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効率

今回も話し合い多めに、



「あれ?新顔かな、赤城様の知り合いの方ですか?自分は勇者ミクモ組のハーティと言います」



 金髪碧眼の青年は、見ていて嫉妬するくらいのいい笑顔で俺に話しかけてきた。


「自分は、エウロス領から最近こちらに来たのですが、この場所は良い狩場ですよね。東の地下迷宮ダンジョン死者の迷宮だと、ここまで効率よく稼げませんよ」


 ハーティと名乗った男は地下迷宮ダンジョン見回しながら、語り続ける。


「勇者様が居るのですから、レベル上げも容易に行えますし。あ、でも次は自分達の番ですからね赤城様」



「分かっていますよ、今の二体でラストです、魔石は一応3個蒔いてありますので、こちらは引き上げますね」



 その後、赤城とハーティが話し合っている、まるで仕事の引継ぎ連絡のように。

( 赤城の外面の良さが復活してるな )



「ラティ、サリオ、今日の目的の件だけど」


「あの、これを見たかったのですねぇ?」

「このズルを見にきたのです?」  



 確かに何をやっているのか偵察に来たけど、ここまで解るとは予想外過ぎる。東から来たっていうハーティ達が考えたのか?一緒にいる勇者は言葉沙織ことのはさおり三雲唯みくもゆいか…



「じゃぁ、自分達の番だからいきましょう。勇者ミクモ様とコトノハ様」


「まあ、わたしは沸くまで待機だけどね」

「唯さん、私は強化系かけていきますね」



 後から来た、ミクモ組パーティ12名は、さっきまで赤城達が居た部屋に各々待機していく。赤城達は声を掛けながら、ミクモ組と入れ替わり部屋の外に出ていった。

( 赤城達の余裕さが気になる ) 


「あの、ご主人様 このまま継続で見学ですか?」

「そうだな、もうちょい見ていこう」


「あの、それにしてもさっきのは凄かったですね。あの魔石魔物を簡単に」

「ああ…」


 あの魔石魔物化したイワオトコをWSウエポンスキルで簡単に削ったのは、本当に凄かった。いったいレベルいくつなんだろ…


「ラティ!赤城組のレベルを教えてくれ」

「ああ、はい、驚きのあまり失念しておりました」


 ラティは帰っていく赤城組のパーティに急ぎで【鑑定】で調べていく


「あの、平均で63は超えてます、盾を使ってた人は71です」

「っんな、そんな高いのか」


「あとそれと、盾の方ですが【捕縛】【重縛】持ちでした」

「それって珍しい?」



「あの、珍しいです、両方持ってるのは。【捕縛】は掴んだり押さえた相手を逃げ難くする【固有能力】で、【重縛】は掴んでる相手を体を重くして動き難くする【固有能力】です」


 なるほど、それであの大盾にはフックが付いていたのか。あれで掴んで動きを防ぐと。まるで盾をする為に居るような【固有能力】だ…


「あの盾役の方は、以前赤城様が集め直した冒険者なのですねぇ。以前は居りませんでした」


 そういえば、前に赤城は才能ある冒険者を集めるべきみたいな事言ってたな、結構な数に逃げられてたけど、しっかりしたのも残ったって事か、、


「あの盾役がいるから魔石魔物の戦いがやり易いってのもあるのか」

「多分そうかと。放たれたWSウエポンスキルは威力はありそうでしたが、当て難そうな癖のあるWSウエポンスキルばかりでした」



 魔石魔物を相手にしやすい盾役に、高火力のWSウエポンスキル。これが見事にハマってるからの楽勝か。それで魔石魔物を狩ることで一気にレベルも上げれる…


「ちきしょう、正直落ち目だと思ってた赤城組が、急上昇かよ」

「あの、落ち目は酷いかと」


( いや、完全に駄目そうな空気だったよ )



 ラティと赤城達の戦闘を分析し合っていると、入れ替わって入って来たミクモ組のハーティが不思議そうに話しかけて来た。


「あれ?君達は、赤城様のパーティでは無いのですか?赤城様は引き上げましたが」

「ああ、いや違う。俺達は純粋に見学で来たんだ、凄い稼ぎ方があるってな。なぁラティにサリオ」


( 予想外に話しかけられたから、うっかり正直に偵察に来ましたと言っちまったよ! )



「ラティ?ラティさんとは”瞬迅”のラティさんですか?」

「たぶんそのラティだな。赤城達から聞いたのか?」


 ラティの事を聞いて思案した表情をしてから、パァっと明るい笑顔に変えて俺に話しかけてくる。


「と、いう事は貴方はあのジンナイ様ですね。赤城様からジンナイ様のことも聞いてますよ」



「おぅ、なんかもう嫌な予感しかしないなぁ」

「ハハッ、そうですね、ジンナイ様の予想通りかと」


 ハーティは笑顔のまま話し続ける。


「色々言ってましたね。例えば回復役を引き抜かれたとか、優秀な人材を使いつぶすとかも」

「それはなんとも、心当たりが無いわけでも」


「色々と笑顔で言ってましたよ。なかなかの外面の良さでしたね。【政治】の【固有能力】の効果なんでしょうね。騙されない様に注意しないと大変でしたよ」



 前はともかく、勇者の影響が強くなっているかも知れない今なら、【政治】の効果が十全に発揮されるのか…それですんなりと魔石魔物狩りが咎められないのか…


「で、俺は悪者に見えるのか」


「いえ、自分は自分が見たモノで判断しようと心掛けていますので、ジンナイ様がどの様な方かはこれから自分で接して判断するつもりです」



 何このイケメン!雑貨屋イーレさん達以来だ、噂に惑わされない人なんて…


「あっと、話が逸れましたね、ラティさんには一度お会いしたかったんですよ。魔石魔物を効率よく倒すには優秀な壁役が必須でしたが、それを”迅盾”と言う新しい概念の壁役が出来たんですからね、凄いですよ」


