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虎っ視タンタン♪

本日二つ目!!


もしかすると重版するかもです。

重版が決定しましたとのメールが……

なので、もしかしたら重版するかもです。

勇ハモ2巻をもし見掛けたら保護してやってくださいっ!

「……今頃………………かな……」

「あん? アンタ何か言った?」


「ううん、何でもない」


 胡乱げに睨んでくる黒髪の彼女。

 勘は鋭い方なのに、少し察しの悪い残念な子。

 目に映るモノしか見えていない子だ。

 

 一応は、純粋とも言えるのかもしれない。


 だけど、

 貴女が想いを寄せている人はいま、――かもしれない……。


 ( ううん、かもしれないじゃ、ないよね…… )


 彼はきっとあの子と一緒にいる。

 例のお祭り? から帰って来たと報告は受けている。

 本当は一緒に参加したかった。

 だけど私達が参加したら大変なことになる。


 ここよりも小さいノトスの街でも大事だった。

 お店が一杯になるだけならまだ良い。だけどお店だけでなく、お店の外、そしてその周りまで一杯になる。


 道は人で塞がり、塞いだ人が更に人を呼ぶ。


 彼はきっと守ろうとしてくれるだろう。

 でも間違いなく彼に迷惑を掛けてしまう。

 それに……。


 ( 陽一君はそういうのあんまり得意じゃないしね )


 彼は割と不器用。

 身体を張る事を厭わないが、文字通りホントに身体を張ってしまう。

 買う必要のない恨みを買ってしまうだろう。

 

 だから私達は我慢した。

 私も、彼女も、そして彼女……も?


 ( あ、早乙女さんは分かってなかったけ )


 早乙女さんは違った。

 彼女はお祭りに参加すると言い出していた。

 陽一の傍にいると、そう言って隣に居ようとした。

 

 だから私は、懇々と説明して彼女を引っ張っていった。

 なかなか納得してくれなかったが、陽一君に迷惑が掛かるよと言うと、彼女は驚くほど素直に従った。


 これで安心――でもない。不安が全て消えた訳ではない。

 もしかすると悪いお店に行っちゃうかもしれない。

 だからあの子だけは残した。

 あの子が居れば陽一君は平気。良くないお店に連れて行かれる事はない。


 だけど、だけど――。



「あ~~あ、…………今頃」

「えっ? 葉月さん? 何かあったのですか? 先程から今頃と?」


 心配そうに尋ねてくる言葉(ことのは)さん。

 彼女は本当に周りに気を遣っている。


「ううん、何でもない。ちょっと……伊吹さんのことを考えていただけ」

「伊吹? ああっ、コイツよりもおっきい子か」

「――ッ!?」


 胸元を手で覆って隠す言葉(ことのは)さん。

 だけどその行動は逆に胸が強調されている気がする。

 上から押されてギュッとなって余計に目立っている。


「あ~~あ、何であたしがコイツらと一緒に……」

「早乙女さん……それは……」


 不満げな態度でベッドに横になる早乙女さん。

 そしてそれをおずおずと見つめる言葉(ことのは)さん。

 本当に対照的な二人。


「それはさっき説明したよね? まだ戻ったばっかりだから、変にやってくる貴族の人とかいるかもしれないから、みんなで一緒に居ようって。外には三雲組の人が居てくれているんだよ?」 


「ハイハイ、わかっているっての。さっきも居たしな、飯を一緒にどうですかって。何だよあの親父は」

「私も誘われました。唯ちゃんが追い払ってくれたから良かったけど……」


「でしょ? だから今日のところは大人しくしようね」

「わかったよっ、――ったく、アンタは母親かっての」

「わぁ~~、ちょっと傷つくなぁ。でも、あまり悪い気はしないかも」


「……変わってんなアンタ。学校の時とは大違いだな」   

「そういう早乙女さんもね」


「ふんっ。ああっクソ、陽一のところに行きたかったなぁ」

「それも言ったでしょ。今日のところはゆっくり休ませてあげようって。ダンジョンでは陽一君は私達みたいにちゃんと横にはなれなかったんだよ」


「ハイハイ、だから分かったっての」


 『ホントに母親かよ』と呟く早乙女さん。

 そしてそんな彼女をハラハラと見ていた言葉(ことのは)さんが援護をしてくれる。 


「そうですね。陽一さんにはゆっくりして欲しいですね」

「………………うん」

「ほら、あたし達ももう寝るよ」


 彼はたぶん、ゆっくりとはしていない。

 きっとあの子と……。


 ちょっと部屋に行って邪魔をするのは簡単。

 だけど今は、それをしてはいけない。

 もし今行ったらきっと彼は嫌がるはずだ。彼はダンジョンで色々と我慢していた。

 

 だから今だけ(・・・)は邪魔をしない。

 彼が心底嫌がる事をしてはいけない。

 まして、誰かの足を引っ張って邪魔をするのは私らしくない。

 やるなら正々堂々と、それが恋なら尚更だ。


 だから今日だけはあの子に譲ってあげる。

 妨害をして勝ち取ったモノに意味はない。

 それに彼は絶対にそんな事では振り向いてくれない。


 だから今日だけは邪魔をしない。でも――。


「今日以外なら良いよね」



 ちょっとぐらい邪魔をしても……。



 そしていつか……きっと彼を――。


読んで頂きありがとうございます。

宜しければ感想など頂けましたら嬉しいです。

あと、誤字脱字なども……。


重版分が売れたら3巻出るのかな~。

もし3巻を出せたら、本編ではなかった入浴の時の話を書くよ!

そして挿絵にぃいいって、担当さんに頭を擦りつけますよー!

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