思い出す
すいません、またまたグダり展開です
遅れました、
魔石魔物狩りに参加して地上に戻ったその夜、俺はある事を思い出していた。
今は泊まっている宿の食堂で、一人でホットミルクを飲んでいる。
ラティとサリオは食事を終えて、風呂に入浴中だ。
そして思い出している内容は、始めて魔石魔物と戦った後のことだ。
ラティは光の下で賞賛され、俺は薄暗い壁際でたたずんでいた時のこと。
「ある意味あの時以上に酷いな。あの時は戦えてたんだし」
ラティは凄かった、あの時以上に凄かった、俺もあの時よりも強くなっているのに、
だけど、同時に周りも強くなっていやがった、あの時よりも取り残された感覚がするなぁ、
あの時は、どうしたんだっけなぁ、
ああ、思い出した”並び立つことの出来る存在”になってやるって誓ったんだ、
そう自分に言い聞かせたんだ。実際に少しは戦えるようになったと思う。実際に戦えてたし。けど、他の勇者や冒険者と比べていなかっただけだった。今日の戦闘ではとても並び立つとは……
「マズイ、ネガティブなってる、もっと前向きに!」
そうだ、サリオも全然駄目だったんじゃん!よし、俺だけじゃない!
ちょっと凄い駄目な発想な気がするけど気のせいだ、今の俺にはサリオがいる、
「あの、ご主人様、お風呂から上がりました」
「ジンナイ様、お風呂からあがったです、って何か考え事ですぁ?」
「いや、なんでもないよ。ただサリオがいてくれて良かったって思ってただけさ」
「あう、ジンナイ様がなんか気持ち悪いです」
「‥‥‥」
「おぅ、酷い言われようだ。まぁ明日も誘われてるしもう寝よう」
「はい、ご主人様」
「うう、明日も気まずいです。でも稼げるので我慢です」
俺は、弱い心を守るように現実から目を背けてみた。
ほら、辛い時とかって同じ様な仲間がいると楽なるじゃん?ちょっと救われるじゃん、
そうこれは、逃げでは無くて戦略的撤退だ、逃げじゃないんや――――!
閑話休題
そして次の日。
俺の唯一の味方であったサリオに、俺は裏切られる事になったのだった。
ステータス
名前 陣内 陽一
職業 ゆうしゃ
【力のつよさ】63
【すばやさ】 61
【身の固さ】 63
【EX】 武器強化(弱)赤布
【固有能力】【加速】
【パーティ】ラティ59 サリオ53
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ステータス
名前 ラティ
【職業】奴隷(赤)(陣内陽一)
【レベル】59
【SP】287/312
【MP】271/273
【STR】 218
【DEX】 246
【VIT】 201
【AGI】 302+5
【INT】 200
【MND】 211
【CHR】 265
【固有能力】【鑑定】【体術】【駆技】【索敵】【天翔】【蒼狼】
【魔法】雷系 風系 火系
【EX】見えそうで見えない(強)
【パーティ】陣内陽一 サリオ53
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ステータス
名前 サリオ
【職業】奴隷(赤)(陣内陽一)
【レベル】53
【SP】194/194
【MP】349/412
【STR】141
【DEX】156
【VIT】144
【AGI】174
【INT】258
【MND】239
【CHR】167
【固有能力】【鑑定】【天魔】【魔泉】【弱気】【火魔】【幼女】【理解】
【魔法】雷系 風系 火系 土系 闇系
【EX】見えそうで見えない(強)
【パーティ】陣内陽一 ラティ59
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魔石魔物狩りのおかげで、レベルは驚く程に上がってた。
そして、サリオはレベル51を超えた時に解放された魔法が、
「火系魔法”炎の斧”です!」
「 ――ッゴッワッフ!!―――― 」
「おおおお」
「まぐれじゃない!?」
「火力高すぎだろ」
「マジか」
「次、呆けてないで、次の魔物押さえて!」
「お、おう」
「 ――――ッガィィィイン!―――― 」
「いけるぞー!」
「雷系魔法”トールハマー”です」
「 ――――ッバッジャァァァァン!――――― 」
「お、今度はギリ生きてるか」
「トドメWS!」
「WS”スピスパ”」
サリオ魔法が魔石魔物を一撃で屠る威力を持ったのである。
魔石魔物を倒して、パーティメンツがサリオに声をかける。
「つえーな、その魔法」
「51超えてから次元が変わるね」
「MP足りるの?それ」
「その魔法って使ってるの少ないね」
サリオはこの世の春が来たって顔をしながら対応している
「ぎゃぼう、あたしの時代来ちゃいますか?
