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昔を考える

今回のまとめに近い形です

 帰りの途中で日が落ちたので、考えながら夜営の準備をしている。


 考えている事は、幽霊イリスが話した過去の勇者達の話。


 あれから俺はラティと合流した。ラティとサリオは俺が下に落ちた直後に、霊体魔物に襲われ。それを退きながら倒し、パーティの位置を示す矢印を頼りに捜索したところ、崩れてる通路を発見。それを魔法で吹き飛ばしたと。


 その後は、鉱石を回収して廃坑を脱出後、森を出てしばらく進んだ所で夜営となったのだ。



「ラティとサリオ、夜営と食事が終わったら聞きたい事があるんだ」



 二人にそう伝えて、俺達は夜営の準備を進めた。





             ◇   ◇   ◇   ◇   ◇






 そして食後、


「なあ、ラティって歴代勇者のこと結構知ってるよね?」


「あの、一般的な事でしたら大体識っていますねぇ」

「あたしには聞かないのですね」


 サリオが少し拗ねる、だが拗ねると言うよりも構っての意味合いだった。


「いや、もちろんサリオにもね、それで聞きたいんだけど、9代目勇者達は魔王とどう戦ったかを?」


「あの、それは確か結構有名なお話でしたねぇ」

「ああ、あたしも聞いたことあるある」


 むむ、有名ってのがちょっと気になるな、派手な戦いだったとかか?


「あの、その9代目の最後の戦いが一人の勇者を残してみんな魔王に倒されたのです」

「でねでね、それで最後の一人が一騎打ちに果てに、見事に討ち取ったですです」



「討ち取ったんだね?」


「三日間戦い続けて、最後の一撃が魔王を滅ぼしたと」

「最後はギリギリ滝汗の中で倒したって」


 イリスさんの話から考えるに、最後は魔王になってしまった勇者シオリの自害に聞こえた、それに勇者が魔王になった事は、伝わって無いのか…?


「その魔王が勇者だったってのは、どうなったんだろ?」


「あの、魔王は魔王ですよ?勇者とは」


 う~ん、まだ全部をラティ達に話すのは速いか、先入観が無いままの話が知りたいしな…


「いあ、なんでも無いんだ。後さ、何か有名な勇者の逸話は?」



「あの、少し方向性は違いますけど、三代目は魔王に負けたと言うのがありますね」


「はい?負けたって魔王に、それって滅ぼされるんじゃ」


( おぃぃい!優秀だと思ってた三代目なにやってんのー! )


「三代目は返り討ちに合い、そして魔王はそのまま君臨し続けたそうです。そして魔王は大地の力を吸い取り、国の作物や水を枯らしたと」


「ああ、あたしも知ってます!それで生活に困窮して、それを凌ぐ為に生活魔法が開発されたと」

「あの、そうらしいんです。勇者は魔王の奪う力に、与える魔法の力で戦ったと美談にされてますね」



 あの便利な魔法は、食料不足や薪と水などの資源を補う物だったのか。その過程で太陽とけいも作ったのか。便利だから作ったのでは無く、必要に駆られて作られた魔法か…


「他の勇者達の話は、大体が勇者で囲んでフルボッコにしましたです、ばかりでしたです」



 流石に、俺でも気付く、歴代勇者の話は勇者に都合の良い話に、

 違うか、貴族に都合のいい話?何かしら意図的に解釈が変わっている可能性があるのか、



 勇者と国と貴族が変わっていくって言う忠告もあったな。いや、イリスさんは記憶が消えてた筈だから、あれは忠告なんてものでは無くて、心からの叫びに近いか…


 サリオにはまだ早いけど、ラティには話そう。勇者が魔王になる可能性を、


 



