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幽霊

説明回です

「しまったーー!」


 俺は叫びながら廃坑の通路から崩落して下に落ちていた。


 落下は5メートルも無いと思うがそこそこ距離を落下したと思うが、すぐに背中から地面に叩きつけられた。

  

「ぐっは!」


 くっそ、息が出来ない、けど強化された体のお陰でなんとか生きてる、体が痛みで動けないが、周りが真っ暗でどうにも状況がわからない、ラティ達は、


「ステプレの灯りで周りを照らすか!」


 その時、すぐ自分の横で青白い人の影が浮かび上がるのが見えた。


「くっそ、このタイミングで霊体魔物か!」



 振り向いた横には、青白く光る、冒険者風の女性が中に浮いていたのだ。


「お、お前は…?」



 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――



「ぎゃぼーーー!またジンナイ様が落ちたですよ!」

「追い駆けたいのに、魔物が邪魔して」



 陣内が落ちた直後に霊体魔物が4匹襲って来たのだ。


「サリオさん、魔法で足止めを!わたしが一匹づつ仕留めていきます」

「ラティちゃんまかせて!火系魔法”ファイアーボーゥ”×5!」


「ヨーイチ様、すぐに行きます!」

「ラティちゃん、次の魔物そっちいくよー」



 奴隷二人での初の戦闘だった。




 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――




「お、お前は…?」


 なんだ、今までの霊体魔物とは何かが違う、それに姿は完全に冒険者だ、これは…?



『あああ、その形はコーイチ様ですね…』


 喋っただと、魔物が喋った? 違う、幽霊かこれは



『あれ…違う、似てるけど違いますね。コーイチ様ではない』


「ああ、俺は陣内陽一だ、それとあなたは?」


 落ち着いて見れば、透けた体、冒険者。ここで命を落とした人の幽霊ってところか?



『すいません、一つ訊ねますが、貴方は勇者ですね?』

「ああ、一応そうかも知れないな、勇者召喚で召ばれたんだ」



『やはりそうでしたか、そして私の姿はどうなっていますか?』

「姿って…こう…透けてると言うか」


 こいつは何を言ってるんだ


『透けてますか』

「ああ、そして浮いてて」



『はい、何となくですが理解ができました』


「ああ」


『私は霊体になってるのですね?』

「そう見えるな」


『失敗してか、道半ばで死んだのですね私は…』


「……」


『やはり私は、勇者シバ コーイチ様を生き返らせる事は出来なかったのですね』

「――ッ!勇者だと!」


 いや、俺の知ってる奴にシバコーイチなんて居なかったはず、俺の知らない奴か?でも誰か死んだとか聞いてないしな。


『すいません、確認なのですが、貴方は何代目勇者なのでしょうか?』


「え?何代目って」


『私は、9代目勇者シバコーイチ様のパーティの後衛をやっていたイリスと言います』



「9代目!待った9代目って、今は13代目だぞ、何を言ってるんだ!」


 なんで9代目のパーティがいるんだよ、いま13代目だぞこれは、、あ、


『そうですか、そんなに時間が経過したのですね』

「ひょっとして、幽霊になってるのに今、気がついたとか?」


『わかりません、ただ、今 私は何も見えないのです』

「へ?見えないって」


『はい、目が見えないというか、貴方の魂とも言いましょうか、その形だけが感じれるのです』


 ああ、ラティを追ってた霊体も目とか追ってる感じじゃなかったな、それでか。


『私は、、』


「あの…ちょっとお聞きして良いですか?」

『はい』


「貴方はここで何をしてるのですか?」


『ああ、思い出しました。私はここで…』


 俺は相槌を打たずに聞くことにする。


『亡くなってしまった勇者コーイチ様を生き返らせようと、【生命石】を探してたのです』


『でも、探していたのに、それからが思い出せない…』


『シオリ様を失って落ち込み、命を無くしてしまったコーイチ様を生き返らせようとして』


「・・・・・」


『ああ、私はどうしたら…』


「なあ、そのシオリって人もパーティだったのか?」

『はい、同じパーティの女性でした…』


 すごい、、これはまさか、過去の勇者のパーティと会話してるのか?


