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新参者

新章スタートです

 


 食堂大乱闘なぐりあい


 俺は、ケジメを付ける為に、魔石魔物狩りで稼いだ金貨を全部返すことにした。

 丁度現場にまだ残っていた言葉に、金貨を渡したのだ。


 言葉は何故か、葉月と牽制し合うように居たのだが、理由は謎のままだ。



 その日の夜は。


『ラティ!これが最後のチャンスかも知れないんだ!』

『何の事か存じませんが、ご主人様は早くお休みください』


『まってくれ、俺の【天翔】を!』

『サリオさん、ご主人様が錯乱気味なので寝かして頂けますか』


『階段を、階段をー』

『こわっ!、闇系気絶魔法”キゼツ”』 

『っぐが!』



 こうして俺は強制的に寝かしつけられた。

( これ寝かし付けじゃねぇな )



 次の日は、城下町まで馬車で帰り、奴隷商に再契約と新しい奴隷の首輪を付けてもらった。


 その時にラティが、愛しいものでも撫でるかの様に、首輪を撫でていたのが印象的だった。

( 首輪に思い入れでもあるのかな? )


 【大地の欠片】を売りに雑貨屋に寄り、その後、長期契約していた宿の解約にも向かった。

 久々に城下町に寄って気が付いたが、やはりここだと【狼人】とハーフエルフのサリオに対して忌避する風習はまだ根付いてるので、本拠地を【ルリガミンの町】にする事にしたのだ。



 ルードが何やら絶望的な表情をしていたが、しらんな!



 そして現在は、【ルリガミンの町】行きの馬車の中


「今日は移動ばかりで、ちょっと疲れたな、」


「あの、やはり馬車に揺られるって意外と疲れますねぇ」

「zzzz」


「サリオさんは寝られてしまいましたねぇ」

「昨日俺を即効で気絶させた後、夜更かしでもしてたのか」



 遅い時間の為か、普段混んでいる馬車は空いていた。

 最近全くラティを撫でて癒されてなかったので、人目も少ないし。


「ラティ、ちょっといい?」

「あの、はいご主人様」


 察したのか、少し頭を下げて撫でやすい位置に頭をズラす。

 左に座っているラティを右手で撫でると、目を細めて気持ち良さそうにしている。

( あ、耳の裏側掻いてやるとより気持ち良さそうにするな )


 あ、口元から機嫌の良さそうな音が漏れているなぁ

 しかし、ラティって頭は素直に撫でさせてくれるよなぁ、これってラティ的にどんな心境なんだろう、気になるけど聞けないなぁ、、



 そんな事を考えながら、ラティの頭を撫でていると彼女の腰まわり、そう尻尾が目に入る。

 ラティと出会った頃に尻尾を触ろうとして、避けられた記憶が、、。



 徐に、ラティの尻尾に手を伸ばして見ると。


「――ッ!」


 尻尾がするっと動き、左側の手の届かない位置に移動してしまったのだ。


「おふ、」


 やはり尻尾は触らせてくれないようだった、と しょんぼりしていると。


「‥‥‥っん」

「ッ!」


 ラティが尻尾を再び、手の届く右側に寄せてくれたのだった。

 

 こ、これは尻尾を撫でても良いと言うことだろうか?顔を見て確認を、、

 ああ、頭撫でてて、俯いているから表情が見えない、いや駄目だ!違う!頼るな俺!

 

 己の意思を持って尻尾を撫でるのだ! 尻尾を撫でる気概を持つのだ!

 

 何か違う気がするが、尻尾を左手で撫でる事にした。


――ピクッ!



