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新稼ぎ

新章開始です

 勇者が魔王になったと言う情報を知ってから十日が経過。


 それから具体的に何か出来る事が見つからず、ただ時間だけが経過した。


 十日の間は、付加魔法品アクセサリーで消費したお金を稼ぐ為に、地下迷宮ダンジョンに潜る毎日だった。


 地下迷宮ダンジョンのメインルートは人が増えすぎにより、浅い層と中層では魔物の取り合いになっていた。それを避ける為に、ハズレルートで雑魚魔物から魔石と【大地の欠片】を集める毎日だった。



 そんなある日、いつもの食堂で夕食を取っていると、伊吹組の冒険者で数少ない俺の知り合い、ガレオスさんが話しかけて来たのだ。


「よう、英雄のダンナ 最近メインルートには潜ってるかい?」


 ガレオスさんは、いきなり何かを確認するように話かけてくる。


「いえ、最近はハズレルートばかりですよ、メインの浅い層は人が多くて」

「やっぱりな、んじゃ新しい稼ぎ方の噂は知らないって訳か」


「新しい稼ぎ方?経験値です?それともお金で?」


「両方さ、しかも浅い層でかなり稼げる方法さ」


 なんと!そんな美味しい方法があるとは!いま全く稼げてないし、でも怪しい…


「えっと、それはどんな方法なんです?」

「俺も直接見た訳じゃないから、確認がてらに聞いてみたんだけどよ」


 こちらに顔を寄せて小声でこちらに話しかけて来る。


「入口は狭くて部屋が広めの場所で、魔石魔物を狩る方法らしい…」

「もしかして意図的に魔石魔物を湧かして倒すとかです?」


「ああ、昔は魔石魔物って言えば強敵だったけどな、今じゃ勇者効果で結構倒せるみたいなんだ」


 いやいや、だって魔石放置はご法度だったよね…



「待ってください、魔石の放置はマナー違反じゃ?俺もそれで怒られた経験が」

「ああ、そうなんだよ、マナー違反なんだけど、それを敢えてやる奴が出てきたのさ」



「――っ誰が?」

「最近さ、魔物も倒さずに何かを待ってる状態の勇者達によく出くわすんだ。それで他の奴にそれと無く聞いてみたら、魔石を放置して魔石魔物が沸くのを待っていると聞いてな」


 ガレオスさんは、より小さい声で話しを続ける。


「そしておかしいのがな、誰もそれにケチを付けないんだ。魔石放置だぞ。俺は別にそれでも構わないが、ここの冒険者はソレを極端に嫌ってた筈なのにだ」


「不自然な事に、ソレを許していると?」

「ああ、まるで勇者のする事だから問題無いと言った感じなんだ」


 ――ッ!それって、変化、勇者の変化、違う、勇者達の周りの変化か!!


