英雄再び!
短くてごめんなさい、ここで切らないと長くなりすぎるので
俺は魔石魔物のハリゼオイと相対した。
俺の3㍍程後ろには、まだラティが肩を押さえながら蹲っている
「ヨーイチ様!」
「ジンナイ様!あぶなです」
後ろからラティとサリオの声が聞こえる。
って サリオ居たんだな、魔法が効かない相手だから空気扱いだったぜ、、
魔法からの援護射撃は期待出来ない、赤城もMP切れだった筈、
普通魔物と戦う時は、回り込む様に側面を取るの行動をするが、
今回は、ラティを背負う形になっている為に、正面から動けない、
しかも、この魔物は背中や足や腕の外側には、結晶の刃が張り付いているからWSまで弾くと聞いてる、魔法だけじゃなくてWSの援護も無し。
( 唯一弱点っぽそうに見えるのは、腹だけか、、)
それなのに、コイツはそれを理解しているかの様に、腹を庇うように構えやがる、
大雑把の大振りするなら隙を付けそうだが、コンパクトに爪を振ってきやがる、、
背中と体の外側は結晶の刃の鎧、攻撃は鋭い30㌢の爪、それはまさに
小さな要塞のような魔物だった。
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俺の名前はドライゼン
元はクソみたいな貴族の末息子だったが、それは捨てた。
ここ最近【ルリガミンの町】に来た冒険者だ、
楽に速くそして通常よりも強くなれると聞いてこの町の来た。
情報収集をしているウチに、パーティを集めている勇者がいる事を知った。
そして首尾よく勇者パーティに入ることが出来た、
普段なら苦戦するはずの魔石魔物を倒す方法でレベル上げをしてきた、
正直楽勝だった、離れた位置から止まっている魔物にWSを当てるだけだ、
慣れてくると、それはもう作業に近かった、だがそれでもレベルは恐ろしい位に上がっていった
慣れて来てレベルが50近くになった頃に、勇者赤城様が提案してきた。
『そろそろ経験値が欲しいから』そう言って、中層の魔石魔物狩りを提案してきたのだ。
理由を聞いてみたら、75辺りを超えると浅い層の魔石魔物では、経験値が稼げないと
中層の魔物の強さは知らないが、この勇者様と一緒なら問題無いだろうと思っていた。
予想よりも、中層の魔石魔物は強かった、とてもレベル50の俺では攻撃が通じなかった。
戦いは殆ど、古参のメンツで戦っている形だった、俺はお荷物状態だ。
だから予想外の強い魔石魔物が現れた時に、俺が救援を呼びに行く役目になったのだった。
援軍集めは思ったよりも上手くいった
瞬迅ラティさんを誘えたのが大きかった、ただ気になったのが、何故か食堂で会ったルーキーが一緒にいた事だ、時間が惜しいので取り敢えず赤城様の所に戻る事を最優先にした。
そして援軍を連れていってからは、盛り返して戦闘を何とか安定させた。
さすがに魔石魔物が2匹増えていた時は焦ったが、犬人の冒険者の指揮で慌てる事なく順調に戦闘を進められた。
だが、あの見たこと無い魔石魔物は格が違った
あの素早い瞬迅ラティさんを捕らえたのだ! 彼女が攻撃を受け叩き落されたのだ。
マズイと感じ飛び出そうか考えた時に、すでに飛び出してる奴がいた。
それはあのルーキーだった。
馬鹿じゃねーのかと思った、ラティさんに良い所でも見せようとしてるのかと思った。
雑魚が相手に出来る魔物じゃない、盾役のデイルさんを簡単に殺した相手だぞあの魔物は
良い所を見せようと格好つけていると、簡単にやられるぞ、命が惜しくないのかと。
「おいおい、足を止めて向かい合うのかよ、馬鹿か、」
思わず声が出てしまう。
格好つけるにも程がある、相手の強さを知らないのだろうか?
