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告白

まだまだグダりつつ ごめんなさい

 

 とけいが9時過ぎを指す夜の中、

 俺はラティに手を引かれたまま町を歩いている。


 手を繋がれているのが少しテレるなぁと考えていたら、ラティが話しかけてきた。

 少し寂しそうな顔をしてこちらを振り向きながら。


「あの、ご主人様 何かあったのですか?」


「違うんだ、あの店行ったのはガレオスさんに強引に誘われたので」

「いえ、その事では無くて、最近の……魔石魔物狩り辺りから」


( あれ?ガレオスを売る気満々だったけど、違う )


「何か考え事をしてるみたいでしたので。

 過去の勇者の事で考えていたみたいでしたが、それとは別のことでお悩みの様でしたので」


「いや、うん。悩んでいるけど、俺が自分で考えないといけない問題なんだよ」

「そうでしたか、わたしではお力になれない問題なのですねぇ?」


「ごめん」

「あの、謝るだけと言うことは、わたしにも関係があることなのですねぇ」 


「――っ!」


「もし全く関係無い事なら、関係ないことって仰るでしょうし」

「……」


「……明日の魔石魔物狩り頑張ろう」

「はい、ご主人様」



 気まずくて誤魔化した。

 って、とても情けなくて言えなーいぃ!役立たずでウジウジしてますなんて……


 明日の狩りを頑張ってみよう……


 その日はそのまま無言で手を引かれて宿に帰った。






             ◇   ◇   ◇   ◇   ◇






 次の日の魔石魔物狩りは、始める前にハーティからの今後報告があった。


「そろそろ、ここでのレベル上げも経験値が入らなくなってきたので、

 明日は本拠地のエウロス領に一度帰ります、なので今日が最後の魔石魔物狩りになります」


「りょうかーい」

「75からはもう上がらないしね」

「久々の死者の迷宮か~」



 ハーティ達三雲組は、一度東に帰ることを伝えてきた。


「ぎゃぼう、ボーナスタイム終了のお知らせです」

「どうせもうレベル上がらないだろ?」

「かなり上がりましたねぇ」


ステータス


名前 陣内 陽一

職業 ゆうしゃ


【力のつよさ】65

【すばやさ】 63       

【身の固さ】 66

【EX】 武器強化(弱)赤布

【固有能力】【加速】

【パーティ】ラティ71 サリオ69

――――――――――――――――――――――――――――――――――


ステータス


名前 ラティ

【職業】奴隷(赤)(陣内陽一)

【レベル】71

【SP】387/398

【MP】301/301

【STR】 267

【DEX】 291

【VIT】 252

【AGI】 371+5

【INT】 239

【MND】 256

【CHR】 311

【固有能力】【鑑定】【体術】【駆技】【索敵】【天翔】【蒼狼】

【魔法】雷系 風系 火系

【EX】見えそうで見えない(強) 

【パーティ】陣内陽一 サリオ69


 ――――――――――――――――――――――――――――――――――


ステータス


名前 サリオ

【職業】奴隷(赤)(陣内陽一)

【レベル】69

【SP】245/245

【MP】488/498

【STR】196

【DEX】216

【VIT】188

【AGI】210

【INT】323

【MND】304

【CHR】234

【固有能力】【鑑定】【天魔】【魔泉】【弱気】【火魔】【幼女】【理解】

【魔法】雷系 風系 火系 土系 闇系

【EX】見えそうで見えない(強)

【パーティ】陣内陽一 ラティ71


 ――――――――――――――――――――――――――――――――――



「あの、なんと言いますか、酷いレベルの上がり様ですねぇ」

「今までの苦労はなんだよってあたしは叫びたいわです」

「‥‥‥‥」


 あれ?なんだろ、俺が頑張って地下迷宮ダンジョン潜ってたのが否定された気分に。

 いやいやいや違う、ネガティブになるな俺!今日は違うんだー!




 そして楽しい楽しい魔石魔物狩りが始まりました。(俺以外)


 魔石の置く数を8まで増やし、まさに乱獲に。


 飛び交うWSウエポンスキルと魔法の斧、そして魔物を引き付ける迅盾役のラティ達。

 レベル70を超えたWSウエポンスキルはより凶悪な火力を誇り。

 

 より一層俺が気まずい思いをする事になった。


  

 おいおい、みんな楽しそうだな、WSウエポンスキルが別次元になってんぞ、

 弓なんて完全に粒子砲みたいになってるし、剣も多段ヒット系になってるよ……


 もうこいつら、SP切れとかガス欠にならないかな……



 と、思ってたらSP切れになり出番来るかと思ってたら、昼食休憩を入れる事になった。

 そうだった、休憩すればSP回復するから気にしないですよね……


 因みに、俺が出来たことはまだ攻撃合図の出ていない魔物に先走って攻撃をして、戦闘を混乱させてことくらい、ええそりゃもう邪魔しかしてないですね……

 


