1話、異世界戦争、開戦
第二シリーズです
「……ここはどこだ?」
「同志ウラジーミフ少将!お怪我はございませんか?」
「あっ、ああ大丈夫だ」
私はウラジーミフ少将である。ドイツへの大攻勢に出たはずだったが今何もない平原の上にいる。
遠くには山がそびえたち、かすかに土ぼこりが立っている……うん?土ぼこりだと。
「て、敵襲!」
1000人近くいる隊の一人が大声を上げた。
第26770機甲師団私の部隊である。T-34が80両、KB-1が12両、IS-1が8両そして歩兵が500人近くの大部隊であった。
これだけの部隊で本来はドイツ軍に大攻勢をかけるつもりだった。だが今訳の分からないところにいる。そして敵が来ている。
「総員!戦闘配置!」
「敵はドイツ軍か?」
副官が戦闘配置を叫び、戦車兵が各戦車へと乗り込む。
歩兵は支給されていた銃を持つ。
「いえ、違います。それなら敵の装備が変です。剣と弓や盾を持っています」
「何を言っている!そんなわけないじゃないか」
「いえ、同志!明らかに剣を持っています。まるで中世ヨーロッパの装備のようです」
双眼鏡を持ち私は土ぼこりが立っているほうに向けた。
そして私は双眼鏡を持ちながら絶叫してしまった。
そこには確かに剣や弓盾を持ちながら走ってきている集団の姿が映った。
そしてその集団は明らかにこちらに友好的な態度ではなかった。
「同志ウラジーミフ少将!どうしますか、無線はつながりません。発砲許可などは…」
「あちらはどう見ても敵対しているだろ!同志シュウェルコフ君、ここが我が祖国ソビエトの領地だと思うか?発砲許可はいらん。戦車隊!発射用意!」
「発射用意!……発射ぁ!」
「撃てぇ!」
ドゴォーン ドーン
T-34の75mm砲が号砲を上げる。それも80両が一定間隔に。
正直弾薬の心配より私は燃料の心配をしていた。
弾薬は運搬車が用意されていた、勿論燃料も積んではいるが長くはもたないだろう。
75mm砲を合図にし、IS-1やKB-1も火を噴き、歩兵も銃を撃つ。
敵は一人、また一人と倒されていき、75mmが落ちた場所にいた兵は数メートル吹っ飛ぶ。
1時間後、そこには敵の姿はなく、死体が折り重なっていた。