知らないんだろうな、これは勇気ある行動でもない、ただの馬鹿な奴な行動だ、、
俺は馬鹿じゃないので、今は見極める場面だと思い飛び出すの止める。
まだ動くべき場面じゃない、動くべき時に備えておくのだ、勇気を持って待っているんだ、、
動くべき機会を窺っていると、あのルーキーはなんとそのまま戦い続けていたのだ。
すぐに退くと思っていた、逃げ出すと思っていた、絶対に無理だと思っていた。
なのに奴は、槍で魔物の攻撃を往なしている、時たま結界の様なモノで防いでいたりもするが。
その時指揮をしていた犬人の冒険者が語りだしてくる。
「流石だな、WSが使えないからこその強さだな」
「はぁ?なんだよそれ、WSが使えない強さって?」
思わず理由を聞いてしまった、WSが使えないなんて弱点以外何物でもない、
「あ?まぁお前にはわからんだろうな、WSに頼っている奴には」
「それが何だってんだよ、WSつえーじゃねぇかよ」
反論したくなった、言ってる意味がわからないんだから、、
「WSってのは決まった太刀筋しか撃てないんだよ」
「そりゃそうだ、横にスイングするWSを振り下ろす様には使えないんだから」
横に振り回す大剣WS”スピスラ”は縦斬りは出来ない当たり前だ、
「あのダンナはWSが一切使えない、だから」
「だからなんだよ!」
何か腹が立つ、
「どんな角度でも自分の攻撃を繰り出せるのさ、慣れているんだろうな、
いや、違うか 必死にそう出来る様に戦いを繰り返してきたんだろうな」
「だから、あの魔物の猛攻を防ぎ切ってるというのかよ」
「違うな、アレは押し切るぞ」
馬鹿な、と その戦いを見てみると、明らかに違ってきていた、
往なすだけじゃなく、相手が腕を振り下ろす前に、相手の腕を弾き返してきている。
「こりゃぁ、”英雄”のダンナ狙ってるな、」
「何を狙ってるんだ、、あ!」
攻撃を押し切れず、ムキになった魔物が腕を大きく振り上げ渾身の一撃の動作に入ると。
物凄い速度で、その振り上げた腕を槍で撃ち抜く!
魔物は強制的に、片腕をバンザイさせられた形になった
そしてその懐に一瞬でルーキーが潜り込み、両手を突き出す!
「 ファランクス 」
ルーキーが雄叫びを上げた、そして魔物が、
まるで、体内から翼が生えた様に魔方陣が出現し、黒い霧がそれに合わせて散っていく。
そしてそれを眺めながら、頭にある事が浮んだ
やる事が無茶苦茶だ、まさに馬鹿だ馬鹿すぎる。
「確かに、英雄だ、」
隣にいる犬人の指揮の言うとおりかも知れない、あれは勇気ある行動じゃない、
計り知れない馬鹿、だけど、魅せるモノがあると、
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肩を切り付けられ、激痛のあまり体勢崩し地面に叩きつけられてしまった。
急いで体勢を整えないと追撃が来る、激痛だが動かないといけない。
相手を確認しないといけないと思い顔を向けると、そこには、
ご主人様が背を向けて立っていた。
違う、わたしを庇う為に立っているのだ、思わず声をかけてしまう。
「ヨーイチ様!」
振り向きもせずに、そのまま魔物を相対し戦いを始めた、しかも足を止めたまま。
無茶なことをしないで欲しい、だけど この無茶が誰の為なのかは理解している。
わたしの為に無茶で馬鹿な事をしている、
奴隷のわたしの為に命を賭けて体を張っているのだから
本当に馬鹿なお人だ、だけど、嬉しいと感じているわたしも馬鹿だ、、
気が付くと、わたしに回復魔法がかけられ傷が塞がっていく。
そしてわたしの前に居る馬鹿で無茶な人は、馬鹿が無茶を押し通して魔物を黒い霧に変える。
そして、少し胸を張るようにしてこちらに振り返る、多分、格好つけているのかも知れない。
こちらに笑顔を向けながら格好つけていると、次の瞬間に足元が爆発して打ち上げられた、
打ち上げられた、空中で何かに打ち抜かれて爆発した。
ご主人様はステータスに【INT】や【MND】が無いので、魔法はレジストすることなく、十全の威力を発揮する。
完全に気を失った状態で飛ばされ、ご主人様が崖へと落ちていく。
( あああ、もう何でこの人は、落ちれる場所があれば落ちにいくのだろう、)
理不尽な愚痴を心で言ってしまう。
でも、今度こそは『助ける!』
わたしはそう決めて、ご主人様を助ける為に崖へと飛び込んだ。
深い闇の中へと降りて行ったのだった。
読んで頂きありがとうございます、
続きは近きうちに出します




