ゲームだった?
コメントを参考にさせて頂きました
今回はハーティからの説明かい!
「ゲームに似てるんだよ、ベータ版のだけどね」
「それは聞きました、」
ハーティからの言葉は、『もしかしたら?』と前に思っていたことだ。
ベータ版ってのは流石に予想していなかったが。
「それで魔石魔物狩りとか提案したんですね?」
「そうなんだよ、ゲームでは定番に稼ぐ方法だったんだよ」
「東に行かずにこの北に来たのは?」
「ゲームだとね、北でよく防衛戦が発生してさ。それと報酬も良いんだよね」
ハーティは貴族等の資金援助無しでの勇者パーティ運営は、意外と大変だという事もついでに教えてくれた。
そして気が付くと、横に居たはずのサリオがいなくなっていた。
いなくなったその隣に目を向けていると。
「ああ、サリオちゃんはちょっと余所に移ってもらったよ」
「え?」
ハーティがそう言って、目で示した先には、サリオはラティと一緒に三雲達と談笑をしていた。
「実はさ、陣内君と話がしたくて、勇者達にお願いをして彼女達を無理に誘ってもらったのさ。別に知られても良い話しなんだけど、ゲームの話なんて混乱させるかも知れないからね」
「それでラティが珍しく他の場所に行ってたのか、」
「まぁ、これも良い事だとも思ったしね、昨日の雰囲気を見た感じでは、前ほど他人と壁を作らなくなっていたし」
良かった、ラティに何か嫌われたのかと思ったぜ。最近は尻尾も頭も撫でさせてくれないし、凹んでる俺を慰めにも来ないし、いや元からラティは慰めには来ないな。
「あの陣内君?何か今どうでもいい事を考えてないかい?」
「はぁ?今は俺はこの世でもっとも大事なことを考えていましたよ」
「そ、そうなんだ、」
「話が逸れましたが、なんでハーティさんは俺にゲームの事を話す気になったのですか?前にハーティさんが転生者とは聞きましたが、ラティを事前に離していたと言うことは、最初からゲームの事を俺に伝えるつもりだったんですよね?」
――なんで俺にゲームのことを伝えに来たんだ?何かハーティに取って得になるような事は無い筈なのに、理由が少し気になるなぁ、
「ああ、それはさっきも話した魔石魔物狩りのことでね」
「ん?ハーティさんそれがどう関係してるんで?」
俺は疑問に思い聞き返すと、彼は真面目な顔で聞いてきた。
「確認だけど、3人だけで魔石魔物狩りをしてるよね?」
「はい、浅い層ですけど金策目的でやってましたが、」
「実は、ゲームだと中層からやっかいな魔石魔物が湧くんだよね。そのことを君達に忠告しておきたくてさ、ラティさんやサリオちゃんが死んだりしたら、寝覚めが悪くなるからね、あ!もちろん陣内君もね」
なんか俺だけ取って付けたような感じだったけど、かなり大事なことを教えてくれたぞ。やっかいな魔物か、って!それってまさかアルマジロの魔物か!