 一瞬ラティが身を縮めたが、その後はリラックスをしている。

 人肌の温かさを持った絹糸の束を撫でるような手触り、絶対に爪などを引掻けないように注意して撫でる、ちょっとした感動をする手触り。


 そこに、ラティの左側で寝ていたサリオが突然起きて。

「もう火系爆発魔法でも唱えようかちらです」


 とか、言い出した。  

 

 突然爆破予告とか、この子はテロリストかも知れない、





  



          閑話休題(至福の時間でした)



 





 その後、【ルリガミンの町】に無事に到着


 【ルリガミンの町】に到着後は、本拠地となる宿を探すことにした。


 ラティとサリオの要求はお風呂が完備されている宿屋であること。

 あとは、値段が高く無い所をラティは要求していた。

( ラティはええ子や、 )



 決まった宿は、交渉の末に一ヶ月3人部屋で金貨6枚、それと乱闘は禁止

 今まで泊まっていた宿は、乱闘騒ぎで出入り禁止なっていた、食堂も禁止に。


 本当は一人部屋と二人部屋の予定だったが、それだと金貨8枚かかるのでラティに止められた。



 今は、宿の食堂で夕食後のまったりタイム中である。

 ラティはサリオに引っ張られ、離れた席でサリオが何かを必死に聞き出そうとしている。


 

 サリオがラティに何かを聞き出そうとしてるのって珍しいなぁ、

 何を聞いてるのかちょっと気になるけど、こっちに来ないでオーラガンガンだしてるし、


 ラティとサリオを眺めていると、何時の間にか、ららんさんが目の前に席に座っていた。


「ニシシ、じんないさん仲間ハズレにされてるんで?」

「あ、ららんさんお久しぶりです、赤布大事に使わせてもらってますよ」


「そりゃよかった、回復の指輪の方は?」

「ええ、この前の乱闘騒ぎでちょっとお世話になりました」


「ああ、あの時って”聖女”様と”女神”様に回復してもらったんだっけ」


 ん?聖女は葉月だけど、女神って、?


「ららんさん女神って誰ですか?」

「へ?一緒にいた女神言葉様だよ、ありゃしらんかったっけ?」


「彼女ってそんな二つ名付いてたのか、」

( まぁ、あのふたつのアレは女神って感じだけど )


「なんか いやらしい顔してるのう、」

「してないよ?考えてないよ?」


「そかそか、そういう事にしとこか、えっとね女神って呼ばれる理由

は、蘇生が使えるから」

「――っはい?、さすがチートの勇者様だ、やっぱ蘇生魔法あるんだ」


( おいおい、最強能力のひとつじゃねぇかよ、) 

 

「多分、【固有能力】で何かを蘇生までに引き上げてるんだろうね」


( なるほど、 )


「って、それなら葉月より回復が上なのか!?」

「いやいや、違うみたい、単純に回復魔法ってだけなら聖女様の方が上らしいよ」


 ああ、確かに回復魔法かけてもらった時、葉月の方が効果感じたな、、


「ソレとは別で、ちょっと面白い話が出てるんだけどッ――」


 ららんさんが話している途中で俺の横に、突然冒険者が座ってきた。


「よう、面白い話ってなんだい?」


 赤毛で短髪の同い年くらいの冒険者だった。


「ん?なんです突然」

「ああ、ちょっと最近来たばっかりで、無理矢理にでも情報集めしててな」


「はぁ?」


 すっごい馴れ馴れしい感じで話しかけて来る、ららんさんは見極める様に静かに観察している。


「最近さ、魔石魔物狩りをするとか、すげぇ噂が流れてるからよ色々と下調べよ」

「ああ、流行ってますねソレ、でも勇者居ないとキツイらしいですよ」


「やっぱそうか、その辺りは目星付けてるけどな」

「ソウデスカ」


 どっか行かないかな、騒いで乱闘になると追い出されるからなぁ、困った、

 俺に何か声かけて来る奴って大体地雷ばかりなんだよな、、


( いや、地雷しか居ない気がしてきた )


 俺が一人ノリツッコミをしていると、ラティの方を見つめて。


「お?あれって噂の瞬迅ラティさんかな?」

「うへ、」

( また地雷かーーい! )


「亜麻色の髪の狼人の娘、情報通りだ近くで見ると可愛い子だ、、」

「どこ情報です、、」


 やっばい気になる、、どこの情報だー!


