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月は闇を抱いて眠る  作者: 氷室あげは
†錆びた星が巡る†
5/11

「相変わらず嫌味な男ね……良いわ、引き受けましょう。但し、高くつくわよ」


「オレとお前の仲だ、少しは負けろよ」


 ミッテの吹っ掛けに、クライスは意味有り気に答えた。


「冗談でしょ。仕事は仕事よ。1ルッツも負けないわよ」


 ミッテはあっさりとクライスの冗談を撥ね除けた。

 それを聞いたクライスは、やれやれ、と呟いた。だが、毅然として。


「なら、報酬は内容で決めさせて貰う」


 と言った。


「チッ、手厳しいのも相変わらずね」


「当然だろう? そこらで買える様な内容だったら、お前に頼む意味は無いからな」


 お前に頼むから意味が有るのだと、言わんばかりである。

 それだけクライスはミッテの情報を当てにしているのだろう。

 そこまで言われては、ミッテとしても言い返せない。

 判ったわ、と答えると木の枝へと飛び上がった。


「情報が集まったら、いつもの様にミーツェに届けさせるわ」


 それだけ言い残し、ミッテは木々から木々へと飛び移りながら去って行った。

 暫く木々の枝や葉とミッテが擦れ合う、ガサガサと言う音が聞こえていたが、次第に聞こえなくなった。

 完全に聞こえなくなると、それまで大人しく見ていたモーザが口を開く。


「……3C」


「何だ?」


「ミッテなんかに調べさせてどーすんだ?」


 モーザは怪訝そうに尋ねると、クライスはフッと笑いモーザを見る。


「お前が最初にアイツを変な魔力だと言ったんだぞ?」


 ニヤニヤと笑うクライス。その眼は何やら輝いている様に見えた。


「……興味持ったって事か?」


「持たない訳が無いだろ? あんな……光と闇が混在している様な魔力、滅多に居ない。実に面白そうじゃないか」


 まるで新しい玩具を手にした子供の様に、直ぐにでもハシャギ出しそうな顔だ。

 そんなクライスを前に、自分が射落とした名前も知らない彼女にモーザは同情を禁じ得なかった。

 それは、モーザがクライスの性格をよく知っているからに他ならない。


(あの子、可哀相だなぁ……クライスに眼を付けられるなんて)


 ぼんやりと考えていると。


「モーザ。お前、アイツにちょっかい出すなよ? アレは、オレの獲物だ」


 クライスが真剣な眼差しでモーザに迫る。


「わ、わかっているって……3Cの獲物に手を出す程アホじゃない」


 そうか、そこまでアホじゃなかったか。と笑うクライスだった。





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