2話、一息
「偵察兵!ここはどこかわかったか?」
「はっ、報告します。同志ウラジーミフ少将。おそらくですが、ここは地球ではなく異世界と呼ばれる場所でしょう。座標ですが、まだ何とも…」
「それじゃぁ、あれか。私たちは別世界に飛ばされたというのか!」
副官が声を荒げる。
「それで、これがドイツ軍の仕業という可能性は?」
「お言葉ですが同志ウラジーミフ少将。ドイツ軍とはいえこんなことは出来るはずもありません」
私にはその答えが予測できていた。
噂によると、ドイツ軍は原子力爆弾という恐ろしい殺傷能力を持った兵器を研究している、という噂が祖国まで届いていたがいくらそんな科学力を持っていても別世界に飛ばすようなことを出来るはずもない。
「ではだれの仕業だと思うか?」
「…。わかりません。」
「そうか…。引き続き周辺の警戒および偵察を続けろ、何かあったら報告してくれ!」
「了解しました。同志!」
静かな静寂が、周囲を包んだ。誰一人として予想できなかった状態だ。無理もないだろう。
その静かな静寂を打ち破ったのは、副官だった。
「同志、我々はこれからどうすればよろしいのでしょうか…。」
「どうした?」
「いえ、燃料補給や食事など問題点は様々です。しかし我々は帰る場所もありません…」
「……。そうか。だがまずはここがどこなのか情報を仕入れることが重要だ。何か一つでも手掛かりになるようなものは、報告してくれ。あと、これから同志はいらん!」
「いえ、それは…」
「ここは祖国ではない。支配階級はいない。わかったな」
「は、はい」
っと、先ほど報告にやってきた偵察兵が大急ぎでこちらへと向かってくる。
「ほ、報告!」
「どうした?!」
「む、村を発見しました!」
周りに笑顔が戻った瞬間だった。