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地の底で

今回は説明回です

 


 俺は目を覚ますと、薄暗い何処かで寝ていたようだ、宿のベットじゃないようだった。


 取り敢えず思い出せることは。


 ラティの危機に俺は、アルマジロモドキと戦ったんだ、

 後ろにラティが居るから、その場を動く事が出来ず足を止めて打ち合ったんだよなぁ、、


 イワオトコみたいな怪力で重い一撃じゃなかったから、槍で逸らしたり弾いて対抗したんだよな、

 大きく振り被った瞬間に魔物の爪を弾いて、ガラ空きになった腹に小手の楔を刺し込んで、



「――っそうだ!俺は倒したんだ、、で、何かに吹き飛ばされて、、」


 俺はここでボヤけていた思考を完全に覚まして、辺りを見回す、あるのは”アカリ”と

 そして自分のすぐ横に、見たことはあるけど、実際には見たことが無いモノがあった。



 横になっている形は崩れずに、ツンと上向きな双丘。

 柔らかそうと言うよりも、程良い張りがありそうで惹きつけるモノ

 薄暗い中で、陰影がより蠱惑的に見せていて、大きさは手の平に収まるどうかギリギリな、 

 

「そうだ!手の平に収まるか触れてみて確認をしてみればっ――!」


 自分では『天才じゃね?』って言う発想を行き着いたが、それを遮る声がした。


「あの、触るとオレンジ色に変わるかも知れませんねぇ」



 俺は人生の中で、もっとも迅速で的確に判断を下し、手を引き土下座の用意をした。



 残像を残す勢いで土下座をしようとすると、体をこちらに向けて横になっていたラティが、脱いでいた皮の鎧で前を隠すようにしてこちらを見ていた。


「あの、ご主人様 後ろを向いて頂けますと助かりますが、、」


 俺は【加速】を使って後ろを向いて、ラティの方を見ないようにした。


( ちくしょう、こういう時はここで鏡あってうっかり見えるモノじゃないのか! )  


 

 テンプレ通りに行かず行き場の無い怒りに、身を焦がしているとラティが声を謝ってきた。


「あの、突然のお目汚し失礼しました」

「いやいやいや、何を言ってるんだ、」


 男には絶対に逃してはならない瞬間があって、今がその時で、、、!。



 振り向こうとしたが、『オレンジに、、』と言うラティに呟きに、再び背を向ける。


 その後は、ラティの衣擦れを鎧の装着音を聞きながら、俺も濡れている自分の服を着た。

( ああ、ちょっとひっかかって穿きづらい、)

 

 服を装備を着た後に、ラティに状況の説明を求めた。



「ラティ、一体どうなってってるんだ?」

「はい、ご説明しますねぇ」


 ラティが魔石魔物戦闘後のことを教えてくれた

 内容は

 魔石魔物ハリゼオイを倒した後に、何者かに魔法で攻撃された事。

 その攻撃で崖まで飛ばされて落ちてしまった事、それをラティが助けてくれたと。

 落下中に俺を抱き寄せて、【天翔】を使って落下速度を抑え上手く着水出来たと。

 その後は、水に浸かった事と、魔法による怪我で血を失った為か、体が冷えきって震えて居たので、暖めていたと。


( あう、あの裸で抱き合っていたのはそういう理由か )


 ある意味最大の謎が解けた、そして惜しかった、

 あの時にすぐに行動を起こすのでは無くて、もう少し慎重に行けば、もう少し、、 


 何故かラティが半目ジト目で、此方を見ながら続きを話すので、俺は必死に真面目に話を聞く。   


「怪我は手持ちの薬品ポーションとららんさんに作って頂いた指輪のお陰で」

「ああ、なんとか傷は塞がってるね、って ラティは?」


「わたしが負った傷は回復魔法をかけて貰っていたので平気です」

「よかった、あんな怪我をしたラティ見るのは久々だったからね、焦ったよ」


 ラティは普段攻撃は受けないけど、致命傷のような傷は結構貰うよな、



「後は、この崖を登るですが、ご主人様はよく登られましたねぇ、」

「ああ、俺の時は生活魔法”アカリ”が無かったからね、周りを調べる余裕なかったんだ」



「なるほどです、でしたら周りを調べて上がれる場所を探してみますか?」

「うん、そうだね探せば上にいける通路あるかもだしな、まず探してみるか」



 他に上がれる道がないか探して始めて5分もしない内に、ラティの【索敵】が反応した。


「ご主人様!この先に何かとてつもないモノが居ます」

「魔物か敵か?」


 ラティが目を見開き、腰を落とし警戒している。


「あの、それがおかしいんです、位置は近いのですが今まで察知出来なかったんです」

「え?気配を消していたと?それなら敵か」



「そうかも知れません、この気配は、廃坑で感じた気配に似てます、」


 廃坑の言葉に、俺は真っ先にある人物を思い浮かべた。

 

