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中層の魔石魔物

サボり気味ですいません、

出来る限り、、

 慌てて走るドライゼンと地下迷宮ダンジョン入り口前まで来ている。


 走りながら、ドライゼンから事情を聞いた。

 ドライゼンが所属してるいるパーティが、魔石魔物狩りで失敗をして大変だと。

 

 詳しい内容はまだ聞いていない、取り敢えず急いで救援パーティが必要だと。

 そして今、地下迷宮ダンジョン入り口前で大声を上げて叫んでいる。



「誰か―!、勇者様パーティの救援をお願いします――!」


( なに!勇者パーティの?!何処の勇者だ? )



「おいドライゼン!勇者って誰だよ」

「ああ、もう 勇者赤城様のパーティだよ、あと上杉様と蒼月様だよ」


( またアイツかー!今度はどんなボケしやがったんだよ、、)



「頼む~誰か救援を、助けてくれ赤城様が踏ん張ってるんだ!」


 人が集まり出してるがイマイチ反応が悪い、ひょっとして赤城って嫌われてる?

 よく考えたら、あいつって前も救援呼んで、その後の対応酷かったしな、


「そだ、ラティさんも助けてください、貴方が来てくれるならもっと集まり易くなるはずです」



 ドライゼンは『お願いしやーっす』って高校球児の様なお辞儀しだした。


( これって、野球部の上杉と蒼月の影響だろうか、)


 そんなどうでも良い事を考えていると、ラティが俺に目で指示を仰いできた。

 頭を下げてお辞儀をしているドライゼンからは見えていない。


 赤城には今後不安しか感じないが、助けない理由にはならないので。

 ラティに目で協力しろと指示を送った。


「はい、わたしで宜しければお手伝い致します」

「ありがとうございますラティさんありがとうございます!、”瞬迅”も参加してくれます~!」    


 因みに、俺が近くに居ると集まりが悪くなりそうなので離れておいた。



 その後は五分もしない内に、30人近い冒険者が集まった、その中には。


「今回も陣内君は助けに行くんだ」

「さすがダンナ、英雄らしくキッチリ駆け付けるね~」


「いや偶々だから、それに一応助けに行かないとマズそうだしな」


 今のこの世界で勇者の死が、どんな影響あるかも不明だしな、、その辺りも怖い、


 救出組の中には、伊吹組が参加していた、偶々不在だったのか他に勇者は見当たらなかった。

 頭数はともかく、実力で言うと少し不安なメンバーだった。



「急ぎましょう、赤城様達が待っているんで!」


 救出メンバーは、お互いの挨拶も無しで地下迷宮ダンジョンに入った。



 案内役は、ドライゼンが先頭を走り、赤城達が待つ場所まで全員で駆けていく。


「この先の中層エリアです」


( ――ッげ!! )


  

 ドライゼンが案内した場所は、前回と同じ入り口側に2~3㍍の段差があり、奥には崖がある広い空間の場所、俺が崖から落下した広場だった。


 現場に着くなり、横から愚痴を言う奴がいた。


「やっと来たか、もう持たないからなんとかしてくれ」

「駆け付けたのに、いきなり文句いうとは、すげぇなお前」


 入り口付近、段差の上の安全地帯に近い場所で、腕を突き出しながら文句を言う赤城が居た。

 余裕が無いのが、口調が荒くなっている。


「今は僕が魔法で抑えてるけど、そろそろMPが切れそうなんだ、」

「ジンナイ様、あれは土系拘束魔法”シバリ”ですです」


 地面から無数に生えた土で出来た蛇の様なモノが、身長2㍍の二足歩行しているアルマジロみたいな魔石魔物の足に絡み付いて、動きを封じていたのだ。


 段差の上なので俯瞰で状況が見える。



「あの封じられてる魔物が手に負えない位やっかいなんです」

 

 後衛役、たぶん回復役であろう男がこちら説明をしてくれた。


「あの魔物もそうだけど、他にも3体魔石魔物がいるじゃないか」

「あれ?さっきよりも、、」


 ドライゼンが何かをつぶやいている。

 


