表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

566/690

かっこいい椎名

すいません、こっちの方のイメージのつもりでしたー(椎名

ええ、確かに……二刀流で剣が白と黒ですからねぇ……

確かにそうかもだーーっと反省です。

 挿絵(By みてみん)


あ、ひょっとしてあまり有名じゃない? P3のタナトスって……

 俺は、自身の慎重さを悔やんだ。


 いや、慎重さ自体に問題はない。

 慎重に行こうと、そう判断を見誤ったことが問題だった。


 ( ミスったな…… )



 

 椎名からは焦りを感じていた。

 だからそこを突けば倒せると考えていた。


 椎名は強敵だった。俺を一瞬で追い詰める程の強さだった。

 だがそれは、予想外の強さ(・・・・・・)だったからに過ぎない。早い話が、強さの底を見極め損ねていたのだ。


 だから俺は修正し直した。

 速さ、力強さ、鋭さ、精度などをもう一度見極めた。


 そしてその結果、椎名を完全に捌くことができるようになった。

 あとは隙を誘発させて翻弄し、障害物である小山ごとWSで押し倒すつもりだった。


 焦りすぎている椎名なら、十中八九上手く行くと睨んでいた。


 しかしヤツは、決行直前で立て直してきた。

 ほとんど弱点と化していた結界を集結させ、木刀から放たれた斬鉄穿を防いできた。


「陣内君、二人だけで勝負だ」

「……」


 七枚の結界を背中に回す椎名。

 その姿はまるで、背に羽でも生やしたようなシルエット。

 身に纏う雰囲気も一変していて、完全に落ち着きを取り戻している。

 ひりつくようなプレッシャーには若干だが気圧される。

 そして何より――


 ( おい、すげえ格好いいな、それ )


「……陣内君、いま、どうでもいいことを考えなかったかい? ボクが言うのも何だけど、できれば戦いに集中してほしいかな」 

「お、おう……」


 そう言って椎名は、小山を横にズラして前へと出て来た。

 そして俺と対峙する。


「仕切り直しみたいになったけど、行くよ、陣内君」

「ああ」


 椎名と戦うため、俺は木刀で霞の構えを取る。


「そうだ、一つ先に言っておくことがあった」

「ん? 何だよ、命乞いか?」


「いや、違うかな。結界のことだよ。いま張られている結界はこの七枚だけだ。だから、そっちの槍でも通るよ」


 背に添わした無骨な槍を、目で差しながら椎名が言ってきた。

 

「……通るって、あの自動でガードするみたいなヤツは無いってことか?」

「うん、そっちの分もこの七枚に集めている」


「何でそんなことを教える。わざわざ言う必要ねえだろ?」

「ボクなりの……けじめみたいなものかな? こうやって晒すことで、自身を追い込むと言うか……うん、そんな感じかな?」


 よくわからんが、何となく分からんでもないことを言ってきた。

 エウロスで椎名と戦ったとき、決め手となったのは木刀による奇襲だった。

 

 椎名が持つ白い方の準聖剣は、持ち主を守る守護聖剣。

 六角形の結界を展開させるだけでなく、身体を守る透明な膜のような結界を張り、攻撃を常に遮っていた。

 その膜のような結界を突破するには、WSに匹敵する攻撃力が必要。


 当然、そんな強い一撃を生むにはそれなりの溜めが必要であり、どうしても動作(モーション)が大きくなってしまう。

 しかし俺は、その膜のような結界を世界樹の木刀で貫いた。


 椎名からしてみれば、止まると思っていた攻撃が止まらなかったのだ。

 大したことのない攻撃、ちょっと隙を与えてしまった。そんな風に思っていただろう。しかし世界樹の木刀は結界壊しだ。


 あのときの椎名は、結界の力を過信して油断した。だから――


 ( それには頼らないって覚悟か? )


 安全な鎧を脱ぎ捨てることによって、過信や慢心、油断と言ったものを捨て去り、己をただ研ぎ澄ませる。


 有利さを捨てることになるが、そうしないと俺には勝てない。

 椎名はそう感じてそれを選択したのかもしれない。


「はっ、この土壇場でいきなり覚醒でもしたってヤツか?」

「ああ、そうさ。土壇場だからこそ覚醒するってものだろう? 陣内(・・)


