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特訓

 サリオが俺の奴隷になってから一週間が経過した。

 

 サリオはまだレベルが低いので、城下町周辺でレベル上げを行った。

 【大地の欠片】集めも、同時にこなした。


ステータス


名前 陣内 陽一

職業 ゆうしゃ


【力のつよさ】35

【すばやさ】 34       

【身の固さ】 31


【固有能力】【加速】

【パーティ】ラティ33 サリオ16


――――――――――――――――――――――――――――――――――――


ステータス


名前 ラティ

【職業】奴隷(赤)(陣内陽一)

【レベル】33

【SP】179/179

【MP】194/194

【STR】 106

【DEX】 122

【VIT】 100

【AGI】 176+2

【INT】 100

【MND】 101

【CHR】 135

【固有能力】【鑑定】【体術】【駆技】【索敵】【天翔】【蒼狼】

【魔法】雷系 風系 火系

【EX】見えそうで見えない(中)

【パーティ】陣内陽一 サリオ16


 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――


ステータス


名前 サリオ

【職業】奴隷(赤)(陣内陽一)

【レベル】16

【SP】72/72

【MP】142/142

【STR】 39

【DEX】 49

【VIT】 46

【AGI】 56

【INT】 81

【MND】 79

【CHR】 51

【固有能力】【鑑定】【天魔】【魔泉】【弱気】【火魔】【幼女】【理解】

【魔法】雷系 風系 火系 土系 闇系


【パーティ】陣内陽一 ラティ33


 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――


 サリオの【固有能力】【理解】で判明したことだが。

 【大地の欠片】がよく出る理由が、WSウエポンスキルや魔法で魔物をオーバーキルしないことだった。

 火力が強いもので魔物を倒すと【大地の欠片】も吹き飛び、大地に力が還ることが分かったのだ、この方法を周りに知られると、大地の力の枯渇に繋がる可能性があるので3人の秘密にした。



 サリオの【固有能力】を確認しつつ一週間経過した。


 そろそろ地下迷宮ダンジョンに向こう事にした。

 さすがに一週間も経過したので、騒ぎも沈静化しただろう。


「と、言うわけだ、明日は【ルリガミンの町】に行くぞ」


「何がと言うわけかわからないです」

「はい、ご主人様」


 サリオは【理解】があるのに理解力が無くて困る。


「いいから、今日は早めに休んで朝一の馬車に乗るぞ」


「はい」

「ぎゃぼう、この状況に慣れてしまっている、」


「うん?どうしたサリオ」

「この三人部屋で平気で寝れる状況ですよう、いつ襲われるかと」 

 

「ないな」

「がぉーん、それはそれで傷つきます、それともあの噂が本当なのでしょうかです」


「噂?どうせ碌でもないのだろ?」

「ジンナイ様がヘタレだと」



「チキショー!お前に何が分かるんだ!赤奴隷だぞ!即没収なんだぞ!どれだけ俺が耐えているか」


「ぎゃぼ、そんな血涙流しながら言われても、ドン引きです」





          閑話休題アホなやりとりしてました






 次の日、馬車乗り場に向かったが、何時もと違っていた。

 

 何故か、いつもよりも倍近い冒険者達が待っていたのだ。

 普段から、ルリガミンの町行きには冒険者が乗るが、少し殺気だっていた。

 早朝にも関わらず、すでに行列が出来ていたのである。

 

 ラティの見立てでは、冒険者達は王国周辺だけはなく。

 他の、遠い領地の冒険者も混ざっていると。


 少人数なら他から来ることもあるが。

 まるで冒険者が、一斉に集まって来ているようだと、ラティが教えてくれた。


 俺は何かの祭りなのかと思い、周りの会話に聞き耳を立てていると。

 聴こえる内容は、どれもルリガミンの町で冒険者の選定があるいうモノだった。

 

 乗り遅れると負け組みだとか、そんな話も聞こえていた。



 珍しく昼過ぎまで待たされて、馬車に乗り【ルリガミンの町】に向かった。


 ――何故か嫌な予感がする、

 とても面倒な事に、巻き込まれそうな予感が‥‥

      





         ◇   ◇   ◇   ◇   ◇







 馬車で数時間後【ルリガミンの町】の街に到着した。

 

