プロローグ
転生もの書いてみました。
◇
「この光沢、銃身、重量、グヘヘやっぱり銃は素晴らしい!」
僕は自分が持っているモデルガンを手入れしているところだった。
名前は赤城 煜。
中学の時、ガンシューティングゲームをやり始めてそれからハマりだした。
実銃は撃ったことはないがモデルガンは沢山ある。ただの見栄張りだけど。
今手入れしているモデルガンはベレッタM92F 9mmハンドガンだ。
このハンドガンはイタリアで製造された銃で、1949年から1951年にかけてM1951を開発していて、イタリア軍で正式採用されていた。
しかし1960年代後半になると性能が悪いことが指摘されて、これに応えた製造会社は、1970年より、後継けん銃の開発に着手した。
それによって作られた銃がこのM92Fだ。
僕は朝起きてからM92Fのモデルガンを分解し、部品ひとつひとつ手入れするのが日課だ。
友達に「朝早くからなにやってんだよ」と言われるがそんなことは御構い無しだ。
手入れしている時によく親から「遅刻するぞ」と言われる時が多々あるけどよく無視をしている。
それで本当に遅刻した時は恥ずかしかった。しかも親に怒られた。
その時から早起きを心掛けている。
「ふう…終わったぞ。なんでみんなは銃の素晴らしさがわかんないんだろ」
「分かんないし分かりたくもないからじゃないかな…」
自分の部屋の扉を開けてをう僕に言い放ったのは姉の舞姫奈だ。
僕の通っている高校の2年生で、学校で人気を誇る人だ。
黒髪を腰まで伸ばし、顔が整っていて、勉強や運動が出来るそんな姉だ。
しかし人見知りと引っ込み思案が重なって話すにも話せないことがある、らしい。
ファンのみんなは勉強や運動ができるのにその性格にギャップ萌えした人が多数いるらしい。よく分からん。
「いやね?この銃の素晴ら「いいから、一緒に登校するの!」あのねぇ姉ちゃん。他に親しい人とかいないの?」
僕は引っ張る姉にそう尋ねた。
「だって…煜と一緒にいた方が、安全だから…」
姉は俯きながらそう言った。
なんでも先輩にストーカー行為をされて、家まで特定された挙句、家の前で襲われたからだ。
その時は僕は自分の部屋で銃の手入れをしていたからそのことに気づき、エアガンで撃って撃退した。
それから男に警戒しているのか、僕と一緒に登下校するようになった。
急に姉の側についた僕を見たファンの輩は僕のことを彼氏と勘違いされて、虐められたことがあった。
姉が事情を説明した結果、その輩は僕に土下座をして謝ってきたが。姉貴スゲェ。
「分かったから。着替えるから待ってて」
「うん…」
そう返事した姉は僕の部屋から出て行った。
それを確認した僕は制服に着替えた。
◇
「あんまくっ付かないでくれよ姉ちゃん。恥ずかしいんだからさ…」
「だめ。煜から離れたら、危険だから…」
駅のホーム。
勤務中のサラリーマンやOL達がいる時間帯だ。
今どういう状況かというと…姉が僕の腕に抱きついているのだ。
影から見れば、このリア充め爆発しろ。という声が聞こえるだろう。
もし他の男が腕に抱きついていたら絵にはなるのだけど、いかんせん僕は弟だ。姉に欲情する男ではない。
「そんなくっ付かなくても大丈夫だから。安心して」
姉に優しく言い聞かせた。男不信にも程があると思うんだけどなぁ…。
「うん。分かった…」
姉は僕の腕から離れたが今度は手を握ってきた。どんだけ離れたくないんだろう。
ガタ、ガタ、ガタ、ガタ、プゥゥゥゥン!
「電車が来たよ姉ちゃん。そろそろ離れようか」
「…やだ」
そう姉は言い、僕の手を強く握った。
はあ…。これが僕の彼女だったら良かったんだけどな。
ため息をついて姉の方に顔を向けた瞬間、姉が急に線路に飛び出した。
「姉ちゃん!」
僕は線路に飛び出した姉の手を掴むや否やホームまで飛び乗ろうとした。しかし、
「死ねェ!」
黒いパーカーとニット帽を被った男が僕の手を蹴った。
蹴り落された僕はすぐさまホーム上がろうとしたが、
バァン!キィーーーーーー!
もの凄い衝撃と痛みが身体中に走った。
「な、んだ、これ、?ね、えちゃ、んは…」
僕は意識を失いそうになっても姉の生存を確認したが、力尽き、意識を手放した。
『今日のニュースです。今朝未明に電車事故が起こりました。
被害者は赤城 煜さん、赤城 舞姫奈さんで、電車に跳ねられ、全身を強く打って死亡とのことでした。
警察はこれを事故と見なし、捜査を行うようです』
今日、僕と姉の舞姫奈が電車に轢かれ、この世を去った。
引き続きよろしくお願いします。