」


 その問いに最初に答えたのは優芽でした。


「キャプテン! 私はセットプレーの練習がいいです!」


「ほう、その心は?」


「私たちに足りてない攻撃の面、特にセットプレーにめっぽう弱い印象があります。新入部員の三人はいずれも前線希望だし攻撃力の判断には一番いいかと!」


「それに優芽自身も好きだからでしょー」


 真萌莉の的確なツッコミにたじたじなセットプレーの攻撃、守備共に大好きな優芽でした。


「ははは、さすが副キャプテンよく見てるね! みんなもそれでいい?」


「おっけーです」


「大丈夫ですよー!」


「は、はい!」


「それじゃ、あたしと優芽が守備で三人は攻撃で! キッカーは……そっか希志乃がいないのかーどうするか」


 普段のフリーキック、コーナーキックのキッカーは希志乃だったため今不在の状況どうするか美鳥迷いました。


「んーあたしが蹴ってもいいんだけどそしたら守備がさすがに手薄になるしなー」


「シズ蹴りなよ。シズの実力見せるチャンスだよ」


「ウチも静さん希望です」


 神の子と最多得点王に推薦された静は……。


「……私が蹴ります」


 明らかに纏っているオーラがガラッと変わった様子でキッカーに立候補しました。


藍寧柚芽です。

リラフトの一話目投稿しました。

今回からは前書きにリラ女子プロフィールとして各キャラのプロフィールを記載していきます。

本編は静が急に雰囲気が変わったところで終わりましたね。次回はイメージが変わる回なので必見です!

前回メチャ長かったので今回はこの辺で笑

ではでは~

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