「えっと、魔王は倒したのか?」


『魔王…そうですね、アレも倒した言うのでしょうか…』

「倒したと言うのでしょうか?ん?」


『あの、思い出せたことを話して言っても良いでしょうか?』

「ああ」


 なんだろう。俺も混乱してるけど、この人も混乱してるような、あ、幽霊か。


『たぶん、私は心に刻んだようなことしか思い出せないのかも知れないのですが』


 単なる知識はもう消えたって事か?思い出だけを覚えてる、、


『聞いてください、』


『私は勇者コーイチ様のパーティの後衛でした。そして最後まで生き残った者でもあります』


『魔王は強かった、コーイチ様以外みんな倒されてしまいました、、』


『しかし魔王はコーイチ様を殺す事が出来ず滅ぶことを選んだのです』


『いま、思い返してみると酷い旅だったのかも知れません』


『時が過ぎるごとに変わっていく勇者達、コーイチ様は変わらず頑張っていたのかも知れない』


『変わらずに居れたのはシオリ様がいたから。だからコーイチ様は変わらなかったもかも知れない』




『そうよ、そうだわ、思い出した伝えるべき事を』


 幽霊のイリスの雰囲気が変わりこちらを見つめるような雰囲気で語りだす。


『聞いてください、現代の勇者様』


『時間が過ぎると、勇者や国が変わります、変わるのです』


「変わるとは、、、?」


『はい、最初に持っていた信念や考え、そういったものが変わってしまうのです』


『勇者同士の争いもありました、貴族同士も』


『だけど、コーイチ様とシオリ様は変わらなかった、私が入る隙も無いくらいに』


 ああ、この人は勇者コーイチが好きだったのか…


『貴方に伝えます。伝承がすべてで無いと。伝えないといけないことを』


『勇者シオリ様の最後…魔王になってしまい』


「―――っな!!」

 いま、勇者が魔王に!!


『しかし、シオリ様はコーイチ様を殺す事が出来なかった』


『コーイチ様もシオリ様を倒す事が出来なかった、だからシオリ様は…』


『シオリ様を救えなかったコーイチ様も…そしてコーイチ様を私は生き返らせる事が出来なかった』



『ああ、駄目ね、どんどん想いが記憶が抜けていく』


『どうか、現代の勇者様、見極めてください。ただ流される事のなきように』


「ああ」



 ――そして、最後にお願いが。私をその力で消してください――――


 ――――――もう、私は…――――――――


――――コーイチ様――――――――


 わかる、、きっとこのまま意識が消えて霊体魔物になるのかも知れない、

 だが、今なら魔物では無く、人として…


 俺は、木刀を突立てた。


――――ッバシュ!!――――



 そして、イリスの霊が消えて真っ暗になった空間に薄く光る鉱石が浮かび上がる。


 たぶんこれが【生命石】だろうな、これを探してる時に事故にでもあったのだろうか。

 あと、勇者が魔王になったってどう言うことだよ。そんな話聞かされて無いし、いや、他の勇者には知らされているのか?


 また俺だけが知らないでハブられてる可能性もあるな。あとは勇者達と国や貴族が変わって行くってもの分かり難いな。何かで過去を調べれないと分からないなぁ…


「――ッドッゴォォーーーーン!!!」



 突然後ろから激しい爆発の音と振動が響く!。


「――っんな!?」


「がぉーーん!やっと居ましたジンナイ様が」

「お探ししましたご主人様、よかったご無事で」


 ラティ達が俺の後ろの空間からやってきた、アカリの魔法で辺りが始めて照らされる。


 そして其処には、予想通り白骨が散らばっていた、そしてその中央には握りこぶし3個分くらいの魔石が落ちていた。


 ああ、これに宿っていたのかも知れないな、イリスさんは…



 俺は魔石と【生命石】を拾いラティ達を合流し、【ルリガミンの町】に帰ることにした。

 


読んで頂きありがとうございます

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