それと、ここまで魔石魔物で上げてもらったおかげですよです」
「魔法アタッカーが51からここまで化けるとはね、」
「これは魔法アタッカーの見直しをするべきかもだ」
まさか、サリオに裏切られるなんて。とうとう俺だけがダメ男になってしまった……
その後、サリオの魔法があるならと、魔石を3個置きから5個置きに変更した。
5個置きの魔石から魔物が湧くので、ペースが上がり18匹を昨日の半分くらいの時間で倒すことが出来た。
そして現在休憩中
「ジンナイ様、どうですあたしの魔法!」
「ああ、つおいね」
「あの、ホントにお強いですねぇ。私ビックリしましたよ」
「でっしょー、あたしの時代がきたわ~」
「あ~うんうん、きたね」
「斧の魔法はホントに神々しくて綺麗でしたねぇ」
「ラティちゃん、わかってるわね、あの綺麗さが」
「……」
「はい、わたしは炎の斧が特に綺麗で好きですねぇ」
「火はあたしの得意魔法ですからです」
「……」
「あの、ご主人様?」
「MPがちょっと辛いけど、こうやって休めるからMPも平気だしです」
サリオは絶好調だった。昨日の鬱憤が溜まっていた為か、止まることを知らなかった。
そんな時に、三雲組からも一緒にオヤツでもどうかとお誘いがきて。
「其方もご一緒にどうですか?言葉様が【宝箱】からケーキとお茶を出してくれまして」
「あ、クッキーもあるよ~陣内以外おいで~」
ハーティと三雲が声をかけて来る、奥ではテーブルなどの用意もしてあった。
「ぎゃぼー!地下迷宮なのに、至れり尽くせりです」
「‥‥」
「あの、ご主人様どうしましょう?」
俺は情けない事に『俺はここで休んでるから行ってきな』と言って三雲組の中に行くのを避けた。正直言って役に立って無いのに飯だけは食うみたいなのが嫌だったのだ。
その後二人の大活躍の魔石魔物狩りは15匹倒すまで続いた。
流石に60を超えると経験値の入りは極端に落ちたがそれなりに上がったのだった。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
そして昨日と同じく、食堂でホットミルクを飲みながら黄昏ている。
ひとつ違うのは。
「よう、英雄のダンナどうしたんだ?なんか変だけど」
「ああ、魔石魔物狩りでね、ちょっと」
「あ~~あれねウチも余所の勇者組と合同でやってみたよ、凄いなあれ」
ラティとサリオはもう風呂から上がり、部屋に戻っているが俺はガレオスさんに捕まっていたのだ。
そしてガレオスさんは、驚きの表情で話を続ける。
「あれを考えた奴はすげーよな、勇者のパーティなら可能だけど。
よくもまぁ、やろうと思ったもんだよ。発想が冒険者じゃないなあれは」
「あれですかねぇ、天才って奴ですかね~」
( ちくしょーイケメンで天才なのかよー )
「いや、あれは天才ってより、もっと別な感じがするな」
「ガレオスさんそれはどういう?」
「色々と知っていてそれを実行してる感じだな、経験があるとも違う知識があるような」
「知識だけがある?」
「まぁ、気にしないでくれ。それよりダンナはどうして変に落ち込んでるんだ?」
「ごっふ!いや、何でもない、なんでもないんだ」
「おぅ そうか、ならパァーっと行くのはどうだい?」
「いや、オレオチコンデないしー」
( いあ、マジでホント別にね、落ち込んでるとかないし、ちょっと調子悪いだけだし )
「酒でも飲みにいくか?付き合うぜ、明日は休みだし俺は」
「俺は休みじゃないし、明日もあるし酒は飲めないし」
「仕方ない、アリアリ行っとくか?アリアリを」
なんですと?アリアリとは前のアリアリか?最近魔石魔物狩りで稼げるし余裕はあるな……
「い、いや さすがにねぇ。アリアリは行くとか、でもどうしてもってなら考えても」
「なら、そのどうしてもだ、行こうぜダンナ。気晴らしに行くのもいいぜ」
え、えぇ、アリアリって?大人の階段を天翔っちゃう?ちゃうの?
「よろしくお願いします!」
俺は物凄い勢いでEnterキーを叩く感じでお願いしてみた。
ガレオスさんの後に着いていき、目的の階段ある場所まで辿り着いた。
空の月を見れば午後9時、きっと営業時間中だろう。
「ここだぜ英雄のダンナ、さぁ今から英雄になりに行こうか」
目の前の階段は、何処か男を惹きつけるものがあり。
俺の左には、ガオレスさんが『さぁ逝こうぜ』という表情を俺に向けていて。
俺の右には、少し悲しそうに、出来れば見たくない表情をしている立っているラティがいて。
「――ッラティ!?」
「さぁ、ご主人様 明日も魔石魔物狩りがありますので帰りましょう」
「はい」
即答した。
そして俺はラティに手を引かれながら、夜の町を宿に向かって歩いていった。
今日こそは、一個でもあげます
読んでいただきありがとうございます




