乱闘騒ぎ
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――あの野郎が見つからねぇ‥
あの相応しくない奴が見つからない。
何処に行ったんだろうか、地下迷宮の入り口で張っていたのに。
どうやら今日は休みのようだ。
宿を全部を虱潰しで行くには、手間が掛かりすぎる。
周りに奴に聞いた、奴の噂話は謎な部分が多すぎる。
ただ、共通点があるとしたら、奴には手を出すなばかりだった。
それとあの狼人の奴隷は、名前がラティ
ちょっと気になった話は、主を30回以上乗り換えていると言う事。
――いくらなんでも、多すぎるだろう!
どんだけ主を替えてんだよ!何か理由があるのか‥‥
まぁ俺が最後の主だけどな、
しばらく野郎を探していると、奴と一緒に居た小さい奴を見つけた。
何かの買い物をしている様子だ。
一応【鑑定】でチェックしてる。
「っな!なんだ?」
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ステータス
名前 サリオ
【職業】奴隷(赤)(陣内陽一)
【レベル】81
【SP】264/264
【MP】583/583
【STR】220
【DEX】241
【VIT】211
【AGI】245+5
【INT】374
【MND】347
【CHR】279
【固有能力】【鑑定】【天魔】【魔泉】【弱気】【火魔】【幼女】【理解】
【魔法】雷系 風系 火系 土系 闇系
【EX】『見えそうで見えない(強)』
【パーティ】陣内陽一 ラティ78
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「なんでこんな奴がレベル80超えだと!?」
――しかも、STRだって俺よりも上だと!?
いや、あれは単純な数字だ、力の使い方を知らなければ、十全発揮できない、
慣れて無いだろうから、せいぜい、100程度しか使いこなせないはずだ、、
ステータスとは、本人が発揮出来る力の最大値を示している。
STRが100っても、力仕事などしていない人の場合は、50~60程度。
普段から力仕事などで、体の動かし方を慣れていなければ。
STR100の力は発揮出来ないのだ。
「あの小さいのを着けて行けば、奴の宿が判るな」
――ある宿屋の前――
「さて、奴の宿は突き止めたし、乗り込む前に金の用意か‥そうだ!」
――あの使えねぇ金を使うか!
あのクソ領主によこされた紙幣で奴隷代を支払ってやるか、
「ふははははは!良いアイディアだぜ」
――宿の食堂――
「なんだあの相応しくない野郎は、食う物も釣り合わねぇ」
――ふざけやがって、すき焼きだと!
歴代勇者が残した贅沢品のひとつじゃねぇかよ、
気に食わねぇ‥
「おい!ちょっと邪魔するぜ、お前に話しがある、いや命令だな」
――むかつく野郎だ、
しかし、近くで見ると本当にイイなこの狼人の娘は‥‥
マジで分からん、なんで今まで誰もコイツから奪わなかったんだ?
「わかりました、飯食った後に話しを聞きますよ」
「うるせぇ、今聞け!用件はひとつだ、その奴隷を俺に売れ」
――なんでコイツは余裕ぶってんだ?
っは、女の前だからか?だが、今からその狼人は俺の物だけどな、
「飯が終わるまで待って貰えますか?」
――待つかよ!馬鹿か、
「ほらよ、金は払ってやるからよ、狼人の奴隷を寄越せ」
――こんな高けぇモン喰いやがって、
お前には分不相応なんだよ、飯もその奴隷も、
――宿屋の外・町の通り――
――おかしい?何でだ?
コイツをぶん殴って、狼人奴隷を俺が貰って終わりなのに、
なんで周りの奴等は、俺が負けると思っていやがるんだ?
気に食わねぇ‥
まぁ、保険で強化ポーション持ってきてある、力が3割増しになる、
負ける事はねぇ、さて ぶっ飛ばして奴隷を頂くか、
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月を見上げると時刻は7時過ぎ。
地下迷宮帰りと、夕食や飲みへ繰り出す冒険者が多くなる時間帯。
喧騒に包まれた町の通り――
「少しは粘れよー!茶髪の方」
「誰かー!あの馬鹿の情報知らないかー?」
「現在オッズは、っだれか茶髪に賭ける勇気ある奴いねーかー?」
「馬鹿か!誰が賭けるんだよ!」
「殴り合いならどうにななるんじゃねぇの?」
「アホか!北での喧嘩見てねぇのかよ」
「茶髪がんばれよー1分は持たせろ」
「賭ける奴いないかー?茶髪が何分持つか賭ける奴いないかー?」
「なぁ、黒髪の方ってそんな強いのか?そうは見えないんだが、」
「お前‥知らないのか?」
ヒートアップする野次馬達。
しかし今回は珍しい事に、相手の方がアウェーだった。
油断をする訳ではないが、気分的にはかなり楽だ、背後からの不意打ちをされる可能性が少なくなる。
一応ラティには、周囲を【索敵】で警戒してもらっている。
あと王女様から貰った髪留めも反応はない。
「ラティ、周りに敵は?」
「あの、特にこれといった殺意は感じられません、監視は数人か居ますが」
「わかった、一応周りを警戒しておいてくれ」
ラティに指示を出し、俺は相手を睨みつける。
相手からはそこまでプレッシャーを感じない、どちらかと言うと弱そうだ。
感想を言えば普通の冒険者、それなりの経験はありそうだが。
修羅場を潜り抜けてきた、と言うタイプでは無さそうだ。
だが奴は俺から、ラティを奪おうとし行動をしてきた――
腹の奥で黒い塊が疼く感覚がする‥
話し合いなどの必要はない。
短絡的で幼稚な考えだと自覚はしているが。俺は‥
「ぶん殴って、二度とそんな気が起きないようにしてやる!」
「っへ 俺に勝てるってのかよ!この身の程知らずがよぉ」
ドッと周りの野次馬達が馬鹿にしたように笑い出す。
中には茶髪の相手を指を差しながら、腹を抱えて笑っている奴までいる。
笑っている野次馬を見ると、皆どこかで見た事がある連中ばかりだった。
もしかしたら地下迷宮や、防衛戦で一緒だったのかも知れない。
自分が笑われている事に気付いてないのか、相手は不適な笑みを浮かべてる。
俺がそれを心の中で呆れていると、何を勘違いしたのか。
「なんだよ怖気ついたのか?来ないならこっちか行くか」
「‥‥‥」
ラティが相手を【鑑定】した時に俺に報告してきた情報に。
相手は【打撃】持ちだと言う情報を伝えてきた。
――アイツのあの自信は【打撃】でのWSなのだろうか?
