閑話1
リクエストを頂き、拙いながらも作りました
正直憧れてました、閑話系!
無理矢理正月ぽく仕上げました。
俺はまどろみの中から目を覚ました。
何故か今日の予定が思い出せない。
すでに起きているラティに、今日も地下迷宮だっけ?と訊ねる。
「あの、ご主人様 今日は休日予定だと、昨日は言ってしたねぇ」
「あ、そうだっけ?、それじゃゆっくりするかな」
休日と言っても特に娯楽がある訳でもないので。
朝食をゆっくりと食べる事にした。
最近は助っ人傭兵ばかりだったから、体が鈍る。
そんな事を考えながら、呆けていると、隣の会話が耳に入ってきた。
「‥おい!聞いたか北の弓勇者様がこの町に遠征で来るらしいぜ」
「‥へ~重なるもんだな、俺は聖女様が久々に来るって聞いたぞ?」
「‥マジか、俺は勇者の女神様が、町に戻ってくるって聞いたぞ!」
俺達3人はその会話を、気付かないうちに盗み聴きをしてしまっていた。
何となく、無言で聞いてしまったのだ。
特にやましい気持ちがある訳で無い。
ただ、何となくラティの機嫌がちょっと悪くなったのと。
急に、城下町に行きたくなったので、馬車乗り場に向かった。
俺の中の勘が言うのだ、『面倒な事になるぞ』と。
俺は自分の勘を信じて馬車乗り場に向かう。
この町の馬車乗り場は。
町の入り口の横にあるのだ、みんなそこから乗って行くのだ。
なので、当然そこに馬車が止まる訳で、余所からの馬車も。
「あ!陣内君、一週間ぶり?かな」
「葉月‥」
勇者で聖女様の、葉月由香が丁度馬車で到着していたのだ。
その彼女の後ろには。
護衛かパーティかイケメンの男達が5人ほど立って居た。
俺を睨みながら、殺気も立てながら。
「やあ陣内君、僕達をお迎えにでも来たの?」
「ハーティ、北から戻ってきたんだ」
北に遠征に行っていた勇者三雲組で転生者のハーティが立っていた。
そして、その後ろには勇者で女神様と呼ばれている言葉も居た。
ただ、何故か言葉は上目遣いで俺を見つめているのだ。
横では勇者三雲は俺を睨んでいた。
そんな時に、大型の馬車が到着した。
馬を6頭も使った馬車だ、その馬車から10人程のが降りてくる。
馬車から降りてきた10人の冒険者、その中から。
背が高く、長い黒髪をポニーテイルにした女性が俺に声をかける。
「じ、陣内。久しぶり、前の防衛戦では助かったわ」
ちょっとつり目気味の、切れ長い目を伏せがちに、俺を見つめてくる女性。
早乙女京子も現れたのだ。
そして、連れて来た9人も俺を、訝しげな視線を向けてきた。
人通りの多い町の入り口。
そこに集まる4人の勇者、しかも全員が女性。
突然の勇者達の登場に、無駄に色めき立ち盛り上がる冒険者達。
もう面倒なことになりそうなので、馬車で逃げようと思うと。
「あ、いたいた!ジンナイ、悪ぃけど今日の助っ人傭兵お願いできないか」
「ドライゼン‥‥てめぇ、」
奴は空気を読まずに、俺に呼びかけて来たのだ。
すると。
「陣内。あたし、この町は始めてだから、案内がてらにソレに参加させてよ」
「はい!私も参加したいかな、あ!ラティちゃん、スカート使ってくれたんだ」
「陣内君、僕達も久々に魔石魔物狩りかな?それなら参加したいかな」
「‥‥‥‥」
最初に参加希望を出してきたのが早乙女。
――なんで参加なんてしたいんだよ、
よし!断ろう、ワザワザ参加させる理由はないし、観光なら勝手にいけ、
次に元気に声をあげて、参加希望を出したのは葉月。
――彼女も断りたいけど、
スカートの事を言うって事は、あの時の借りを返せ的な意味か?