「嫌うとかぬるい、嫌悪する行為でしたよねソレって」

「ああ、それが今じゃアリになってるんだよ」


 ――ッ!これか、”変わる”って言ってた事は、一般的な常識が変わる、、今まで勇者を称え賛美する事はあったけど、それとは違う、



 俺が眉間にしわを寄せて考え込む顔をしていると、ガレオスさんが心配に聞いてくる。


「どうかしたのか?そんな考え込んで」

「いえ、ちょっと気になったのですが、こういう風に冒険者の掟みたいなものが簡単に変わる事ってあるんですか?」



「細かい個人のルールは変わる事はあったけど、全体の掟みたいなものが変わるのはそうそう無いな」


「そうですか」



 その後は、ラティ達が入浴から戻ってきた事もあり、ガレオスさんと別れて宿の部屋に戻った。


 そして部屋で考えを纏めてみた


 勇者達がやってる魔石魔物狩りは、本来はタブーの筈なのに、すでに受け入れられている…

 受け入れられてるって、歴代勇者達の趣味嗜好が受け入れられてる?違うか、勇者の行動が基準や常識になるのかも知れない…


 う~~ん、何か確証がある訳じゃ無いしな、これはただの推測だな、明日見に行ってみるか、


「ラティ、サリオ、明日はメインルートに行こう」


「はい、ご主人様」

「久々のメインです」



 明日の行動目的を自分の中で決めて、その日は就寝した。






               ◇   ◇   ◇   ◇   ◇





 次の日、朝食後に、ラティとサリオに今日の目的を伝える。


「今日はメインルートで狩りじゃなくて、ちょっとした見学予定です」


「あの、見学とは他のパーティを見に行くという事でしょうか?」

「ありゃ?今更デス?」



「ちょっと気になる事があってね」


「あの、何か調べたい事があるのですね、分かりましたご主人様」

「あや?ラティちゃんがなんか納得してる」



 ラティには話をしてあるから、例の件って察してくれたんだな…


「じゃぁ、メインルートに行こうか」



 俺はラティ達に今日は見学、偵察がメインと伝え地下迷宮ダンジョンに向かった。


「ジンナイ様、行き先は中層とか下の方ですか?」


「いや、浅い層かな。前に蜘蛛の糸を獲りに行った場所覚えてる?」

「あそこって、入口が壁壊して出来た部屋の所ですよね?」


「そそ、普段はあまり行かないけどね、その入口の狭い部屋にね」


「またあのバケ蜘蛛居たら滝汗ものです」



 ラティ達を会話をしながら目的の部屋に向かう、途中に魔物には遭遇する事なく目的の場所に辿り着いた。

 そして、中を覗くと。


「イワオトコの方は、迅盾に任せて!」

「デイル!まだ踏ん張れるな?」

「イワオなら余裕で避け切れます」

「盾で押さえたら、即効でWSウエポンスキルぶつけろ!」

「了解ーー」

「――――っ!!――」

「――――!!――――」


 中では、冒険者15人程度が魔石魔物二体を同時に相手にしていた。


「ジンナイ様!あれって大きい!魔石魔物ですよね、しかも二匹もです!」

「あの、凄い、抑え切ってる、それに―――ッ!!」


 ラティが少し興奮気味に話してる途中で、複数のWSウエポンスキルがカゲクモの魔石魔物に

着弾した。


「 ――ッ!!!!!!!!!!!―――― 」


 物凄い衝撃音と共にカゲクモが黒い霧となって霧散する。


「おいおい、今のオーバーキルだったぞ」


 カゲクモを倒した後もすぐに、そのパーティは次の動きを見せる。


「ガインさん!デイルさんと入れ替わり!」

「了解!抑えるの任す」

「スイッチ了解、いくぞーー!」

「次のWSウエポンスキル準備を」


 フックの様な物が付いた大盾を持った男が、イワオトコに突撃し大盾を構えてぶち当たる。

 その直後に、魔石魔物のイワオトコが何かに捕まった様に動かなくなり、何かに押さえ付けられたように体を沈める。


「抑えたー!」

WSウエポンスキルいけー」

「デイル下がれ巻き込まれるなー」


「 ――ッ!!!!!!!!!!!―――― 」


 再びWSウエポンスキルの連打が魔物に叩き込まれる。


  

 ――っなぁ!あのクソ硬い魔石魔物のイワオトコを簡単に砕くだと!


 その冒険者達のWSウエポンスキルは、先程のカゲクモ同様にオーバーキル気味に魔物を砕き黒い霧に変えていった。

( 強い!! )


「あの、ご主人様これは…」

「ぎゃぼう、めちゃくちゃですよ」


 ラティとサリオが驚愕し、思わずつぶやいている。

 今まで冒険者達が苦戦していた筈の魔石魔物を、簡単に呆気なく倒している光景だった。


「これは、今までとは別次元のレベルの上げ方だ…」


「はい、魔石魔物は他の魔物とは経験値が大きく違いますからねぇ」

「むむう、これはズルですよ!」



 全くだ、ズルいって思ってしまう方法だが、それはとても効率が良い方法で、魔石魔物からは巨大な魔石も獲れるから、一体で金貨3~4枚近く稼げるはず…


( いやいや、すげえぞコレ。経験値も稼げて金貨も稼げるって! )


 そして戦闘を見て驚いている俺達に気が付いた、パーティのリーダーらしき人が振り向いた。

 

「やぁ、君達も誘われたのかい?魔石魔物狩りに」


「赤城、お前達がこの魔石魔物狩りをやってるのか」


 この魔石魔物狩りを行ってたのは、勇者赤城組の勇者同盟レギオンだった。



「あれ?違ったのかな、てっきり君達も彼に誘われて魔石魔物狩りに参加しに来たのかと」

「誘われた?ってこれをやり始めたのは別のパーティってことか?」


 これをやってるのは他のパーティが先ってことか、他の勇者パーティか?


「あ、丁度交代の時間だから来たみたいだね。彼の居るパーティが考えた方法さ」


 赤城の目線の先、俺は振り向いて後ろを見ると、そこには見た事の無いパーティが立っていた。



「あれ?新顔かな、赤城さんの知り合いの方ですか?自分は勇者ミクモ組のハーティと言います」



 其処には、金髪碧眼の落ち着いた雰囲気青年が立っていた。


 モロにわかり易いイケメンが立っていたのだ…


 





 


読んで頂きありがとうございます、


がんがって明日も1~2個上げれたら、

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