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時代遅れがやってきた

もうちょっと続いてしまいました、

キリが悪く短めです

 俺の目の前に勇者が立っている。

 だが、名前が思い出せない。


 よく考えてみれば。

 他のクラスの男子の名前なんて接点が無ければ普通知らないモノだ。

 だから俺がコイツの名前を覚えてないのは仕方ない事。


 ただ、俺の知っているコイツは印象がかなり違う。

 どちらかと言うと俺寄り、目立たないで大人しいタイプの人間だった。

 クラスに1人は居る地味な方。


 間違っても『オッス!』なんて声を掛けてくるタイプでは無かった。

 ボサボサだった髪は逆立てて、やる気の無さそうだった目はやる気に満ち溢れており、常に閉じていた口元は、白い歯を見せ付けるように笑みを浮かべていて‥


 まるで別人――



 ――一体何があったんだ?

 もしかして偽者か洗脳系か?


 それとコイツ名前が思い出せない、川が付いてた気がしたけど‥‥



 俺が名前を思い出せないで苦戦していると、そこに助け舟がやってきた。


「陣内君!陣内君!北の防衛戦やってるけど参加するの~?」

「いい所に来た伊吹!」


 名前に川が付いていそうな勇者を知っていそうな奴が来たのだ。

 俺に用があるみたいだが、今は――


「オッス伊吹ちゃん!久々だね」

「あれ?小山君、小山君もこの町に来たんだ」


 ――名前違ったー!

 川じゃなくて山の方だったか、



「いま来たばかりさ、それと相変わらずデカイね」

「――え?」 

 

 何がデカイのかを示すように小山はソレを鷲掴みにしたのだ。

 ただ、伊吹はブレストアーマーを装備しているのでソレ()は硬い鎧だ。

 しかし、その行動に驚いた伊吹が全力で顔を引っ叩いた。


「っきゃぁぁぁあ!」

「―っぶほぁ!!」


 

 レベル75を超えており、しかも【剛力】持ちの平手打ちである。

 

 テーブルに突き刺さるのでは?と思う程の勢いで小山が飛んで行き、テーブルを薙ぎ倒し周りに多大な被害を与えていた。

 

 

 あまりの出来事に、その場に居た全員が身構える程の騒ぎとなった。


「きゃあー!セイジュウロウ様ー!?」

「勇者様平気ですかー!」

「貴様!我等のコヤマ様に何をするか!」


「っえ?え?だっていきなりだったから‥‥」

「いや、完全に小山がうら‥‥小山が悪いだろ今のは!」


「あの、ご主人様?」

「ジンナイ様、なんか今‥、漏れてたですよ?本音的な何かがです」


 まさかの飛び火である。





             閑話休題とばっちり





 その後、小山パーティの回復役の献身的な回復魔法で、小山は一命をとりとめた。

 少し騒動があったが、理由(パイタッチ)を話すとすぐに収束した。

 

 今は落ち着いて小山達と話している、小山が連れてきたパーティは5人。

 小山は、西のゼピュロス領からやって来たそうだ。

 そして小山がこの町にやってきた目的が。


「ちょっとオラの強さを、いっちょ周りに見せてやろうかと思ってな」

「ねぇ、小山君。なんか性格変わってない?」


( なんだ強さの自慢に来たのか? ) 


「なに言ってんだよー!オラはこの異世界に来てから変わってないさー」

「そ、そうなんだ、凄く明るくなったからビックリしちゃったよ」

( あれ? )


 俺は伊吹と小山の会話でピンと来たモノがあった。それは――

 

 ――コイツ、異世界デビューしやがった!

 異世界で勇者様ってチヤホヤされるから、そのままキャラ変えたのか、、



 小山は俺とは逆に、性格が明るく変えたのだと予想した。

 世間一般で言うところの、異世界デビューと言う奴を‥‥


( いや、異世界デビューってあるのか? )


「今まで西にずっと居たけど、オラの修行の成果を見せてやるよ伊吹ちゃん」 

「ええっと‥」


「西の迷宮で常に戦い続けたオラの!オラの強さを見てくれよ!」

「ああ、うん」


「もうレベル50超えたんだぜ!西じゃあトップクラスさ」

「あ、50なんだ」

( っは?50? )


 ふと気になる事が出来た。

 どうしても質問してみたくなった事があったのだ。


「なあ小山。ちょっと聞いてイイか?」

「んん!オラに何が聞きたいだ?」


「小山って魔石魔物狩りって知っているか?あと迅盾とか聞いた事は?」

「魔石魔物か?知ってるさ!オラ達なら6人で倒せるぜ!」


「じゃあ迅盾は?」

「それは知らないけど、西じゃオラは鉄壁の盾と呼ばれてるぜ」


「西って鎖国でもしてんのか?」

「なんだそりゃ?水には囲まれてたけど」


 