「あの、ありがとうございます、褒めて頂いて」

「ホントに凄いですよ」




 それから2~3の会話のやり取りを行い、ハーティはミクモ組パーティに戻っていった。


 俺はそれを見ながらラティに【鑑定】の指示を出す。


「ラティ、彼のレベルを」

「はいご主人様」


 ラティが両手を使って輪を作りそれを覗き込むと同時に、ハーティが振り向きこちらに告げてくる。


「自分は【隠蔽】持ちだから、ステータスは覗けませんよ」


 笑顔でそう伝えて、ハーティは再び歩きだしパーティの元へ戻っていった。



「ラティ、ホントに見えないのか?」

「はい、初めてです、相手のステータスが見えないのは」




 その後は、三雲組の戦いを見学した。

 勇者の三雲は、身長162㌢位のショートポニーテイルで少し強気の性格な女子だったイメージ。弓をメインで使い、放つWSウエポンスキルは矢が青いレーザービームの様になっていた。他にも分裂してホーミングで飛んで行くものなどもあり、ほとんどSF染みた攻撃だった。


 もう一人の勇者言葉は、身長155㌢位で髪を緩めの三つ編み、タレ目の大人しそうな印象の女子だ。立ち位置は後衛らしく、強化魔法や回復ばかりで攻撃には参加していなかった。


(そして結構魅力的なモノをお持ちで…ちょっとラティさん何でこっちを睨むんですかねぇ)



「ぎゃぼー、さっきのパーティもお強かったですが、こっちも凄いです」

「あの、先程の赤城様よりも凄いかと」



「ラティ、このパーティのレベルってどれくらい?」

「はい、平均で75ですねぇ。魔石魔物が62なのでそろそろ経験値が入らなくなる頃かも知れません」


「そんでもって【固有能力】も良いのを持っていると」

「です、戦闘に有利で強力な【固有能力】持ちばかりです」



「最初に王国から紹介されたボンクラ冒険者はもういないのか」


 まるで某シュミレーションゲームみたいだ。強い機体を厳選して育てるみたいな…


「なんで最初から強い冒険者をつけなかったです」


 サリオが疑問に思ったことをつぶやいた。


「簡単だろ。勇者を上手く引き込めるように、自分達の領地の人間を使ったからだな」

「あの、そこには【固有能力】はあまり求めなかったと?」


 

 ラティ達と勇者の冒険者達について議論をしていると、ハーティがこちらに話しかけてきた。


「すいません、宜しかったらラティさんの本家”迅盾”を見せてくれませんか?、是非一度見てみたかったのですよ、見学ばかりじゃ退屈でしょうし」



 見学といってもこっちが勝手に覗いてるようなモノだし、ちょっと気まずいからなラティが戦い方を見せれば、お互い貸し借り無しみたいなものだな…


「ああ、見学させてもらってるしね、ラティいける?」

「はい、ご主人様」



「よかった、ではラティさんは一度こちらのパーティに入り直してくださいね。ドルドレーさんラティさんと代わってください。ラティさんが迅盾役で入ります」



 ハーティが指示を出し、ラティが三雲組パーティの盾役に入っていった。


 しかし、この三雲組って仕切ってるの勇者じゃなくてハーティさんなんだな。勇者がリーダーじゃない勇者組って珍しいのかも知れないな。


 そしてラティを盾役に迎えた三雲組の戦闘が始まった、魔石魔物は2体。


「おおう、ラティちゃんの出番ですね!」

「迅盾で時間稼ぎだな」


 一体目の魔物が瞬殺される。


「ジンナイ様、あの斧WSウエポンスキルのナブラってズルくないですか?離れた場所で斧振ってるのに、魔物を囲むように三本の斧が現れて斬り付けてますよ」


「それ言ったら、あの片手剣もおかしいだろ、離れて剣を振り上げてるのに、地面から黒い竜が出て来て貫いてるぞ」


「いえいえ、一番ヤバいのは弓ですよ。なんですかあの連打と威力は。攻撃魔法使い廃業に追い込むつもりですか?と問いただしたくなりますです」


「俺もそれ思った。もう冒険者みんな弓になりそうな勢いだな」

「弓一択の時代が見えましたです」



「しょれと、WSウエポンスキルが放出系ばかりのです」

「多分、放出攻撃系WSウエポンスキルは弱かったんだろけど、それをレベルのステータスでねじ伏せているんだろうな」


「遠隔は安全ですからですか?」

「近寄って叩くとか誰もいないな」



 サリオとWSウエポンスキルの感想を言い合う。三雲組パーティはみんな斬撃が飛ぶ様なWSウエポンスキルばかり放っていたのだ。



「あとは、ラティちゃんも凄いですね」

「ああ、速すぎてそのうち残像か分身でもしそうな勢いだな」


 ラティの活躍も凄いことになっていた。いつもの壁と天井も使った動きは、何時見ても魅せるモノがあった。


「ジンナイ様、分身ってラティちゃんが二つに分かれるです?」


「ええっと、まぁそんな感じかな」

( そうか、こっちは分身って無いのか )



「ラティちゃんが二人になったらお得ですね~です」

「そりゃ確かにお得だな」


「ラティちゃんを分けて上げれるわけですしです」



 サリオの言葉にちょっとした不安を感じた。そう、ラティは一人なんだよなと。



 そう考えながら、三雲組の戦闘をサリオと見学し続けて、その日は終わった。






読んで頂きありがとうございます


明日も上げれたら、

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