「は?【ルリガミンの町】じゃ常識に近いんじゃ?”瞬迅”って」

「えっと、参考程度に教えて頂けたら、、」


「おいおい、お前ルーキーかよってそのショボイ見た目じゃルーキーか」

「まぁ、まだ若いので、はい」


 硬皮鎧ハードレザーアーマーって舐められるな、好きなのに、

 目の前のららんさんが、肩を震わせて笑いを耐え始めている。


「いいか、しっかり聞いとけよ、ラティさんは”迅盾”の発案者であり最高の使い手」

「なるほど、流行ってますね」


「動きの華麗さに見た目の綺麗さ、そして強さは苛烈さだとか」

「はは、」

( 確かに、首狩りとか苛烈だな、 )


「実際に見て確認出来たけど、あの動きは凄かったなぁ」

「どこで?」


「魔石魔物狩りの下調べで、遠くからだけど見れたんだよね」

 

 ハーティ達との魔石魔物狩りの時かな?、


「そして今、近くで見れたけど、すっげぇ可愛いな、」

「おいおい、君わかってるじゃないかね」 


「お?おう、あれ知ってたの?」

「ああ、ゴメなんでもないです はい」


 ららんさんがマズイ位に肩を震わせて笑いを耐えている、


「あ、でも注意が必要だぜ?」

「へ?注意が?」


 赤髪の冒険者が、どやぁ顔で俺に説明をしてくる。


「いいか、彼女を巡って争いがよく起こるそうなんだ、」

「お、おぅ」

( ちょっと嫌な汗が出た )


「最近じゃぁ近くの宿屋の食堂で彼女を巡って殴り合いがあったとか」

「へ~ソウナンダ」


 やっばーい、今更言い出せなくなった、なんか恥ずかしい、

 ららんさん、ちょっとはフォローしてくださいよ!


「それでな、負けた方はこの町を出て行くのがルールらしい」

「はい?マジで?ホントにです?」


「ああ、彼女の首を見てみろよ、奴隷なんだよ彼女」

「ですねぇ、奴隷ですね」


「その彼女の主ってのがな目つきの悪い奴でな、勝負に負けた奴をこの町から追い出すだとよ」 

「まってください、目つき悪いって関係無いですよね?あと追い出すって」


「まぁ、負けたら追い出すがここの常識らしいな」

「――ッゴッフ!!」

「ららんさん?」


 ららんさんが噴出して紫色になって倒れた!我慢し過ぎだろうに、、


「おいおい、連れのエルフは平気かよ?」

「はい、多分問題無いです」


「いいなぁ、ラティさんの主って羨ましいぜ」

「でしょでしょ!」


「ん?」

「あ、ナンデモナイデス」


 激しく同意してしまった、全く羨ましいぜ!、、あれ?


「最近も馬車の中なのに、触っちゃいけない場所を人目も気にせずさすってたとか」

「へぇ、、っへぇぇ、ソウナンデスカ」


 まさか、今日の馬車のことか?尻尾の件か?情報はや!、


「さてと、そろそろ俺は別の場所に行くかな、ラティさんも確認出来たし、」

「あ、はい」


「ルーキーのアンタも気をつけて置けよ、彼女に近寄る奴は

目つきの悪い主が襲ってくるらしいからよ、可愛いから仕方ないか」


 ふと、ラティの方を見ると顔は見えないが、あの耳と髪の動きで凄い照れてるのが分かる。

( アレ、会話聞こえてるな、)


「また何処かで会おうぜルーキー」

「あ、はいまた何処かで、」

 

「俺の名前はドライゼンて言うんだ、又な、え~と」

「あ、俺は、」


「いやいいよ、ルーキー君、野郎の名前はパーティ組んだら覚えるようにしてるんだ」

「はぁ、」


 『あばよ』って言いながらドライゼンは外に出て行った。


 俺は今度地下迷宮ダンジョンであったらどうしようかな~と思い、ドライゼンの出て行った出口を見つめていた。


 そして机の下には、呼吸困難になったららんさんが転がっていた。


ブクマにコメント本当にありがとうございます


滅多にブクマもコメントも貰えないので嬉しいです

そして読んで頂きありがとうございます

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