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その後、その後、

連続投稿2個目です。

一つ前に閑話的なのがありますー


片目で書いているので、ちょっと距離感、ピントボケしているかもですw

 プールの出来事から数日後、俺たちはノトスへと帰還した。

 ノトスに戻った勇者は早乙女と葉月だけ。伊吹、小山、そして橘はゼピュロスの街に残った。


 その三人がゼピュロスに残った理由は、要石であった魔石を失ったことによる魔物の大発生を警戒したから。


 実際にエウロスではそれが起きた。

 椎名がズーロさんの宿っていた魔石を不用意に斬ったため、エウロス()に大量の魔物が湧いてしまった。そしてその結果、少なくない命が失われた。


 モモちゃんの父親、ウルフンさんもその一人だ。


 つい最近では、ノトス、ボレアスでも似たような予兆が観測された。

 だからそれを見越して3人の勇者はゼピュロスに残った。伊吹組はゼピュロス所属ではないが、金が稼げるという理由で残った。


 こうして俺たちは二つに分かれ、俺はノトスに戻り――


「――モモちゃーーんっ!」

「あぷぅあああ!!」


 ノトス公爵家に戻ると、玄関口でなんとモモちゃんがお出迎えをしてくれた。

 玄関の柱に手をついて立ち、モモちゃんが嬉しそうにこちらを見ていた。のだが――


「ちあちあぁ」

「へ?」


 モモちゃんが柱に隠れてしまった。

 それはまるで、燦々と輝く太陽が雲に隠れてしまったかのような絶望感。

 だがすぐに顔を覗かせてきた。


「ちあちあ」

「も、モモちゃん? 一体何が……? ああっ、また隠れちゃった」

「あの、ジンナイ様。実は……」


「あ、ナタリアさん。これは一体なんの遊びなんです?」

「はい、つい最近のことなのですが――」


 乳母のナタリアさんは、モモちゃんの謎の行動の真相を教えてくれた。

 どうやらうちのモモちゃんは、つい最近観たお芝居の真似をしているそうだ。


 そのお芝居の内容は、悪い魔物を簡単に倒すことができる主人公が、『あ~、目立ちたくないな~』と言いつつも悪い魔物を倒し、チラチラと強さをアピールしてくるウザい物語らしい。


 割としんみりしてしまう結末らしいのだが、どうやらモモちゃんは『チラチラ』がとても気に入ったらしく、知っている人を見ると『チラチラ』をするようになったそうだ。要は真似っ子だ。


「ちあちぁ」

「ふぐぅうううっ。可愛すぎる」


 謎の行動の理由が分かってほっとすると、モモちゃんの可愛さを純粋に楽しめるようになった。

 柱に隠れてチラチラとこちらを窺うモモちゃんが超可愛い。


 その無邪気な笑みに癒された。まさに天使の笑みだ。

 俺はいま、天使のチラチラに遭遇していた。そう、略してテンチラだ。

 

「ちあちらー」

「――ぐはっ」


 恐るべきテンチラの破壊力。危うく膝をつきそうになった。

 早乙女からはかなり引かれた目で見られていたが、俺は気にせずテンチラを堪能する。


「ちあちあ~」

「ちらちら~」


「ちあちぁ」

「モモちゃんはこっちかなぁ~?」


 途中から『だるまさんが転んだ』のようになったが、モモちゃんがとても楽しそうだったので良しとした。

 乳姉妹であるラフタリナちゃんも参加して、きゃっきゃと本当に堪能していたが――


「貴様、いくら待っても中に入ってこんから何事かと思えば…………本当に貴様というヤツは……いいから早く来い。アムドゥシアス様もお待ちだ」

「……ギームル。これは……」

「ちあちら?」


 モモちゃんのテンチラに、一瞬だけギームルの頬が緩んだ気がしたが、ヤツはすぐに顔を引き締めて俺をアムさんの元へと連れていった。


 こうしてモモちゃんとの再会は、ギームルによって終わりを告げたのだった。



         閑話(┃ω・))休題(ちあちら?)




「そうか。そんなことがあったんだ……」

「ええ、……ですが、やり過ぎとは思っていませんからね。アムさん」


「分かっているよ」


 俺は、アムさんとギームルに、竜の巣(ネスト)で起きたことを話した。

 魔石の力を回収できたことや、ダイサンショウのこと。そしてラティが勇者橘の手を切り飛ばしたことも話した。


「ふむ、しっかりと釘は刺してきたんだろうな?」

「ああ、ラティのことを訴えることはない。一応取引? みたいなことはしたし、それに訴えようものなら葉月の件もある」

「しかし、勇者様の【宝箱】に人を入れる方法があるとは……」


「まあそんなことを試そうとするヤツは居なかったんだろ。それに広さも必要だし。誰でもできるって訳じゃないだろうし」

「ジンナイよ。そのガラスで作られた小屋とやらは、しっかりと破壊してきたのだろうな? まさかその様な物騒なモノを放置してきたのではあるまいな?」


「あっ……」



 その後、議論が交わされた。

 勇者の【宝箱】に、人を収納できる事実をどうするか。


 ダイサンショウやシャーウッドさんの件で忘れていたが、指摘されてから考えてみればとんでもないことだった。

 

 勇者がいれば、誰にも気付かれることなく人を運べるのだ。

 この件は、俺よりもギームルの方が重くみていた。

 そう、誰にも気付かれることなく人を運ぶことができる。言い方は少々物騒になるが、早い話が、誘拐などが容易になるのだ。


 アイリス王女がさらわれたことのあるギームルにとって、この問題はとても大きなモノだった。

 これを悪用するようなヤツは少ないと思うが、秋音辺りは悪用しそうだ。


 この件はすぐに中央へ送るとし、公にはされないが、要人には知らせることにした。


 俺はこれを聞いて、中央の教会から消えたエルネは、橘の手引きによって中央から抜け出したのではないかと考えた。


 あのとき橘は、魔王との戦いのためにアルトガル(中央)に居た。だからその可能性は十分にある。


 俺、ギームル、アムさんとの話し合いはしばらく続いた。

 ただ話し合いといっても、俺から情報を訊き出し、それを二人が話し合い、意見を出し合う流れ。

 時折アムさんから感想を訊かれたりするが、基本的に二人だけで決めていた。


 前はギームルがほとんど纏めていたが、アムさんは前よりも成長しているのか、ギームルに喰らい付くように話していた。


 俺はそれを聞きながら、そろそろモモちゃんの所に戻りたいな~と思っていると――


「む、そうじゃった。ジンナイよ、一つ仕事を頼まれてくれんか? 当然見合った報酬を出す。ららんに借金があるのだろう?」

「ぐっ、忘れてた……。そうだった、竜の巣(ネスト)で竜を狩れなかったんだった……」


 唐突に嫌なことを思い出させられた。

 ららんさんには黒鱗装束の打ち直しで借金していた。

 以前よりは低い金額なので、俺は竜の巣(ネスト)で竜を狩って、鱗や牙といった素材を採るつもりだった。


 竜から取れる素材はなかなかの高額で売ることができる。

 しかし竜はダイサンショウに取り込まれており……


「くそぉ、そうだった……まったく稼げなかったんだった……。やべえ、取れた魔石とかサポーターに渡しちゃっているよ……」

「ほう、ならば丁度良かった。ジンナイ、お前に違法奴隷商狩りを任せたい」



「へ? 違法奴隷商狩り?」


読んで頂きありがとうございます。

宜しければ、宜しければ感想など頂けましたら幸いです。


あと、誤字脱字なども……


そして、今年も勇ハモをよろしくお願いします<(_ _)>

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