***
一つ前の話は、本当に勢いで書いて投稿してしまい、誤字脱字が多く本当に申し訳ありませんでした。
ご報告、本当にありがとうございます。
WS乾坤穿ですが、乾坤が陰陽や天地という意味らしいです。
もうこれを書きたくて二年前から焦っておりました。
愉悦、愉快、歓喜、狂喜、悦楽、恍惚、爽快、快感、愉悦っ。
悦、喜、快の感情で中が満たされる。
あの殺してやりたい男が、ボロボロになりながら仲間たちと争っている。
仲間がズタボロになっていく姿も心が躍る。
アイツらはボクを助けなかった。
ボクが酷い目にあったとき、ただ見ていただけの許せないヤツらだ。
そいつらと殺したいヤツが戦っている。
どっちもボロボロになってしまえっ。
あのときと同じように。
この光景をボクは見たことはないが、ボクは見た記憶はある。
どうしてこの光景を見た記憶があるのか分からないが、見た記憶だけはある。
ただ、この光景を見た位置は違っていた。
自分が見た光景は逆側、あっち側から見ていた気がする。
しかしいま見ている光景はこっち側。前とは真逆。
八つ裂きにして殺してやりたいヤツに、守られる側ではなかった。
八つ裂きにして殺してやりたいヤツと、対峙して戦う側だった。
しかしそんなことはどうでもいい。いまは楽しくて仕方ない。
これからが楽しみで堪らない。
((( ☆◆□※_♯◇゛゜¢ )))
下卑た笑い声が聞こえてくる。
一緒に中に入っているヤツらも、これからのことに思いを馳せ狂喜乱舞している。
そしてボクと同じように、この入れ物を欲していたヤツらが歓喜の声を上げている。
ああ、楽しすぎる……
これからどうしてやろうか……
ヤツも、この入れ物も……
中にボクたちが入っていることを教えてやったら絶望でもするだろうか?
もしかすると、みっともなく泣き崩れる姿が見られるかもしれない。
元から陰険に歪んでいる顔が、もっともっと歪むかもしれない。
そうだ、色々とやってみよう。
ああ、楽しすぎる。いくらでもアイディアが湧いてくる。
目の前で泣きそうな顔をしているコイツを、もっともっともっともっともっともっともっともっともっと――――――歪めてやる。
二度と戻らないぐらい歪めてやる。
( ♯◎※△□▼ )
ん? そうか、それじゃあ足りないか。もっとか?
歪むじゃなくて、狂い死にたくなるぐらいにか……
そうだな、死のうとしたら元に戻った振りをしてやろう。
そうすれば希望に縋るだろう。
そしてまた突き落としてやれば――――ん?
何かが入ってくる?
ボクたち以外の何かが――?
――――――――――――――――――――――――
………………
~~~~~~~~~~~っ!
吐き気がする。
激しい痛みがする。
気持ち悪い。
酷く寒い。
とても熱い。
身体が動かない。
目が見えない。
何も聞こえない。
身動きができないほど重い。
煩わしい雑音がする。
何も感じることができない。
ただただ苦しい……
気持ち悪い何かが纏わりついている。
不快だけでできた汚泥に溺れているような、そんなとても嫌な感覚。
身体中を掻きむしりたくなってくる。
しかし指一本動かせない。指の感覚が一切無い。
だけど、指の先まで不快が纏わり付いているのが分かる。
身体を捩って逃げたいのに動けない。
皮膚の中に蟲が入り込んでくるような不快な嫌悪感。
口の中に酷く苦いモノが入り込んでくる。
吐き出したくても、吐き出そうとするともっと流れ込んでくる。
全てを捕らえられて身動きが取れない。
助けてと叫びたい。
だが声にできない。
誰に助けを請えば良いのかわからない。
あ、名前が……
自分の名前が思い出せない。
何も、何も思い出せない。
何でこうなっているのかわからない。
嫌だ。
嫌だ。
嫌だ。
嫌だで全て埋め尽くされる。
ここに居ては駄目だ。
何かが纏わり付き、何かが中に入ってくる。
下卑た音が耳を浸食してくる。
見えていないのに視界がどんどん赤黒いモノに覆われていく。
吐き気を催す感情が心に流れ込んでくる。
もう狂ってしまいたい。
自我を失えばこの苦しみから逃げ出せる。
もう逃げ出してしまいたい。
このおぞましい不快感から逃げ出したい。
――のに、それは絶対に駄目だと言っている。
自分の中のどこからか、それは絶対にだめだと告げてくる。
酷く気持ち悪い何かに飲み込まれ、何もかも投げ出してしまいたいのに、それを自身が許さないと言ってくる。
だけど――
助けてっ、嫌っ、誰か、誰――っ!
声が出ないけど泣き叫ぶ。
不快でできた何かに、全てが浸食されていくかのように犯されていく。
不快の波が大きく口を開けて捕らえんと――
嫌っ、嫌っ、嫌っ、嫌ああああ――――えっ!?
お腹に巻き付いていた不快感が取り除かれた気がする。
次は首筋、その次は脚と、泣き出したいくらいの『嫌』が遠ざかっていく。
『嫌』がどんどん引き離されていく。
温かい……?
不快を拭うかのように、優しい何かが触れてきた。
それは『温かさ』
それは『優しさ』
それは『安堵』
それは『心地良さ』
それは『嬉しいくすぐったさ』
それらが”わたし”に寄り添ってくれている。
あっ……
泥の中で開けられなかった目が、少しだけ開けたような気がする。
雑音だけが響き、何も聞こえなかった耳に優しさが聞こえてくる。
優しい何かが、愛しむようにそっと撫でてくれる。
もの凄く懐かしい何かが、忘れてしまっていた優しさがわたしを包み込んでくれる。
『――さ、ぃ』
え?
『――さい』
何?
『行きなさい』
ひどく懐かしい声がする。
忘れてしまっていた声。
もう聞くことができないと思っていた声。
涙が溢れて止まらなくなる。
「――ティ! ラティ!」
今度は外から声が聞こえてくる。
とても安心できる声。
特別優れた声という訳ではないが、絶対に守ってくれると、そう確信できる力強い声。
『さあ、行きなさい』
あ……
『外で彼が待っているよ』
ああ……
私たちの可愛い――
読んで頂きありがとうございます。
次話は急いで書きますので少々お待ちを……明日にはきっと……