「なるほど、違い――ねえっ!」


 先手必勝、今度は俺から斬り込んだ。

 打ち込みを黒い方の剣で弾き返す椎名。

 流れるようにもう片方の剣で薙いできた。


「っしゃ!」


 薙いできた斬撃を、振り下ろしにて切り払う。

 が――


「――っちぃ!」

「逃さない!」


 七枚の結界が、俺に向かって回り込むように迫ってきた。

 瞬時に後ろへと退く。

 当然、追ってくる椎名。


「グラットン! グラットンツー!」


 また黒い重撃が襲ってきた。

 一発目は木刀で防ぎ、二発目は屈んで躱す。


「まだだっ! 陣内!」

「くそったれ!」


 WS後の硬直を七枚の結界で補ってくる。

 4枚の結界が斬り付けるようにして降り注いできた。

 横に避けつつ木刀で受け流す。


「あっぶね!?」


 妙な手応えに一瞬違和感を覚えるが、椎名の股下から、隠し刃のように結界が斬り上げてきた。


 顎を僅かに掠めるが、辛うじて避けれた。が――


「斬鉄閃!」

「ぐぅっ」


 俺は受け流し切れず、後ろへと強制的に下げられる。

 そしてまた、WSの硬直をフォローするように七枚の結界が襲いくる。


「くそ、マジで隙がねえ!」


 椎名の攻撃に隙がなくなっていた。

 そして揺らぎもない。


 ( ちぃっ、どうしても遅れる )


 椎名の攻撃は読める。

 僅かな動作から、ヤツがどう動いてくるのか高い精度で判る。

 しかし、結界の方は別だった。


 無数に舞っていたときは、その揺らぎから動きが読めた。

 だが七枚になってからは、その揺らぎが完全に消え去り、動きが一切読めなくなっていた。


 ほぼ無反動で斬り付けてくる縦長の結界。

 勢いをつけるといった動作がないので、まるで無拍子で放たれる刃。

 瞬き一つですら命取りになるような瞬間が続く。


「EっXカリバー!」


 息が詰まるような猛攻に、俺は仕切り直しのWSを放った。

 斬鉄穿は防がれたが、このWSなら何とかならないかと、そんな願いを込めて放った。が――


「な、に?」


 光の大瀑布が、広がるようにして霧散した。

 いつもとは何処か違う、違和感を覚える散り方。


「あ、ああ……そうだった。まだ言い忘れていたことがあったよ」

「……何だよ」


 椎名は猛攻を止めて、ポツリと(つぶや)くように言ってきた。


「この七枚の結界だけどね。これってWSとかその木刀の力に反発するようにしているんだよ。小さく弾けているって感じで、その弾けた力で押し返したり逸らしたりしているんだよ」

「爆発反応装甲かよ……」


 椎名の話を聞いてピンときた。

 木刀で縦長の結界からの攻撃を逸らしたとき、妙な振動を感じた。

 正方形のときには無かった振動。


 きっとあの振動の正体は、いま椎名が言った『小さく弾けている』なのだろう。

 木刀から放たれた斬鉄穿は、その小さく弾けているのに防がれたのだろう。


 思わず『爆発反応装甲かよ』と言ったが、案外あっているのかもしれない。

 直進する(エネルギー)を、結界の強度で防ぐのではなく、弾ける力で散らして防ぐと言った方法で……


――おい、ちょっと待てよ、

 もしかして、WSとかにも反応するってなら……



「今度こそ勝たせてもらうよ、陣内」

「椎名……」


 あの椎名が、対俺用となって立ち塞がってきたのだった。 

読んで頂きありがとうございます。

宜しければ、感想など頂けましたら嬉しいです^^


あと、誤字脱字なども教えて頂けましたら幸いです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
[良い点] どうでもよくねーよ格好良さは大事だろーが! 勇者は見た目が100%という名言を知らんのか。コレダカライケメンハ、ヤレナイジーン。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