 昼食は持ち運びに手軽なパン類を食べる。


「むう、あちらは何やら豪勢な昼食なのです」

「そうですねぇ」

「もぐもぐ」


 俺はパンを咀嚼しながら隣の三雲組を見ると、確かに豪勢な昼食だった。

 とても普通では持ち運べないような物ばかり、【宝箱】があるから持ち込めるのだろう。


「サリオさん、ウチはウチ、余所のは余所ですよ。あるだけでもありがたいのですから」

「まぁ、しょうなんだけどねモグモグ」



 昼食後のデザートなのか、果物類を並べる三雲組。

 そこで、いつも通りにラティとサリオにデザートのお誘いをしてくる。


「ラティちゃーんサリオさーん、一緒にどぉ~ぅ」


 声をかけて来るのはいつも三雲だった、言葉は今もせっせと果物を用意をしている。


 ラティ達に『二人とも行っておいで』と言い、俺はここで休憩をしていると伝える。

 サリオは、はしゃぎ気味に参加し、ラティは申し訳無さそうにしている。



 しばらく見ていると、ラティと話してたハーティがこちらに寄ってきた。


「ご一緒に食べないのですか?」

「呼ばれてないのに行く程KYじゃないので」



「はは、KYですか。三雲さんはともかく言葉さんは来ても構わない様に見えるのですけどね」

「KY解るのかよ」


「KYの意味知ってますよ陣内君」


 ん?発音が完璧だったぞ、ハーティさんって異世界人だよな……


「突然ですけど、自分は転生者なのですよ」

「――っひゃい?」


「中身は日本人ですよ。たぶん時代も陣内君と同じくらいですね」


 マジか?勇者召喚だけじゃなくて、転生とかもかよ?

 単なる偶然なのか?転生者に会える確立ってどれくらいだろう。


「実はですね、これに似たようなゲームをやったことがあるんですよ」

「ああそうなんですか」


 そこからハーティは俺に転生してからのことを語り始めた。


 大学時代に事故死したと思ったら、10才の少年になっていたと。

 それからはチートも無い普通の冒険者をして暮らしていたが、勇者達が召喚された。

   

 勇者達の恩恵ギフトがあれば、思い描いていた戦闘方ゲームとおなじが実行出来ると。

 そして、今それが実現して、これからは東の領地でもっと上を目指し東での魔法を取り入れて、次の段階の進みたいと。そして、


「ラティさんが、必要なんだよね」

「‥‥‥」


( またかよ )


「ごめん、違うな、確かに彼女の強さは東の死者の迷宮で必要だけど。

彼女に惚れたからだな、外見だけじゃない、あの心に惹かれたんだ、掴めない感じの心に」


「――っな!?」


「転生者の僕には【狼人】だから嫌うなんて言う感情は無いんだ。

だから、彼女が欲しいんだよ。奴隷だから可哀想とかそんな感情じゃないんだ」


「‥‥‥」


「そして失礼ながら君には、彼女に釣り合わないと”俺”には思うんだ」

「――ッ!!」


 ッ痛って――!ところを突かれた、今の俺には酷くえぐられた気分だ……

 何か言い返さなくては、何か何か……


「ラティは俺の奴隷だ、お前にはやれないよ」


 やっと吐き出せた言葉おもいは酷いモノだった。



 情けない俺にハーティが牙を剥く


「そんなのが渡せない理由ですか、情けない」

  

 何も言い返せない。


 ハーティは落胆の表情から激怒の顔に変え俺に叩き付ける。


「陣内君の事は色々と聞いていたのですけどね、全く違ったもっと酷い!」




 その後、『今日の魔石魔物狩りはここまでに』と 狩りを切り上げる事になった。



 


          ◇   ◇   ◇   ◇   ◇






 そして今は、泊まっている宿の食堂で、三人で早めの夕食を食べている。


「ジンナイ様、何があったです?」

「あの、ご主人様、先程の件は?」



 二人にはまだ、あの会話の内容は伝えていない。


 言える訳がない。なんだよ!一方的に要求だけ突き付けてきやがって、

 勝手に人の奴隷が欲しいとか抜かしやがって、人の物を勝手に欲しいとか……


「――っぐ!」


 言える訳が無い。情けなすぎる。心の何処かで認めちまったのかも知れない。

 ハーティと俺とじゃ、ラティにどっちの方が釣り合いが取れるかなんて、ラティの気持ちも考えず

 そうだよ!ラティ気持ちも考えず、誰かのモノみたいに勝手に……


 ラティが望むなら、俺は……


 あれ?今までにも似たような事があったのに、なんで今回は強く言えないんだ俺?

 

「ご主人様?」

「ああ、ラティごめんちょっと考え事してた」



 俺は考え事に集中し過ぎてボケッとしていたようだ。


「あの、それで一体何があったのですか?」

「そうそう、あの温厚なハーティさんが激怒してましたです」


 『ああ、それは』と言いながら何とか誤魔化そうとしていると、食堂に踏み込んで来るパーティがいた。


「陣内君、話に来たよ、さっきの件についてだ」

「ハーティ……」

 

 ハーティは三雲組の勇者二人と冒険者4人を連れて食堂にやってきていた。


「ラティさん失礼します」

「はい?」


――フォオン!!


 ハーティが聞いた事の無いような音をさせながらラティに魔法を掛けた。


「お前何をした!」


 俺は一瞬でッカとなるが、辛うじて抑えられた。何故か指から熱が引く感覚は。


「ああ、首輪が……」

「ラティちゃんの奴隷の首輪が」



 ラティの赤い奴隷首輪が消滅していたのである。


「もう、ラティさんは奴隷じゃないです、もちろんそれ相当の金貨はお支払いします」

「――っ!」



「ラティさん、私は貴方に惚れました。どうか私達と一緒に来てください」


 奴が言いやがった。

 今までの奴らとは違う、ラティの強さとか外見とか知名度でも無い。

 

 ――ラティ本人に惚れてハーティは来てくれと言ってるんだ……


 

 だから俺は強く言えなかった……誤魔化すように奴隷の言い訳も使えなくなった。


 そして、宿の食堂には野次馬が増えていった……


 




読んでいただきありがとうございます


次でこの章はラストになります

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