出番無し
今回も短めでスイマセン
魔石魔物狩りの見学から戻り、夕食後に部屋でラティ達と今日の事を話し合う。
「ハイハイ!魔石魔物狩りがしたいです」
サリオは興奮気味に発言をしていた。きっとそれだけ魔石魔物狩りは魅力的に見えたのだろう。
「あの、確かに凄かったです。効率を考えると今までとは比べ物にならないかと」
ラティは冷静に分析をして、己の意見を発言する。
「魔石魔物一体で金貨4枚、レベルも1~2体やればまず上がる。
そして魔物が湧くまでまったりと休憩、沸いても瞬殺ですぐ終了、めちゃ羨ましい!」
そして俺は、素直に羨ましい気持ち憚ることなく吐き出す。
「ぎゃぼう~ですよね、めっさ稼ぎ良さそうでした。あたし達なんて一日中地下迷宮歩き回って魔物探しとか危険で苦労もしてるのにです」
「そうそう、しかも【宝箱】使って快適に沸き待ちしてたよな。魔物が湧くまでティータイム楽しんでやがったよな」
「美味しそうなスイーツ的なモノ食べてましたよ。なんでジンナイ様は【宝箱】持ってないんですかです」
「お前、俺のトラウマをえぐるな!俺だって【宝箱】欲しいよ」
「こうなりゃば、あたし達も魔石魔物狩りしましょう!」
「わかってないな、このイカっぱら!3人でやったら返り討ち合うっての」
「がぉーん!まらイカ腹言ったー!」
途中から脱線して、サリオと醜い言い争いを繰り広げていると、突然声をかけられる。
「あのぅ、宜しかったら、明日一緒に魔石魔物狩りしませんか?」
「「え!?」」
突然のことに俺をサリオはマヌケな声を上げ、そして声の主を探す。
「確か……ハーティさん」
「はい、ジンナイ様。今日はラティさんにお世話になりました」
金髪碧眼イケメンがそこに笑顔で立っていたのだ。
うあああ、、恥ずかしい今のやりとり聞かれたのか、俺素直に羨ましいって叫んじゃったよ、あ、サリオもすっごい恥ずかしそうな顔してる、、仲間がいて安心した、
「それで、どうですか?明日一緒に魔石魔物狩りでも」
「えっと、良いんですか?」
「はい、勇者のお二人には自分が伝えて置きますので、明日の昼の1時からで良いでしょうか?」
「はい、参加させてもらえるのでしたら、お願いします」
俺達はこうしてイケメンのお誘いに乗り、明日は魔石魔物狩りとなったのだった。
サリオは『ひゃっほーい!』って喜んでた。
閑話休題
翌日に地下迷宮前で、三雲組に今日の参加者としてハーティに紹介された。
「勇者様、今日はジンナイ様達のパーティも参加で魔石魔物狩りに行きます」
「すいません、陣内陽一です。よろしくお願いします」
「あの、ラティと申します。今日は何卒宜しくお願いします」
「あたしはサリオです。よろしくねー」
俺達のへったクソな挨拶後に、少し不機嫌に三雲が俺に絡みだす。
「陣内、聞いてるよ。あなた性奴隷買ったんだってね、いくら異世界でもやりすぎよ」
「唯さん!それは昨日も話したけど、誤解だって言ってたではないですか」
「あれぇ、そうだっけ、でもどうしても前に聞いた噂の裁判ってのが印象に残ってるのかもね」
「それも誤解だったって言ったのにぃ」
言葉はホントの事を知ってるけど、三雲は最初の噂が違うと知っているが、それを認めようとしない感じだな。つかなんで認めようとしないんだ、これ純粋に俺のことが嫌いなのか、?
あれ、、ひょっとして俺って学校で女子に嫌われてた?
