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第3話 聞き込み

 聞き込みで最初に向かったのは現場の隣の松浦さんの家だった。

 チャイムを鳴らすと、白髪の男の人が扉の奥から、顔を出した。おそらく松浦さんだろう。

「すいません。警察のものですが、少しききたいことがあるのですが…」

会田は、警察手帳を見せて聞き込みのときに使ういわゆるセールストークを存分に使って白髪の男性にしゃべりかけた。

「なんじゃ。警察がわしに何のようじゃ。」

白髪の男性は、ぶっきらぼうに言葉を放った。

「私は、捜査一課の会田信次。こっちは後輩の佐藤兼次です。」

「その後ろにいる奴は誰だ?」

白髪の男性は、黒のダウンジャケットを着た男を指差した。三鷹だ。

「あっ。俺ですか。俺は三鷹啓介。後始末引き受け店やってます。」

「なんじゃそりゃ…まぁ、そんな事どうでもいい。で、警察が何のようじゃ。」

会田は警察手帳を開いた。

「実は、隣の部屋で殺人事件がありまして、その犯人を探しているのですが…」

「何か、心当たりはありませんか!」

佐藤が張り切った様子で白髪の男性にきいた。

「残念だが知らんよ。だがよく隣の部屋で口論しているのはよく聞くがな。」

「それはいつですか!」

会田と佐藤は声を揃えてきいた。

「確か、一週間ぐらい前だったと思うぞ。」

「ありがとうございます。」

 結局、白髪の男性からはこれしかきき出せなかった。

 次に向かったのは、事件現場の真下の階の鈴木さんの家だった。

松浦さんのときと同じようにチャイムを鳴らすと、今度は若い女性が出てきた。

「すいません、警察のものですが今うえで起きた殺人事件について、聞き込みしてるとこなのですが協力してもらってもかまいませんか?」

 女は、新宿二丁目で働いていそうな格好をしていた。顔もそんなに悪くなかった。

「はい…別にいいですけど・・」

女は多少おびえた様子で答えた。

「昨日の夜、何か変わったことはありませんでしたか?」

今度は会田が質問した。

「そうですね…特には…」

「そうですか…」

 会田があきらめた瞬間、女は声を荒げた。

「あっ、思い出しました!でもこれあんまり事件に関係ないかも…」

女は口を閉ざした。

「どんなことでもかまわないんです。教えてください!」

佐藤も声を荒げた。

「はい、わかりました。あれは確か午前1時くらいだったと思います。私が洗濯物を取り込んでいると、突然、上から赤い光が下に向かって落ちていったんです。」

 女は信じて欲しい目でこちらを見てきた。

「はぁ…そのあと下は見てみましたか。」

 会田は、半ばがっかりしながらきいてみた。

「いえ、みてません。」

「何故です。」

「そのときは何かの見間違いだろうと思ったので。」

「そうですか…」

 会田は警察手帳を閉じ、女にお礼を言った。

「捜査にご協力ありがとうございます。」

「いえいえ。」

会田はゆっくりと扉を閉めた。

「有力な情報は手に入りませんでしたね。」佐藤が半ば落ち込む感じで言った。

「ああ、そうだな。」と会田が言ったとき、三鷹の声が聞こえてきた。

「この事件面白くなってきたな。」

三鷹は、黒のダウンジャケットのポケットに手を入れて、会田たちを追い越した。

「おい、どこに行く。」

「管理人室。防犯カメラの映像見たいんだ。」

そのとき、会田は三鷹の心に推理の火がついたのを感じた。


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