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第6話 事件の輪郭

三鷹と会田は事件現場から五分ほど歩けばつく喫茶店にいた。

「三鷹、今回の事件、やっぱり単純だろ?」

「どうしてそう思うんだい。」三鷹がコーヒーをすすりながら尋ねた。

「だって、被害者は銃で頭を打ち抜かれたんだ。だったら話は簡単だ。防犯カメラに写っていた黒ずくめの男。あいつが犯人だ。あいつは暴力団関係者で何か情報が被害者に漏れたから殺しにいった。事件の真相はきっとそうだ。」会田は熱弁した。

 だが、三鷹はコーヒーをテーブルにおき語り始めた。

「俺の推理は違う。俺が思うにこれは自殺だ。」

「自殺だって!?」

会田は喫茶店ということを忘れ、大声で叫んだ。おかげで周囲の客が会田たちをジロジロとにらんできた。

「それは本当なのか?」

「おそらくな。だがトリックは大体わかったのだが肝心の動機がわからない。そこで会田に調べて欲しいことがある。」三鷹は再びコーヒーをすすり始めた。

「何だ。」

「まず、彼の実家の住所だ。」

「それならわかっているぞ。ここだ。」

会田は警察手帳を一ページ破って三鷹に手渡した。

「じゃあ、話は早い。俺はここに向かうから、会田は保険会社にいって被害者に生命保険がかかっているかどうか調べてくれ。」

「わかった。じゃあ行ってくる。」

会田は席を立とうとした。だが三鷹がそれを引き止めた。

「どうした?」

「タクシー代貸してくれ。俺金ないから。」

まったくという気持ちに襲われたものの、会田は仕方なく2万円を三鷹に手渡した。


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