 なんだか、西方面は情報が遅れている気がしたのだ。

 俺がドライゼンから聞いた西領地の情報を思い出す。


 鉱山が豊富で鉱石が大量に採れ、川や湖が多いのでそれを利用して運搬を行って、重い鉱石を運んでいる領地。


 そして水が豊富で様々な作物を栽培していると。

( あと地下への階段が多い場所か )


 早い話が輸出はあっても輸入は少ない領地。

 情報が入り難い場所なのかも知れないのだ。


「小山。西にいる勇者以外に会った事あるか?」

「ん~~会って無いな、だからオラは外に出て来たんだし」


「小山。ちょっと【鑑定】使って強さを見てみろ‥」

「な~に言ってんだ、勝手に【鑑定】で誰か見るなんて失礼な行為だろ」


「西はそうかも知れないがこっちは違うぞ、いいから見てみろって」

「オーケーオーケー!わかったよ、――ってステータスそのままか」


「俺のじゃなくて伊吹のだよ」  

「え!いいの?覗いちゃっても?パーティじゃないのに」


「うん、いいよ見ても」


ステータス


名前 伊吹 紅葉

【職業】勇者

【レベル】80

【SP】554/554

【MP】379/379

【STR】414

【DEX】380

【VIT】373

【AGI】401

【INT】366

【MND】351

【CHR】384

【固有能力】【宝箱】【鑑定】【天駆】【剛力】【瞬閃】【高速】【成長】【剣技】【体術】【度胸】【巨乳】

【魔法】雷系 風系 火系 土系 氷系 水系

【EX】『回復(中)リング』

【パーティ】現在誰とも組んでません


 ――――――――――――――――――――――――――――――――――


「―っはい?」

「どした?あ、俺の奴隷の二人も【鑑定】してみろ」



ステータス


名前 ラティ

【職業】奴隷(赤)(陣内陽一)

【レベル】79

【SP】116/432

【MP】91/314

【STR】 293

【DEX】 321

【VIT】 276

【AGI】 419+5

【INT】 259

【MND】 285

【CHR】 344

【固有能力】【鑑定】【体術】【駆技】【索敵】【天翔】【蒼狼】

【魔法】雷系 風系 火系

【EX】『見えそうで見えない(強)』『回復(弱)リング』『※※※※※』 

【パーティ】陣内陽一 サリオ82


 ―――――――――――――――――――――――――――――――――


名前 サリオ

【職業】奴隷(赤)(陣内陽一)

【レベル】82

【SP】264/264

【MP】214/598

【STR】221

【DEX】243

【VIT】213

【AGI】248+5

【INT】379

【MND】350

【CHR】283

【固有能力】【鑑定】【天魔】【魔泉】【弱気】【火魔】【幼女】【理解】

【魔法】雷系 風系 火系 土系 闇系

【EX】『見えそうで見えない(強)』

【パーティ】陣内陽一 ラティ79


 ――――――――――――――――――――――――――――――――――


「かはっ!!」 


 小山は顎を限界まで開き、喉から声を漏らしつつ固まってしまった。

 後ろに居るパーティメンバーも似たような感じだ。


「魔石魔物狩りって言うのがあってな、それで‥聞いてるか?」

「陣内君、固まっちゃったよ」


「たぶん真面目にコツコツと雑魚魔物倒してたんだろうな‥」

「なんだかハーティさんには感謝だね」



 ネットなどが無い世界なので、情報の伝達に差があるのだろう。

 魔石魔物狩りがこの町で出てきたのは三ヶ月前位。


 魔石魔物狩りを知っている冒険者が流れないと伝わらなかったのだ。

 その結果、こんな事になったのだろう。


 目の前で固まってしまっている小山パーティの6人。

 

 俺はそれを見てため息をつく。

 小山に西領地の生の情報を聞きたかったのだが‥‥。


「固まったまま復活しないな、コレ(小山)魔法で治らないかな?」

「私は石化解除魔法覚えてないよ」


 

 俺は小山に聞きたい事があったのだ。


 西の領地は安全なのかどうか。もしこの町を出る事があった時の為に。

 政治的な部分や、風習などを。


 

 だが、ショックから小山が戻るのにはもう少し時間がかかったのだ。


 ――早く復活しろよ‥‥

下る階段は例のあれです


感想やご指摘などお待ちしておりますー

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