 

 気配を感知出来たのなら、無視はしないで確認だけはしておいた方が良いと、ラティからの提案があり、その気配のする場所へ向かうことにする。

 ラティは不安要素は確認をして置きたい派らしい、俺も不安要素は調べて置いて対処する考え派なので、危険要素はあるが近寄って調べることにした。



 ”アカリ”に照らされる崖の底は、最初の気配以外には魔物の姿もなく、周辺には岩と水だけの世界だった。


「水があるのに、コケすら生えてない、」

「あの、何か一切の生き物が居ない場所みたいですね、」



 小声で辺りを警戒しながら話していると、目的の気配のする場所に辿り着いていた。

 そして其処には、一度見たことがあるモノが光っていた。


「あの、あれは、、」

「俺は一度見たことがある、廃坑でな」



 廃坑に居たような、大きい魔石の上に冒険者風の幽霊が浮んでいたのだ。

 そして、その幽霊が岩の陰に隠れている俺たちに、話しかけて来た。


「やあ!よく此処まで来れたね、ここは地下迷宮ダンジョンの最奥だよ」


 幽霊は、幽霊らしくない明るい声で此方に話しかけて来たのだ。

 話しかけて来るくらいだから、敵では無いかも知れないと警戒を薄め。


 二度目の俺は、確認の色々な意味を込めて聞き返す。


「すいません貴方も勇者の仲間だったりするのですか?」

「――っえ!?」


 ラティが驚きに声をあげ怪訝そうに俺を見つめる。


「いや、前の廃坑であった幽霊もこんな感じだったから、」


 ラティに訳を説明していると、幽霊が意外そうに聞いてくる。


「あれ?もう他の地下迷宮ダンジョンでボクの仲間にあったのかな?」

「ああ、9代目の勇者の仲間に出会ったよ、幽霊だったけどな」


「へ?9代目、ボクの仲間は最初の勇者だよ?」

「ふは、まさか初代勇者の仲間の幽霊かよ!」


 驚きのあまり思わず変な声を出してしまった。



「あ~後ね、ボクは幽霊とかそんなんじゃないよ、ボクは魔石に意識を移したのさ」

「うん?移した?」



「そそ、目的があってこの魔石に意識を移しているのさ」

「偶然に宿ったとかじゃなくて、意図的に魔石に精神を移してるのか、なら体は?」


「さぁ、どうなったんだろうね?」

「知らないのかよ、」


 ――なんだろう、かなり適当な人のような気がする、

 前に会ったイリスさんとは‥、かなり違うな、


「それじゃぁ、意識はしっかりしてるのですか?」

「もちろん、意識がしっかりしてないと魔力と大地に力を操作出来ないしね」


「なんですか?その操作って、それが目的ってことですか?」

「―ッ!?」



 なにやら慌ててから、質問に質問で返してくる。


「君達はこの地下迷宮ダンジョンの役目について聞いてないのかい?」

「役目って、ただの魔物が湧く洞窟なんじゃ?」


 驚きと落胆を繰り返し、改めてこちらに語りかけてくる。



「一体なにがあったんだろ、君達は冒険者だよね?」

「ああ、そんな感じだけど、」



 召喚されたハズレ勇者とはちょっと言い出せなかった情けなくて。


「この地下迷宮ダンジョンを訓練所とでも勘違いしてるのだろうか?」

「そんなモノじゃないの ですか?」


「違うからね!ああぁぁあ!なんの為に楔役をやっているんだか!」

「えっと、、」


 言い淀んでいると、魔石に意識を込めた冒険者がまくし立てる。


地下迷宮ダンジョンは魔物の湧く場所の調整をする所じゃないか、

 地下迷宮ダンジョンに魔物が湧くから、地上に魔物が湧かないんじゃないか!」


「全く、なんの為にボク達がこうやって楔をやっているんだか、」


 まだ何かブツブツと言っているが、大事なことなのである事・・・を伝える。


「あのう、地上でも魔物湧いてますよ?」

「なんだってぇぇええええ?えええ?マジで!?」


 更にブツブツ言いだす、何か考え事をしている様だったが。


「あの、どういう事なのでしょうか?」


 ラティが不安そうな表情をして聞いた。


「ああ、ごめんちょっとテンパってたね、

 ボクの名前は、ユズールってんだ、勇者の仲間だったんだよ」

 