 馬車で到着後、すぐに違和感を感じた。

 違和感の正体は、町の周辺に出来た、テントなどで野営施設の多さだった。

 魔法とかで作ったのか、プレハブみたいな仮設住居も乱立していた。


「一体何があったんだ、、、コレ」


「あの、ご主人様 あちらで町に入るのに手続きが必要になってるみたいです」

「ありゃ?前はそんなの無かったですよねです」



 【ルリガミンの町】は一週間前とは別の物になっていたのである。

 そのうち町を拡張しそうな勢いである。


「ラティ、嫌な予感がするんだけど、他に地下迷宮ダンジョンって無いの?」


「あの、あるにはあるのですが、遠くて領地に入るにも許可が必要でして」

「ここはそういった許可が要らないから、よく人が集まったんです」

 

 

 領地となると貴族がらみ。

 狼人とハーフエルフの二人がいると、多分許可が貰い難いだろう。

 この異世界を見てると、簡単には貰え無そうだ。 


 そう考えると、やはりこの地下迷宮ダンジョンに行くしかなかった。



「ラティ、サリオ。町に入ろう、ただこれは宿屋の部屋が取れるか心配だ」


「あの、ご主人様 わたしは野宿でも問題ありません」

「はいジンナイ様 あたしは野宿はイヤです」



 サリオに説教をしつつ町に入ることにした。

 受付ではステプレの提示を要求され。

 それを見せた後に、受付がすぐに誰かを呼びに走らせた。


 そしてやって来たのは生徒会の赤城俊介だった。


「やぁ、戻って来てくれたんだね陣内君、よかったよ間に合って」


「色々とあるが、間に合ったって?」

「それは三日後のお楽しみさ、多分すぐに知ると思うけど」


 前の優等生風の口調に戻し、赤城はこちらに話かけてきた。

 だが、話している相手は俺ではなく、後ろのラティに話しているようだった。

 

( 考え過ぎかな? )


 俺は取り敢えず、宿の確保から始めた。

 ひょっとしたら食事すらも厳しい状況かも知れない。

 それ位に、人が溢れかえっていたのだ。 


 地下迷宮ダンジョンは後回しで、その辺りの確保から始めた。



「ラティ、サリオ、まずは宿の確保に行こう、あとは食事系も確認しておこう」


「あの、この人数ですからねぇ、少々不安を感じます」

「さりおちゃんは、お風呂付を希望します」



 再びサリオに、こめかみをグリグリと説教をしながら宿を探す。

 予想していた通り、3人が泊まれる場所は無かった。

 取り敢えず現状の再確認と遅めの昼食を取る。

 食料の方は、まだ余裕があったみたいだったのは僥倖だった。



「【宝箱】があれば楽だったのに、」


「あの、まだ食料が手に入るので宜しい方かと」

「【宝箱】って勇者様のですよね?普通は持ってないですからです」


「当面は宿をどうにかする事だね、最悪は野宿か‥」


「あの、それでしたら今のうちに、水と食料の確保を」

「がぉーん、お風呂はお預けですかです」



 大した情報収集も出来ず、水と食料を確保が限界だった。


 あと、出来る事と言えば、地下迷宮ダンジョンに潜りレベル上げ。

 ただこちらも、地下迷宮ダンジョンは人が溢れ、魔物の奪い合いに近かった。


 しかも、何人もの冒険者が、己の力量以上の階層に降り。

 帰って来ない者が、続出している様子であった。


 俺達はサリオが居るので、無理せずに、浅い階層で慣らし程度で終えた。


 

 その後は、やはり宿の部屋が確保出来ず、外に出て。

 野宿が出来る場所を探すことにした。


 同じ目的で、外には多くの冒険者達が夜営の準備をしており。

 魔物に襲われると言った心配は低そうだった。




「うう、本当にお外で寝るのですね」


「まだそこまで寒くないから平気だろ?」

「あの、明日は毛布を探さないとですねぇ」



 サリオの愚痴を聞き流しつつ、簡単な敷物だけをして横になる。

 

 多くの冒険者が居るので、見張りは必要ないだろうと、思っていたが。

 少し時間が経った辺りで、ラティが警告を告げていた。

 


「貴方達は何の御用ですか!むやみに近寄らないでください!」


 寝ていた俺は魔物かと思い飛び起きる。

 この冒険者の数で魔物が出るとは、と 考えラティを見ると


 ラティを囲むように冒険者が立っていた、そして。


「おいおい、こんな場所に女の子がいたらなぁ?」

「そうだよ、俺達はキミを守ってあげようかとなぁ」

「まぁ、守り方にも色々あるけどな、へへ」


 