 状況は、動きを封じている魔石魔物が1体と、動き回っている魔石魔物が3体いた。

 動き回っている魔石魔物は、普段からよく見かけるイワオトコだったが。

 その3体のイワオトコと10人位の冒険者が鬼ごっこのように走り回っている、



「あのアルマジロモドキがヤバいのか?」

「はい、あの背中の水晶で出来たような剣山が魔法とWSウエポンスキルを弾くのです」


 よく見るとアルマシロモドキは、背中に剣山の様なモノを生やしていた。

 どちらかと言うと、スマートなハリネズミに近かった。


「特に魔法は――っあ!!」

「くそう、火系魔法”炎の斧”」


 段差上にいた、後衛アタッカー役の男が突然攻撃魔法を唱えたのだ。


――ッブゥォォオオ!!――


 サリオの魔法より二回り程小さい、炎で出来た斧が魔石魔物に振り下ろされた。

 が、魔物の背中に当たると、背の透明な水晶のようなモノで出来た剣に、切断されたようにバラバラに弾け、そして周囲に反射して飛んで行ったのだった。


「あぶねー」

「だから魔法使うなっての」

「味方にしか当たらねえんだよ」

「攻撃魔法使う暇あったら回復よこせ」


 他の魔石魔物と戦っている、味方にボロクソに罵声が飛んできた。



「弾くのか ッチィ 取り敢えず助けにいくぞ!」

「待ちなダンナ!」


 段差を降りて、戦いに行こうとした俺をガレオスさんが止めに入った。


「なんで?急がないと」

「ダンナこの状況で30人も押し掛けたら、だた混乱するだけだ、

 ここはしっかりと状況に合わせた人員で行かないと無駄に被害が出るだけだ。


「なら、どうするので」

「まずは、盾役行ってくれー!上から回復を投げるから、抑える事重視で」


 ガレオスさんの指示で盾持ちと迅盾役が、下に降りていく、ラティも降りていく。

 この辺りは熟練冒険者の貫禄なのか、まわりの冒険者達も従っていた。



「盾が抑えたら、WSウエポンスキルで潰していってくれ、

 倒す優先は盾役が押さえた奴からだ、迅盾で引き付けてるのは後回しだ」



 盾持ちが3人掛りでイワオトコの魔石魔物を抑えにいく。

   

「よし、次はアタッカーWSウエポンスキル用意!」

「よし、俺も、、はい出番無しですね」



 盾に抑えられたイワオトコにWSウエポンスキルが着弾していく。

 が、ハーティのパーティに比べると弱い為か、中々倒しきれていない。


「くっそ、長引きそうだ」


 ガレオスさんが愚痴を放つ。


 しかし、なんで他の魔石魔物にまで苦戦してたんだ赤城組は、

 あのアルマジロモドキはともかく、他のは倒せるだろうに、なんで苦戦を、、



 などと疑問に思っていると、ガレオスさんが察したの説明をしてくれた。


「赤城組パーティが苦戦していたのが不思議なんだろ?

 理由は簡単さ、WSウエポンスキルは撃てるけど、剣は碌に振れない素人だからだよ」


「へ?なんで」

「なんでって、あの連中みた感じレベルしか上がってない奴らだろ、

 剣や斧の振り方がなってないのさ、だからちょっとでも動いている的には当てれないのさ」


 

 なるほど、経験値は稼いでるけど、経験は足りないってことか、

 それで動く相手にはWSウエポンスキルを当てれない、って盾役が抑えれば?、、


 『盾が居ればいいんじゃないか、、』と つぶやきならが盾役を探すと。



「あの剣山の魔物にやられたのか、惨いもんだ」

「あああ、、」


 アルマジロモドキの後ろに、ズタズタに引き裂かれた冒険者の死体が転がっていた。


「あの盾役がやられて、一気の崩壊したんだろうな、」

「迅盾で気を引いている魔物だと動くからWSウエポンスキル当てれないのか」


 俺達の話を聞いていた赤城が発狂したように叫んでくる。


「そうだよ!盾役のデイルさんがやられたんだよ、ちくしょぅ、」

「あの優秀な盾役がやられたのか、」


「後は、僕がアイツを魔法で抑えて、ガインさんに迅盾で頑張ってもらったんだよ」

「上杉と蒼月は?あいつらはどうしんだよ」


「横で回復中だよ」

 

 短く答えて赤城がアゴで指す先に、二人が回復魔法を受けている最中だった。


「くそぉ、さっきまでは魔石魔物2体だけだったんだよ」

「はぁ、なんで4体に増えてるんだよ、ってまさか!」


「五月蝿い煩いうるさい、拾う暇が無かったんだよ」

「おいおい、ダンナ、この勇者様はこんなに酷かったけかなぁ」



 このッ馬鹿、2体相手にするのにテンパって、他に置いてある魔石をそのままにしたのか、

 危ないと思ったら次の魔石魔物が湧かない様に、一度回収しろよ魔石を、、


( やっぱ赤城はダメだコイツは、予想外の出来事に脆すぎる、、)