 今更ながら、やっと名前を知れる。

 

 そして次に、地下迷宮ダンジョンの真実を語りかけてきた。


 初代勇者が切り倒した世界樹は、大地と魔力の流れを司る存在だったと。

 魔王を倒す為に必要だと、木刀を作るのが目的で切り倒してしまったらしい。


 切り倒した後に世界樹の役目を知り。その代役を果たしたのが地下迷宮ダンジョンだと言うのだ。

 溢れる魔力を地下迷宮ダンジョンに集め、湧き出る魔物を外に溢れないようにする為だと。


( この木刀がそんな罪深い一品だったとは、)



「多分、君達が地下迷宮ダンジョンの魔物を倒しすぎて、集まるはずの魔力が散って地上に流れたんだろうね。折角ボクら5人で地下迷宮ダンジョンの楔役をやって魔力を集めてるのに」


「え?他の地下迷宮ダンジョンにも同じような人いるのですか?」

「そうだよ~勇者の仲間5人全員で責任取って人柱みたいな楔になったのさ」


 恐ろしい、1300年も精神だけを縛り付けられてるのか、って勇者は?

 あと、倒した魔物が散って地上に流れるってのが引っかかる、、まずは、、



「あの、勇者はどうなったんですか?」

「うん?勇者は確か、この世界の召喚魔法の楔になったって聞いたな」


「それはどういうことですか?」

「あ~~それは他の奴に聞いて、ボクはあまり詳しくないからソレ」


( 他の地下迷宮ダンジョンの奥行けってか、)


「もうひとつ気になったのですが、魔物を倒し過ぎたから外に湧いたのですよね?」

「ああ、多分ね」


 少し顔が引きつりそうになるのを押さえながら質問する。


「魔石魔物を倒しまくったらどうなりますか?」

「あはははは、そんな倒せる訳ないでしょ、少しならともかく」


「ですよね~」

「ワザワザ、魔石を放置しないといけないんだから」



「デスヨネー」 


 ラティが分かり易い位に無言で目を逸らしている、俺も逸らしたい!。



「う~~ん、どうも多少なり伝える話が伝わって無いかもね、これは」

地下迷宮ダンジョンの話は捻じ曲がって伝わってますね」



「じゃあさ、勇者の束縛はどう言う風に伝わってるかな?」

「伝わってません!もしかしたら違う形で伝わってるかもですが」


 

 ユズールは訝しむような表情をして、束縛の内容を教えてくれる。


「勇者の行動と発言は伝染して肯定されるんだよ、無茶なモノでもね」

「えっと、それは、、?」


「だから、勇者がコレが良い物だって言ったら、それの価値が上がり出したりするんだよ」


 ああ、これで確定か予測と仮説は立ててたけど、これで確定だ。


「さっき言た、勇者が召喚魔法の楔になった効果のひとつさ、

 上手くいったかどうかは知らないけど、そんな効果が発揮されるって言ってたし」


「その楔の効果って、例えば経験値が多くなるとか成長力が高まるとかですか?」

「ああ、それもあったね、あとは【宝箱】もあったかな」



 召喚魔法は勇者が開発したのだろうか?少なくとも初代勇者が係わってるのは確定か

 もしかしたら、他にも効果があるかも知れないな。



「君達も勇者に会ったら言って置いてね、勇者が今召喚されてる気配感じるから、

 この勇者の束縛のことは特に伝えておいてね」


「あ、はい、」

「勇者の言葉を聞いた人と行動を見た人にしか効果は発揮されないからソレ」



「え?それは人づてには伝わらないのですか?」

「そりゃもちろん、勇者が近くに居ないと効果出ないよ」



「そろそろ、疲れて来たからまた今度ね、結構これってしんどいんだ、」

「え?まったまだ聞きたいことが」


「それは別の地下迷宮ダンジョンの勇者の仲間に聞いてね、

 あとは、さっきの事を勇者に伝えてね、お願いだよ、んじゃ最後にサービス!」


――聖系移動魔法”テイン”――



 ユーズルの問答無用の魔法に俺とラティは包まれた。


 目の前が突然真っ暗になり体重も感じれない不思議な感覚に包まれたのだった。



感想コメントありがとうございますー


分かり難い場所がござしましたら、お手数ですがコメントでも


今回も読んで頂きありがとうございます

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