            ◇   ◇   ◇   ◇   ◇





 その後、食事の片付けも終わり、明日に備えて二人は就寝するために馬車に戻る時に、俺はラティの方を一度見つめてから、瞬きを一つ、今度は自分の横に目をやった。



 それから三十分後、ラティは馬車から降りてきて俺の横に腰を下ろす。


「あの、何でしょうかご主人様」

「うん、ラティに話して置きたい事があってね」


 ラティの察し能力はホントに凄いな…来るとは思ったけど来るんだもんな…


「今日の廃坑での事なんだけどな、幽霊に会ったんだ」


 ラティは少し考えてから、取り敢えず話しを『聴く』といった姿勢で続きを促す。


「あの、それでどういった事があったのでしょうか?」



「その幽霊は、9代目勇者のパーティの冒険者だったんだ、そしてその幽霊が言うのは、9代目勇者の一人が魔王になったと教えてくれてな」


「あの、それで先程勇者の事をお聞きなさったのですね、合点いきました」



 その後は、先程俺が考えた自分の”考察”をラティに話した。

 内容は勇者が魔王になった事と、時が経つにつれ勇者や貴族が変わったという話をだ。



「あの、先程のご主人様の話を聞いて思いついたのですが、ひょっとして三代目も勇者の誰か一人が魔王になったのでは?」


「9代目と同じで勇者の誰かが魔王に?」

「はい、そしてその魔王は勇者達を殺さなかったのかも知れません、だからこそ生き残れて生活魔法を開発したのかも知れませんねぇ」


 ラティは自分の考えを確かめながら、考えを俺に言ってくれた。



 これはひょっとしたら、魔王は勇者がなるものなのかも知れない、そしてそれを王国側が隠してる?


 そう言えば、勇者と接するマニュアルがあるって言ってたし、それに魔王の事を隠すように書いてあったのかも知れない…あ!


「ラティ!さっき話した勇者達と国や貴族の変化、これって魔王との事でも関係出てくるかもね」


「勇者と貴族の心境の変化や考え方が変わると仰ってたのですよね。その結果誰かを魔王にするとかでしょうか?」


 俺はここである事を思い出した。


「そうだ、魔王は誕生するや生まれるでは無くて、”発生する”って言ってたな。其処にある何かから魔王は発生すると考えると、勇者が魔王になるってのも当然で」


「あの、十分考えられるかと」



「これは今は、勇者達には話せない内容だな。もうちょっと確証が無いと勇者が暴走するかも知れない」

「はい、ご主人様 この件は秘密と言う事で」



「よし、今日はここまでにしよう。ラティごめんな、寝るところを引き止めた形になって」

「いえ、問題ありません。では就寝させて頂きますヨーイチ様」




 こうしてラティと話し合い、ある程度の考えを纏めて、俺は今後集められるならもう少し過去の情報を集めようと思った。






              ◇   ◇   ◇   ◇   ◇







 次の日の、日が暮れる前には【ルリガミンの町】に無事到着することが出来た。



 そして今は、依頼者のららんさんの店に一人で訪れた。ラティとサリオには先に宿に戻ってもらった。


「ららんさん、【生命石】を採って来ましたー」

「おおう、無事に取ってこれたんやな」


 俺は二十センチの【生命石】をららんさんに手渡す。



「うんうん、これや、これならじいないさんの付加魔法品アクセサリー作れそうやの」

「あの、それでお値段は…」


( 大事な事だキッチリ聞かないと! )


「石採って来てくれたしね、約束通り安くしとくよ、そうだね金貨5枚だ」

「高い!?」


「本来は10枚以上の価値はあるよ、それにおまけでラティちゃんの回復用付加魔法品アクセサリーも付けちゃうよ、彼女の方のはSP使って回復する方ね」


 俺はちょっと思いついた事があってららんさんに提案する。


「あ、それなんですが、ラティも俺のと同じのに出来ますか?」

「うん?高くなるけどいいの?」


「SP消費すると戦いで大変になるかもですから」


「あ~~~なるほどね、彼女盾役もするもんね、分かったよ。なら二つで金貨9枚でいいよ」



 かなり高い買い物をしてしまった。でも命に関わる装備品だし大事だな。サリオは後衛だからまだいいけど、前衛には必要だ。それと…


「んじゃ、三日後辺りにまた来てね。付加魔法品アクセサリーの指輪2個作って置くから」



 

 こうして俺達のららんさんからの依頼は終わったが、依頼よりももっと意味のある旅だった。



 勇者が魔王かも知れないなんて、もしかして俺にもその可能性が…


 あと、付加魔法品アクセサリーって、もっと別の形かと思ったら指輪だったのか…

 ラティに渡すのなんか、照れるなコレ。


読んで頂きありがとうございます、


評価にブクマ、ありがとうございますー

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― 新着の感想 ―
[良い点] 素敵な作品ありがとうございます。 [気になる点] 「うんうん、これや、これならじいないさんの付加魔法品アクセサリー作れそうやの」 誤字報告です。
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