WSウエポンスキルは使えないけど、やっぱ俺も、」

「まだだダンナ!英雄のダンナが前に出たら、WSウエポンスキルの誤爆もありうる」


「でも!」

「ダンナは、ここ一番の切り札ってことで」


「なるほど切り札か、それなら仕方ないか、で 本心は?」

「普通に邪魔かな~って、前の魔石魔物狩りで学んだんじゃ?」


 くうぅ、ガレオスさん知ってるのか、    

 ハーティとの魔石魔物狩りでWSウエポンスキルを使えない俺が無理に攻撃をして悪化させた件を、


  

「もう、MPが完全に空になる拘束魔法が解けるぞ、ちくしょう」


 赤城が泣きそうな顔をしながら、魔物の拘束が解けることを告げてくる。

 拘束が解けると、あのアルマジロモドキが暴れる事になるので。


「ラティ!あの剣背負ってる魔物のターゲットを取れ!そして避けまくれ」

「はい、ご主人様」



 一番やっかいそうな相手だから、ラティに任せるしかないけど、

 身長が2㍍とちょっと低目だから、迅盾向きじゃない相手だよな、、


 ラティがマルマジロモドキに斬り付け、相手の敵対心を高めていく。

 しかし、相手の身長の低さと天井の高さから、いつもよりも足場が少なくなっている。

 周りでも戦ってるのがいるので、広く場所を取る立ち回りも出来ない状況。



「ありゃ、ラテ嬢ちゃん苦戦してるな、」

「やり難そうな相手ですからね」


 アルマジロモドキは、イワオトコ等に比べると、体は小さめで。

 何よりも繰り出す攻撃がコンパクトに振り回してくるのだ、大振りの魔物とは違ったのだ。

 大振りの攻撃なら、掻い潜るように避ける事が出来るのだが。


 現在の状況は、段差上に赤城を含めた後衛が10人、段差下には盾役が3人、迅盾が5人、アタッカー役前衛が20人近くがWSウエポンスキルを放っている。   

 迅盾4人がイワオトコ2匹を相手に時間稼ぎをしていて、盾役がもう一体のイワオトコを押さえ込んで、動きを封じている。


 中層に湧いたレベルの高い魔石魔物のイワオトコとは言え、苦戦し過ぎだ、、

 ハーティの居たパーティは錬度の高いメンツだったんだな、余裕で魔石魔物倒してたんだし、



 などと考えていると、勇者伊吹が大剣WSウエポンスキルで一体の魔石魔物を黒い霧に変えた。


「おっしゃ!一体やったぞ」

「あと二体倒したら、あの剣背負い倒すぞ」

「馬鹿、あの魔物の名前はハリゼオイだよ」

「うるせー【鑑定】使ってる暇無かったんだよ」 



 冒険者達も少し余裕が出来てたのか、口数が多くなっていた。


 ――其処に。



 ハリゼオイが予想が出来そうな予想外の攻撃を仕掛けてきた。


――ッザク!――

 ハリゼオイが背中の結晶で出来た刃を一瞬で伸ばしてきたのだ、その長さ1㍍。


 魔物に接近して避ける戦闘スタイルのラティには、効果的な攻撃方法だった。

 結果ラティは右肩を深く抉られることになった。


「――ッアグゥ!!」

「ラティ!」


 完全に体制を崩して、右肩を庇うように、左肩から地面に叩き付けられるラティ。

 理解出来る事は、このまま追撃されればラティが殺されるという事。



――ガキィィイイン!!――


 槍でハリゼオイの右手を斬り付ける、腕の外側も細かい結晶の剣が生えており有効打にならない事は理解出来ていたが、ラティへの追撃をさせない為に、槍なのに敢えて斬り付けた。


 俺は最近冷静でいられる様になったと思ったが、やはりラティの事になると駄目だった。

 この危険な魔石魔物ハリゼオイに正面から戦いを挑むなんて正気の沙汰じゃない。


 だが、ここで足を止めずに動き回ると、もしかしたら負傷して動けないラティに向かうかも知れない、それだけは絶対に許さない、魔物にも俺にも。



 だから、俺は足を止めてハリゼオイと正面から打ち合う事を選択し覚悟を決めた。


読んで頂きありがとうございます。


ブクマ、コメントありがとうございますー

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