前にやった荒木を同じだろうな、それなら‥‥
「いくぜぇぇ!バーンナッ――っが!!」
「遅えぇ!」
一瞬で勝負がついた。
拳系WSを放とうと振りかぶった瞬間に間合いを詰めて。
相手の顔面を鷲掴みにして、地面に叩きつけてやったのだ。
WSはモーションに入ったら簡単には止めれない。
相手は不用意に俺の前でそれを行ったのだ、しかも一度見てるモノを。
あまりの呆気なさに、俺はコレを罠だと思いすぐに周囲を警戒した。
また北原辺りに、魔法で襲撃でもされるのではないかと。
魔法防御効果の髪飾りに手を置きながら、周りを確認するが襲撃の気配はない。
だが、1人だけ不審な動きがあった。
地面に叩きつけられ、脳震盪を起していた相手が何かを飲もうとしてるのだ。
当然――
「させっかぁ!」
「――っあ!」
俺はすぐさまそいつの手を蹴飛ばし、手に持っていた小瓶を蹴り飛ばした。
「くっそ!てめぇ卑怯だぞ!」
――はぁ?ちょっと待った何を言ってんだ?
明らかに回復薬か何かの薬品を飲もうとしてるのを見逃せと?
「お前は馬鹿か?なんて喧嘩中に怪しげなのを飲もうとしてるのを見逃せと?」
「う、うるせぇ!」
仰向けに倒されている相手は、顔を真っ赤にして抗議してきていたが。
蹴飛ばされた小瓶を見つけた野次馬が、声をあげた。
「おい!これって強化ポーションじゃん」
「はぁ?先に飲んどけよ、やられてから飲むって、」
「ばっか、コレって高いんだぞ、ケチって先に飲むの止めたんだろ?」
「でも見る限りじゃ飲んだ所で結果は変わらないだろうな」
倒されていた相手がさらに顔を赤くしていく。
どうやら図星の様子だ、しかも駄目出しまでされいる。
「くっそ!なんで俺がお前みたいなッ――ッウガァ!!」
俺は無言で相手の右腕をひっぱり、体を浮かせてから頭を足の裏で蹴り抜いた。
右腕をひっぱられ固定されているので、蹴りの衝撃が頭と首によく響く。
「いってぇな!てぇ――ッガ!」
喋ろうとしたのでもう一度蹴り抜く。
「ふざけッ――ッガァ!」
再び蹴り抜き、それを見ていた周囲が少し静まり返る。
「待ってくッ――ッアヴァ!」
今度は少し弱めに蹴り抜いた。
野次馬達も完全に沈黙していた、サリオは慌てた表情、ラティは変わらず。
それから相手が何かを喋るごとに蹴り抜いた。
そして10回を超えた辺りで、相手は何も言わなくなっていた。
そこで始めて俺からソイツに声を掛ける。
「どうする?早く答えろ早く早く早く早く!」
「ヒィィ!わかった分かったから許してくれぇ!」
出来る限り悪そうな顔をして奴を追い詰める。
周りの連中にも伝わるように、手を出したらどうなるかと。
「何が?わかった?」
「諦める!諦めますから、もうやめてくれ!」
「何を?」
「奴隷は諦める俺が悪かった――っが! あヴぅぅ」
周りは完全にドン引きしていた。
賭けをしていた奴も、黙り込んで俺の次の行動を注視している。
しかし此処で、この沈黙を破る存在が現れた。
「おらー!お前達なんの騒ぎだ」
「あ、中央からの警備隊だ!」
「誰だよ!警備隊にチクった奴は?」
今まで全く見た事は無かったが、どうやら警察的なモノが来たらしい。
反応を見る限りでは、通報があって始めて動くタイプの様だが。
そして当然‥‥
「おい!お前等が騒ぎの原因か?」
町の警備隊の介入で乱闘騒ぎは終わりを迎えた。
野次馬はすぐに散って行き、賭けの結果で揉めている奴等だけが残っていた。
俺と相手は話を聞く為に警備隊に連行された。
素直に連行に応じたのは、揉めると面倒になりそうだからだ。
今回の騒ぎを見ていた、ドライゼンからの助言だ。
ドライゼン曰く、喧嘩程度では大した罰もなく、ただの事情聴取で終わると。
逆に揉めると町の出入り禁止もあると。
こうして今回の俺の乱闘騒ぎは幕を閉じた。
一応事情聴取は残っているが‥‥
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