「赤城組と伊吹組には、一応そのことは上手く注意して忠告しておいたけど、陣内君には伝えてなかったからね、解り易く説明する為に、君にはゲームのことを明かしたのさ」
( ん?ちょっと待てよ赤城は )
「赤城には教えたんですよね?そのやっかいなのって」
「ああ、名前は違うかも知れないけど、ハリネズミみたいな奴で。あとは魔法を跳ね返してWSにも強い奴なんだよね。もし二匹同時に湧いたら全滅する可能性もあるからね」
「それ、、湧きましたよ、赤城のところの盾役がそれに殺されました」
俺がそれを伝えるとハーティは、視線を一度地面に落とし、後悔に顔を歪めながら言葉を吐き出した。
「そうか、僕の説明が甘かったんだね、レベルが75で揃っていれば何とかなるものだと思っていたけど。下手に知識を与えたばかりに」
俺は後悔に顔を歪ませているハーティを、全部が彼のせいではないと思うので、自分なりに励ましてみたいと思った。
「あのぅハーティさん、別にハーティさんのせいって訳じゃないですし。冒険者なら危険は付き物ですし、あとは、レベル50とかも混ざっていたとかも言ってましたし、、」
『レベル50』あたりで、歪んでいた表情が激怒の表情に変わり、そのまま感情を吐き出すように言葉を出した。
「馬鹿かぁ!安全の為にってあれだけ言ってたのに。それを軽視してレベル50なんて連れて中層で魔石魔物狩りをしたのか!」
その後は、『うがー』や『もうアイツには教えない』など、独り言をブツブツ言い出していた。
( 何気に、クールに見えて熱い人なんだよな、殴り合いもするし )
それから3分ほど経過して、落ち着いた表情でハーティが話し掛けてきた。
「陣内君。しっかりと情報交換をしないかい?」
「それはありがたいですけど、俺の方はもう情報なんて無いですよ?」
「それでもさ、」
それからハーティは、ゲーム内での事を教えてくれた。
まず、この異世界の広さのこと。
大地の広さはなんと、北海道と同じ広さと言うこと。何気に結構狭かった、しかもこの異世界の大地は平らだと。
天動説を地で行ってる世界だったのだ。ゲームでのイラストだと、半球の平らの部分がこの世界で、海の水は世界の果てで下に流れ落ちているらしい。
( よその国に逃げる選択肢が消えた、、)
魔物の群れの防衛戦は、何か目的があって魔物が大移動しているが、ゲームではその理由はまだ明かされていなかったと、なのでルートが固定されている理由は不明となった。
( 意外と使えない情報かな? )
次の魔石魔物狩りがし易い場所は、東の地下迷宮だと言うこと。ただ前よりかは難しくなっていると忠告された。
( 東はまだ一度も行ってないな、)
世界の権力者達のことでは、ゲームでは中央の国が絶大な権力を持って支配していたが、この異世界では中央はそこまで権力を持っていないと。
( そういえば、王女様もそこまで偉そうじゃなかったしな )
そして肝心の魔王の情報は。
「ハーティさん、魔王はどんな感じなんですかゲームだと」
「それがまだ実装されてなかったんだ」
「はい?」
「ゲームの追加パッチ、バージョンアップで魔王が実装されると聞いていたんだけど、シナリオ担当の責任者、まぁゲームの担当者みたいな人が失踪したんだ。確か御神木ナントカって人だったかな?」
「失踪って、」
「それだからさ、陣内君から聞いた魔王の発生って話は興味深いんだよね」
どこか嬉しそうにハーティは色々と教えてくれた。もしかしたら今まで誰かとゲームの事を話したかったのかも知れない。その証拠になるかは不明だが、俺はこの話し合いが楽しく感じれるからだ、、
「あ!それとゲームでは勇者はいなかったね。ただ、勇者の持つ恩恵の効果は課金アイテムで追加されるって書いてあったな」
( まさかの課金勇者だったとは )
「それと世界樹のことなんだけど、ゲームでは何処かの深い森の奥にあるって話だったかな?魔王が実装されたら、世界樹にも行けるようになると予想してたんだけどね。まさか既に切り倒しているとは、」
( 久々に思う、初代勇者なにやってんだー! )
「取り合えず僕からは、こんなモンかな?」
「そうですね、あまり下手に考え過ぎてもアレですしね」
ここでハーティがウンザリするように疲れた顔で、ある感想をつぶやく。
「歴代勇者達は、この世界を捻じ曲げ過ぎたろ、太陽の時計とか料理で肉じゃがとか風呂とか、ゲームには流石に無かったよ」
「それは同感です、確かに結構助かる部分も多いですけどね」
こうしてハーティとの情報交換は終了した。
また何か機会があれば、信用出来る勇者を交えて行いたいとも言っていた。
――ただ、、
『教えた事を適当に扱った赤城には、もう手を貸してやらない!』
と、激怒していた。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