断り辛い、そうすると早乙女も断り辛く、
その次ぎはハーティも参加を希望してきて、その後ろでは無言の言葉。
ハーティには北での騒動で世話になったしなぁ、
特に言葉には、命を救って貰ったし回復魔法の借りも、
無理だ断れない‥‥
「ん?ジンナイどうした?頼むよ、赤城様に頼まれちゃってよ、」
――コイツ、
ぶん殴りてぇ、、タイミングが悪すぎる‥
こうして急遽、冒険者連隊を組む事になった。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
今日の地下迷宮の狩場は。
人数が多い事とと、実力も高いと言う事で、中層エリアに決定した。
その戦力は。
勇者が葉月・言葉・早乙女・三雲・赤城の5人。
冒険者は
葉月のパーティは5人
ハーティ達が14人
早乙女のパーティが9人
赤城組が18人
合計54名の、かなりの戦力が集まったのだった。
そして魔石を2個置きから開始した。
中層なので、上位魔石魔物が湧くが。
「はい!弓WS”サイスラ”!」
弓から放たれた、光る刃が、白い軌跡を残し魔物を貫く。
「でぇい!弓WS”ピアシグ”!」
こちらも弓からレーザーのような光が魔物に突き刺さる。
強敵である上位魔石魔物でも、簡単に黒い霧に変えていったのだ。
そして冒険者達は。
ワザと怪我を負って、葉月と言葉に回復魔法を掛けて貰おうとしていた。
「うう、膝に矢を受けた、」
「くそ、さっきの魔物は手強かったぜ、まぁ倒したがな」
「俺でなければ、先ほどの攻撃は防ぎ切れなかったぜ」
「っちぃ、ミスっちまったぜ、俺とした事が、」
「ちくしょう!さっきの魔石魔物は、この辺りじゃ最強クラスだったぜ、」
「俺の方のは、四天王クラスだったぜ」
「危なかったぜ、俺クラスじゃなければ見切れなかったぜ」
「なんとか即死で済んだぜ」
馬鹿共が、なにやら黒歴史を量産していた。
――馬鹿じゃねえのか、矢ってどっから来たんだよ!
フレンドリーファイヤーでも貰ったのかよ!
他の奴等も碌なのがいねぇ、どうなってんだ‥‥
勇者の方では、赤城が必死にスカウトに動いていた。
葉月と言葉に三雲も狙っているようだが。
ハーティと葉月の連れてきた騎士っぽい冒険者に阻まれていた。
「やあ葉月さん、ちょっと話しが――」
「赤城様!我らが聖女様に何か御用でしょうか?」
「葉月様は、教会の宝ですから」
「久しぶりだね言葉さん、同じクラスの赤城だッ――」
「これは赤城さん、僕の教えた魔石魔物狩りやってたんだね」
「あ、三雲さんちょっとッ――」
「そう言えば最近は浅い層でも強いのが湧くようだね」
赤城はきっちり排除されていた。
――あ、でも早乙女は勧誘してないのか、
まぁ分かる、ちょっと目つきが怖いもんな、赤城は苦手そうだな、
でもアイツって話してみると、結構可愛いのにな、、
俺の方は。
ほとんど戦闘に参加出来ていなかった。
出番があるとしたら、強敵ハリゼオイが湧いた時だが。
ハーティと葉月に言葉から支援魔法に、魔物への阻害魔法の嵐。
さすがに、このメンツ相手では、冒険者殺しのハリゼオイも問題なかった。
ほとんど、盾役を必要としない戦闘が続いた。
ラティも対抗するかのように、
固いイワオコトが無理だったが、比較的に柔らかいクモ型や芋虫型は。
”繋ぎ”からの”重ね”のWSで屠っていた。
始めて見る”繋ぎ”と”重ね”には、冒険者達は驚嘆の声をあげていた。
その後も54名による、魔石魔物狩りは続いた。
途中からは戦闘に余裕があり、葉月達が俺に話し掛けてくる事が増えていた。
