順位予想 ワールドカップ ロシア編
日本代表の戦いは終わった。
すると、一斉にメディアは監督、協会に疑問を問うた。
「パスサッカーは日本のスタイルじゃない」
「格上の相手ならもっと臨機応変に対応すべきだ」
「始めからメンバーを固定過ぎる。もっと色々な選手を試しておくべきだった」
一見、もっともな意見に聞こえる。
しかし、ほとんどのメディア、特にテレビだが、
大会前、解説者はほぼ全員、日本の決勝リーグ進出が当然のことのように言いきった。
『予選リーグを勝ち抜ける』との予想は、今までの日本代表のやり方は間違ってない、
と言っているのと同じではないか。
しかし、テレビのあおりは今に始まったことじゃない。
でも、あおりだけじゃない。
実害ある毒をいくつも発していた。
日本での代表戦の際、調子の悪くても、有名海外チームに所属している選手を召集する。
これは視聴率のためだ。
視聴率が低ければ、スポンサーから金を引き出せない。
調子が悪かった選手は日本への往復、過密日程でさらに調子を崩し、
所属チームの居場所がさらに無くなっていく。
だったらヨーロッパで、テストマッチをすればいい?
これは一見いいアイデアだ。
確かにヨーロッパのチームに所属している選手で日本代表が組めるだろう。
日本のサポータはテレビで一生懸命に応援する。
食事を終え、ビールを飲みながら、ゴールデンタイムに。
でも、ゴールデンタイム?
なぜ?
まだ、ヨーロッパは昼か夕方だ。
気温が高い夏でもだ。
選手の体調など二の次。
テレビ局は視聴率が大事なのだ。
4年が経った。
日本はワールドカップロシア大会アジア予選を突破した。
ブラジル大会での結果で、アジア枠は減らされたが、アジアでの地位は保っていた。
またメディアのお決まりの予想が始まった。
しかし、あるテレビ局のサッカー番組だけは違っていた。
ゴールデンタイムに放送された3時間の特番だった。
10人のサッカー解説者が召集されたが、
日本代表の決勝リーグ進出を予想したのは2人だけだった。
一人は、普段厳しい意見を放つセルビア越前。
彼は自分が押していた若手選手がサプライズで代表に召集されたのだった。
もう一人は、日本代表ではフォワードとして活躍した縦田。
彼はスポーツバーチェーンを展開していて、負けると言えない立場だった。
残りの八人は予選リーグ敗退を予想した。
無理もない。
優勝候補のドイツ、
絶対エースがいるポルトガル、
安定感があるメキシコだった。
各解説者は優勝チームと日本の順位を予想した。
翌日出た番組視聴率は20%を超えていた。
不満を爆発されるサポーターのいたが、
ガチな解説は好評だった。
番組プロデューサーはどうやったら解説者の本音を引き出せるか4年間考えていた。
ブラジル大会終了後、批判はテレビに向けられていたのだ。
日ごろから、プロデューサーはあおりを嫌っていた。
そして、一つの結論に達したのだ。
ガチ予想をやらせよう、と。
方法は簡単である。
予想の結果が一番近い解説者にギャラを総取りさせるのだ。
テレビでは公表されなかったが、当たれば3000万円にもなった。
それに一年間テレビ局の解説者に就任できるという特典付だった。
視聴者も参加できた。
当たれば200万円と言うことだけあって、
日本代表の決勝リーグ進出を予想した人は30%以下だった。
この番組成功をやっかんだ他のテレビ局は、
「出演料を掛けている。ギャンブルは良くない」
と批判した。
しかしプロデューサーは、
「ウソやあおりよりいいだろう」
と言い放った。
2017年6月13日イラク戦 21時25分ゴールデンタイム(現地時間16時55分)暑いだろうな~
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