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第4話 防犯カメラ

管理人室は、マンションの一階にある。会田たちはそこに階段を使って向かった。

「管理人さん。管理人さん。すいません警察のものですが。」

 会田が、ドアをバンバン叩きながら管理人を呼んだ。どうやら相当耳が悪いらしい。

「あいあい。ちょっとまっとくれよ。」中から70代ぐらいのお爺さんの声が聞こえてきた。

「すいません。警察のものですが…」

「何度もいわなくてもわかってるよ。」

ゆっくりと扉が開いた。中から出てきたのは、予想通り70代ぐらいの白髪のお爺さんが出てきた。

「すいません。監視カメラの映像を見たいんですが。」

「えっ。なんだって!」

やはり耳が悪いらしい。

 会田がお爺さんとの話しに悪戦苦闘してる横を、三鷹はすっと通り過ぎ、管理人室へ入っていった。

「どれだ。映像は…あっこれか。」

 そこにあったのは、各階とエレベーターの映像が写っているモニターだった。

「これだな。」

会田が遅れて入ってきた。どうやらお爺さんとの話しに決着がついたらしい。

「ちょっとどけ。」

会田は、モニターの前に立っている三鷹に手ではたくような動作をしてそこをどくよう指示した。

「ええと。何時のをみたいんだ。三鷹。」

「お前、それ操作できるの?」

三鷹が半信半疑の顔で聞いてきた。

「できるとも。最初はできなかったのだが捜査に何回もいっていると覚えちゃったんだよ。」

「そうか。ところであの被害者。死亡推定時刻は何時?」

「解剖の結果が出ないとなんともいえないが、おそらく午前1時くらいだな。」

「そうか。じゃあ、午前12時のエレベーター内の映像をみせてくれ。」

会田は頷き、テープを巻き戻しはじめた。

 数分後、巻き戻しが終わり、一番下のモニターに午後12時の映像が流れ始めた。

 そこに写っていたのは、灰色のタイルと灰色の壁だけだった。たまに乗り降りする人もいるが、全然怪しくもない。

「おい、三鷹。これに何か写っているとでもいうのか。」

 まだ数分しかみてないのに、会田がぼやき始めた。

「まぁ、そんなにあせんなって……おい、今のところもう一回!」

 会田は急に言われたので驚いたが、それを顔に出さずにテープを少し巻き戻した。

「再生しろ。」

「へいへい…」

会田が言われるがまま再生ボタンを押した。

「ほらここ!」

三鷹はモニターを指差した。

 三鷹が指差した場所に写っていたのは、頭から足まですべて黒でコーディネートされている男だった。

 そいつはあたりをキョロキョロしながら、エレベーターから降りていった。怪しい。

「犯人は、こいつか。」

 会田は三鷹にきいてみた。

「その可能性はある。」

「よし、佐藤。こいつの身元を探れ!大至急だ!」

佐藤は大慌てで管理人室を飛び出していった。

「今回の事件はお前要らなかったな。」

「いや…この事件には何かある。」

三鷹の顔は険しくなっていた。

「会田、コーヒーのみたいんだけど。」

「じゃあ、近くの喫茶店にでも行こうか。」

「ああ、そうしよう。」

二人は管理人室を後にした。


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