その結果、俺はやたらと野郎メンツに恨まれた。
何となく気持ちはわからんでもないが、正直勘弁して欲しかった。
さすがに時間がかなり経過した辺りで、混乱の魔石魔物狩りは終了した。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
現在は、いつもの食堂の角にあるテーブル。
「ガレオスさん、本当に行くんですか?」
「ああ、行くしかないだろう?なぁ、ハーティ?」
「付き合いは大切だからね、もちろん行くよ、っね、ドライゼン君」
「ああ、今度こそ俺の情報力を見せるよ、赤城様は呼ばなくてイイよね?」
どういう流れか、赤城を抜いたメンツ、総勢40名で階段に向かう事になった
俺は勘弁して欲しかった、が ガレオスの一言で考えが変わった。
「人を隠すなら人混みだ、これならバレないぜ」
「天才か!?」
俺達は冒険者連隊を組み、冒険をすることになった。
階段の下へ。
今回は斥候を3人も出し、ルートの安全確保。
しかも、今回は屋根側もしっかりと警戒を怠らない。
陣形も、教会組の5人の意見を採用し、インペリアルアローの陣形。
素早さを生かしつつ、守備も忘れない陣形で行くことにした。
因みにガレオスはアマゾンストライクを押していたが。
今回は攻撃力は必要無いので却下した。
作戦行動中は、教会組の5人のうち1人が
【固有能力】の【伝達】と言うものを使って、各自連絡も取り合えた。
しかも、この【伝達】はかなり貴重な【固有能力】らしい。
有効性からも、それは理解出来るものであった。
弾薬も確認し、まさに死角はない布陣。
隠蔽魔法や認識阻害魔法もフルに活用し、強化魔法による移動速度も上昇。
烈火の如く、疾風のように、林に成りて静かに、山と化して堅く。
突き進む――
俺達は地下へと続く階段に向かった。
誰1人欠ける事なく、階段に辿り着けたのは、まさに僥倖だろう。
だた、一つだけ運が悪かった事があるとすれば‥‥
「あの、ご主人様、そろそろ遅いお時間ですので戻りましょう」
「ねぇ陣内君‥一緒に戻ろっか?」
「陣内君、お話があるんだけど、聞いて貰えませんか?」
「陣内、宿に帰るよ、反論は聞かないわよ」
4人が階段前で、フリーファイトの陣形で待っていたのだ。
とても冷たい笑顔で4人が近づいてくる。
三日月の形の口元、とても綺麗な笑顔なのに、全く温度を感じられない。
瞳はハイライトが消え、寧ろ光を呑み込むような闇が広がり。
醸し出す雰囲気はプレデター。
俺は瞳を閉じて諦める。
そして再び目を開くと――
「あの、ご主人様 大丈夫ですか?酷くうなされておりましたが」
「はぁぁぁ、夢かぁ」
「夢を見られていたのですか」
「ああ、夢か、」
俺は宿の部屋のベッドの上に寝ていたようだ。
確か、足のマッサージ後に、無理矢理寝たのだった。
「ふう、きつかった、」
「あ、あの、そう言えばこの時期に見る夢で、一つ面白いお話がありましてねぇ」
「うん?この時期の夢?」
「今の時期に夢で、聖女と女神とポニーテイルが出て来るとってお話ですねぇ」
「う~~ん日本でいう初夢みたいな感じかな、縁起が良いとかの」
「たぶん、同じようなお話でしょうねぇ」
「日本だと、縁起ものだけど、こっちは?」
「はい、先ほどの三つが夢で出ると」
「出ると?運が良くなるとかかな?」
「あの、ちょっと違いまして、正夢になると言うものです」
「それって寝直しでワンチャンあるかな?」
読んで頂きありがとうございますー
宜しければ感想などお待ちしておりますー