ハーティとの会話後は、ラティとサリオに一声掛けて、一足先に宿泊用の天幕に戻ることにした。
ハーティ達は勇者二人を抱えるパーティなので、万が一にもラティやサリオが絡まれる心配は無いと判断したことと、今日のWSを撃てない役立たずと、他の冒険者に陰で言われることにウンザリしたからだ。
月を見るともうすぐ9時。
食事などの配布はされているが、トラブル防止の為に酒類は禁止されている為に、酔って大騒ぎしている冒険者などがいない為に、絡まれる心配は無さそうだったが。
「陣内、ちょっと話があるんだけど。いい?」
まさかの火種の方からやって来たのである。
『いい?』と聞かれたなら『いいえ』と答えたいけど、多分、その選択するともっとマズイ事になりそうだよなぁ。ここは定番の一手で、、、
「早乙女ごめん!俺が悪かった」
「っう、取り敢えう、ちょっとこっちに来て!」
俺は天幕に戻るまでの間は、もしかしたら北原の襲撃等がある可能性も考慮して、他の冒険者が多くいる道を選んで通っていた為に、人目には付きやすい場所だった。何か恥ずかしいのか、早乙女は俺を人目の少ない場所へと連れて行ったのだ。
最大限に警戒しつつ、早乙女の後についていく。
――はぁ、クラスメイトについて行くだけなのに、ここまで警戒して行動するのって、なんか複雑だな。でもそれを怠るといつかきっと後悔するだろうし、、
人気が無い外れに着くと、ゆっくりと早乙女が振り向いてきた。
周りには特に人が隠れられる場所も無さそうな所だった。取り敢えずいきなり囲まれる等の心配は無さそうだった。
何時でも走れるように、怪しまれない程度に身構えつつ、早乙女の出方を窺っていると、彼女は予想外の切り出し方をしてきた。
「ねぇ陣内、アンタの連れてる小さいのって、陣内の趣味なの?」
「ほへ?」
予想外の事に、間の抜けた返事をしてしまう。
「小さいのって、、?」
――頭をフルで回転させるんだ!
早乙女が言ってるのはラティとサリオのことだよな。どっちだ、、
でも小さいって言ってたからサリオのことか、アレが俺の趣味かと?
それは『ロリコンですか?』って聞かれてるってことか?
いやでもアイツって確か21才だよな、でも見た目はアウトだよな、、
それなら返答は、、これだ!
「いあ、別に趣味とかじゃないし、」
「そ、そう、」
早乙女は何かほっとしたような表情を見せ、引き続き質問してきた。
「前に学校で陣内君は、背の高さは気にしないって言ってたよね?」
「ああ、俺の背は170近くあるから気にはしてないな、って前も早乙女はそんなこと聞いてたな。早乙女も俺と同じくらいの背だけど、俺に比べると姿勢がイイからカッコイイとか言ったな確か」
――何を聞きたいんだろう?あと、、俺って、、
綺麗な立ち姿とか好きかもだな、ラティなんて特に凛としていて、見ていて気持ちいいもんな。
( アレ?俺って立ち姿フェチ? )
心の中で『新しいなソレ!』ってツッコミを入れていると、早乙女が俯きながら全く別のことを聞いてきた。
「ねぇ陣内君、手紙のことなんだけど」
「手紙?」
短く聞き返すと、早乙女は軽く口をあけて驚き、その後すぐに俯き視線を逸らしながら『何でもない』と、一言つぶやいてから、突然走り去っていってしまった。
夜営陣から離れた場所だったので光源は月明かりだけで、早乙女の表情は読み取れなかった。
その後は、警戒をしながら元の道に戻った、一応呼び出された形になっているからだ。辺りを見回すと、離れた場所で荒木の姿が見えたが、奴に近寄る理由は無いので、そのまま無視をして宿泊用天幕に戻った。
ラティ達パーティメンバーの位置を確認出来る矢印で、ラティとサリオの位置を一応確認したが、問題も無さそうなので、その日はそのまま簡易で作られた寝床で寝ることにした。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
そして次の日、
この日も早い時間から、魔物の群れが迫って来ていると、斥候から報告が来ていた。
昨日は、時間が無かった為か、冒険者達は適当な配置に就かされていたが、今回は冒険者の能力に合わせて配置が変更されていた。
ラティとサリオにハーティ達は花形の中央付近、そして俺は一番右の端っこに配置されたのだった。
時たま稀にいる、巨大な堀を迂回してくる魔物を狩るポジションらしい。
因みに、昨日俺が倒した魔物は1匹だけ、他の冒険者の平均は10匹以上で、サリオは何匹倒したか測定出来ない位に倒したらしい。
そんな俺が、防衛戦の端っこに追いやられるのは理解出来たが。
「なぁ、なんで早乙女がここに居るんだよ、」
「別にいいでしょ!陣内に何か言われる筋合いは無いわよ」
何故か俺と同じ場所に、勇者 早乙女京子が配置されていたのだ。
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