そう言えば、橘にも異様に嫌われてたし……ちょっとへこむ……
「でもまぁ、ハーティさんが誘ったんだしね、それなら仕方ないわ」
ちょっとまて、それはイケメンの言うことは聞く的な感じに聞こえたぞ……
「陣内君、今日はよろしくお願いしますね。えっと私は言葉と言います、そちらのお二人は」
「あぁ、よろしく、、です そんでこっちはラティとサリオね」」
「ラティです。今日は宜しくお願いします」
「サリオです。よろしくー」
お互いに挨拶を済ませ、地下迷宮に潜った。
狩場の蜘蛛が居た部屋に向かう途中にサリオが話しかけてきた。
「ジンナイ様、コトノハ様ってすっごい優しい人ですねー」
「うん?そうかな」
「あの、私もそう感じますねぇ。この前の時も皆様に気を使われてました」
「じゃぁ、もう一人の三雲は?」
「あの、少し厳しそうな方ですねぇ」
「あの人は、ジンナイ様に対してきつく言う人みたいなので、ある意味普通に感じますです」
それは俺が常に女にはきつく言われてる意味かな?全く。アレ?割と酷い言われ方する事多い気がするな。気のせいかな、気にしたら負けかな、よし俺は何も気付いてない……
雑談をしながら、目的の蜘蛛が居た部屋に到着する。
到着した部屋では、先に魔石魔物狩りをしていた赤城組と入れ替わる形で部屋に入った。
赤城には、ハーティに流した噂の件もあるので、抗議の意味も込めて睨んだが、回復役を引き抜かれたお返しだとばかりの顔で軽く無視された。
( いつかまた仕返ししてやる )
「それでは、今日はメンツが何時もより多いので魔石は5個置きでいきますね」
「りょうかーい」
「一応迅盾優先順位を決めとこー」
各自の役割を決めていく。
メンツは、武器アタッカーが8人、魔法アタッカー1人、盾役3人、回復役2人、指揮兼補助魔法がハーティだ。魔法アタッカー役はサリオである。
細かい立ち回りを決めて、各自リラックスした状態で魔石魔物が湧くのを待つ。
「ジンナイ様、この置いた魔石が揺れ出したら魔石魔物になる前兆ですから。
それまでは、この部屋の中でゆっくりしていてください。あ、でもお酒など」
「あ、はい。説明ありがとうございますハーティさん」
「ジンナイ様、何かオヤツ的な物あればよかったです」
「‥‥」
待機を指示された瞬間からサリオはリラックスし過ぎだった。ラティは静かに俺の横で腰を下ろしている。
そして待機して30分後くらいに、魔石がカタカタと揺れ始めた。
「沸きます!数2、ラティさんは指示された魔物の注意引きを!
同じ魔物が沸いた場合は後に沸いた方の注意引きお願いします!」
「ウィルさん、盾で押さえお願いします!」
「了解!デカトカゲ湧き、突っ込む」
魔石魔物が湧き、即座に指示を出すハーティさん。
そして予め決めてある予定通りに動く冒険者、盾役のウィルが魔物に突っ込み、盾を使った突撃を開始する。
―――ッガッガァン!
盾から激しく魔物にぶち当たり、そして魔物がその盾に攻撃を行う。
「いいぞ!固定した!」
「WS放てー!」
盾役のウィル固定の報告をし、そしてハーティがWS指示を出した。
「うらー斧WS”ナブラ”」
「いきます。弓WS”スピショト”」
「弓WS”スラグショト”」
「はい!槍WS”スパスピ”」
――ガガガガゴゴゴドッガッドドン!!!!
「‥‥‥‥」
「雷系魔法」
激しく着弾するWS、黒い霧となって霧散する魔物。
あれ、出番が無いと言うか、え?これ不味くない?本気で出番が無いんだけ……
サリオも詠唱途中で止まったし
「次!ラティさん退いてください、ウィルさん突撃固定を!」
すかさず次の魔石魔物を倒しに移行する、やることは同じで盾役が押さえ、その後合図でWSを放って終わりだった。
「ぎゃぼう、今度はギリギリで魔法間に合いましたよ、効果薄かったですがです」
「よかったなサリオ、俺は何も出来なかった。
近寄っても、隙も隙間も見えない相手にどこに槍を突き立てたらいいのか」
「あう、確かにイワオトコさんは固いですからね、適当に刺しても弾かれますです」
「ああ、そうなんだよ……」
その後、合計11体の魔石魔物を倒した辺りで、俺とサリオは絶望し話し合う。
「うぅ、ジンナイ様、これキツイです」
「あぁ、俺も居づらい。三雲はともかく言葉にまで『なんでいるの?』って感じで見られている気がしてきた」
「奇遇ですね、あたしも他の人達からもそういう視線を感じます」
「サリオはまだいいよ、魔法当ててるし。
俺なんてさっきからほとんど攻撃出来てないよ、寧ろ邪魔かもって思っちゃうよ」
「ラティちゃんは活躍してますです」
「ああ、ラティは頑張ってるな。あ、また言葉の目線が……」
「ジンナイ様、あれは可哀想な人を見る目ですよ!まだセーフです」
「それフォローのつもりかよ!」
「あ、魔石が動き出しました」
「おっし、今度こそ一撃を、」
その後追加で魔石魔物を7体倒してが、俺は一撃しか攻撃が出来なかった。
WSが撃てない俺には、防衛戦以上に出番が無かったのであった。
まずい、、WSが使えない欠陥勇者の厳しさを久々に感じるなぁ、
戦闘で全く役に立てないっての初めてかもだ。結構へこむ……
その後、三雲組で自己最高数の18体の魔石魔物を倒して笑顔で帰る中、
俺とサリオだけは暗い表情で地上に帰るのであった。
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