 下卑た顔でラティに近寄る三人が見えた、そして思い出す北原の事。


 何故か咄嗟に、廃屋の出来事が頭の中に蘇る。

 感情に火がつき、思考が弾け。

 己の感情に身を任せるままに、本能に従い迅く動く。



 一切の警告もせずに、無言で一人は太ももに槍を突き刺し。

 次は相手の顔に槍の石突で打ち抜き、最後に顔を掴んで地面に叩き付け。

 最後に吼える。


「次は誰だぁ!」


 

 俺は集まって来た野次馬に威嚇をした。

 俺の指示など必要なく、ラティはすぐに俺の後ろに回り、背後の警戒を始めた。

 サリオは驚きのあまり、固まってしまっている。



 周りの野次馬から、俺に非難の声があがる。

 

「おいおい、見せつけるように、女を連れてそれを言うか」

「テメーだったら、宿に入れとけよ」

「そうだそうだ」

「たく、娼館も満室だってのに、」




 冒険者が多い分、こういった輩も増えるのは当たり前だった。

 

 俺はどこかまだ油断していた。

 冒険者達は、基本荒くれ者が多い事を、善性はあまり期待出来ない事を。 

 知っていたはずなのに、理解していなかった。


 ――チクショウ!考えが甘かった、

 なんで俺は外で平気だなんて思っていたんだ、アホか俺は‥




 俺が野次馬の冒険者達と対峙していた。

 何か切っ掛けがあれば、再び争いが始まる空気。


 その時。


「何の騒ぎだ!三日後の選定に影響するぞ」

 

 そこに現れたのは、赤城と葉月にあと数人の勇者達だった。

 

 取り敢えずは、大事になる事なく沈静化した。

 赤城は冒険者の話を聞き、葉月は俺が負傷させた奴を回復魔法で癒していた。

 そして話を聞き終えた赤城が、諭すように俺に話しかけてくる。


「陣内、もう少し考えて行動しろよ」

「うるせ、宿が取れなかったんだよ仕方ないだろ!」


 俺は酷い言い訳しか出来なかったが、そこに葉月が助け舟を出してくれる。


「ねぇ陣内君、女の子だけでよかったら、私の部屋に泊めれるよ」

「――!?っぐぅ、」



 思わず息を呑む、そして俺はここで悩む。


 現状的に、確かにそれが一番だろう。

 ラティ達の安全を考えれば、当然の選択だ。


 ――だが、勇者達に頼りたくない、

 コイツ等には、酷い目にあわされているが、まだ葉月なら、あ!

 そうだ!俺はあの時のハズレルートの時に学んだだろ!

 俺の下らない意地で、ラティを危険な目あわせた事を‥‥




「葉月すまない、お願い出来るだろうか?」

「うん、平気だよ部屋は広いし」


( 最近 葉月に頼りぎみかも )



 こうしてその騒ぎは収まり、葉月にはラティとサリオを頼む事にしたのだ。


「ラティとサリオは、葉月の部屋に世話になってくれ」


「やったですよ、野宿回避ですよーです!」

「わかりました、葉月様の部屋にご厄介させて頂きます、ヨーイチ様」


 何故か葉月を見ながらラティが返事をした。

 葉月の方も、ちょっとラティを見つめ返していた。


( なんなの?君らいつの間にそんな仲に? )



 俺はそのままこの場に居ると、襲撃されそうな空気だったので。

 葉月が泊まっている宿の、馬小屋を借りることにした。


( 泊まると言えば馬小屋は基本だよね )






        ◇   ◇   ◇   ◇   ◇







 馬小屋に泊まった次に日。

 起きた俺を待ち構えて居たのは、また赤城だった。

 昨日の件も含めて話があると、少し大きめの宿に案内される。

 その宿の食堂の個室で、赤城の話しを聞くことになった。



 赤城はテーブルに肘を突き、何処か偉そうに語りだす。


 赤城曰く、現在、勇者達は大きく二つに分かれている。

 貴族に付き従う組と、貴族から距離を取る組の二つ。


 赤城は、貴族と距離を取る組。

 距離を取る理由は、貴族が勇者を自分達の為に利用しようとしているのだと。

 勇者とは魔王と戦う為の存在、だから貴族に縛られたくないと。


 そしてこの町を拠点に、脱貴族組を作りあげ。

 脱貴族派の、勇者連合レギオンを作るのが目的だと明かした。


 そして、最初に貴族から紹介された冒険者を排除し。

 新しい冒険者を、ここに募っているのだと言う。


 同時に勇者も勇者連合レギオンに数多く誘い、発言力を強くしたいと。



 それが理由で、この町に現在冒険者が集まっていたのだ。

 


 俺は赤城の考え方を、否定する訳でないが。ただ

 

 ――いかにも意識高い系の考えだな‥‥

 全部間違えと言う訳じゃないけど、上手く行くのかな…?



 

 確かに、最初の頃と違って、今なら貴族に頼らなくても問題は無い、

 決して悪い案ではないのだ。


 だけど、これは凄く政治的な要素が出てくる問題でもある。

 

 人の事は言えないが。

 考えが浅く甘い高校生に、大人達を纏め切れるのだろうか。



「なぁ、それってどれくらい集まってるんだ?」

「ああ、今は葉月さんを説得中だ、彼女は聖女として知名度と人気があるからね」


( これはアカンパターンや、質問を誤魔化してる )

 

「そうか、うん、それじゃな」


 危険そうな香りがしたので、取り敢えず距離を取ることにした。

 あまり深く関わらない方が良さそうだった。


「二日後に町の入口で、ちょっとした演説をするからラティさんも連れて聞きに来てくれないか」

「ああ、考えておくよ」

( 情報収集の為に行く必要があるか? )



 俺はそう言って俺は食堂を後にした。

 その後は、ラティ達に合流するべく葉月が泊まっている宿に戻った。


 ――魔王退治のはずが勇者と貴族の政争に?

 いかにもありそうな展開だな、いや、流石にそれは無いか‥




 葉月の泊まっている宿は、この辺では一番大きい宿だった。

 宿に入ると、一階のレストランでラティとサリオが葉月に朝食を取っていた。

 どうやら、葉月にご馳走になっている様子だった。



「ラティ、サリオ迎えに来たぞ、飯終わったら地下迷宮ダンジョンいくぞ」


「はい、ヨーイチ様」

「がぉーん!ジンナイ様待ってましたよーです」



 ラティは嬉しそうに、サリオは何故か泣きそうに返事をしてきた


 俺は葉月に二人を泊めてもらった礼と。

 申し訳ないが2~3日泊めて貰えないか頼んだ。

 三日もすれば、この馬鹿騒ぎは収まると思っているからだ。


 無駄なトラブルは回避して置きたかった。


「うん、陣内君の頼みならいいよ」

「‥‥‥‥」


 葉月からは笑顔で承諾を貰えた、ラティは無言だったけど。

  



 食後は地下迷宮ダンジョンに潜り、レベル上げを開始した。


 何があるか分からないこの異世界。

強さレベルを得るのは、きっと正しい事だろう、そう思い俺達はレベル上げに励んだ。





         ◇   ◇   ◇   ◇   ◇






 それから二日が経過した。

 そして今日は、例の演説が行われるという日。


 町の入口に集まる冒険者達。


 これから何が起こるのか、把握して置くのは大事だと思い、俺達も足を運んだ。


 何かに巻き込まれる可能性がある。

 事前に知って置ける事は、知っておくべきなのだ。 

 俺はそう思い、町の入り口に来たが‥‥。



 赤城の演説が始まる


 冒険者の数は、正確には分からないが300~400人は居るだろう。

 もしかしたらもっと居るのかも知れない。


 そんな中、赤城は威風堂々と語る。


「皆さん聞いてください、僕は勇者”赤城俊介”と言います、勇者である私達と一緒に戦う事で恩恵が貰えるのは、もうご存知だと思います」


 取り敢えず、聞き入る冒険者達


「勇者である私達と、貴方達冒険者で組めば、とても強い力が出来ると思います」

 

 少しづつ、ざわつき始める冒険者。


「でも、ただの力では駄目なのです、もっと意思のある集まり、、」


 赤城は少し溜めてから 語りだす――


「 ここに勇者で作る傭兵を軸とした、”勇者の国”の建国宣言します 」 

 

 

 俺の前に馬鹿がいた…予想外過ぎた…


( どっかの黒仮面じゃねーんだぞ )


 

 そんな感想しか、出てこなかったのだ‥‥ 


   

読んで頂きありがとうございまあすー

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