表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
劣勢の戦場で敵将を討ち取った俺、気づけば公の右腕にされた件  作者: 塩野さち


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

13/110

第13話 グレンフィルトで、秋に麦をまきはじめる! ついでに商人の税!

『ヴァルゼン公家暦10年 10月上旬 グレンフィルト郊外の村々 晴れ』


【雑兵上がり男爵グレン視点】


 疫病の爪痕がようやく癒え始めたグレンフィルト郊外の村々に、ようやく活気が戻ってきた。

 黄金色の収穫ではない。来年の夏に向けた、秋蒔きの麦だ。俺は、恒久的な財源を確保するため、領内の村々を巡回していた。


「男爵様! どうかこれを!」

「おお、悪いな」


 俺は差し出された水を受け取り、額の汗を拭う。領主自らが土に触れる姿が珍しいのか、村人たちも以前よりずっと協力的になってくれていた。


(とほほ、来年の夏の収穫までは、民の食べ物は俺持ちか……。だが、これが未来の財源になるんだ。ガマン、ガマン)


 とはいえ、目下の食料は待ってくれない。俺は結局、金勘定係の商人レオ――つまり、ダリオ商会の事務所の扉を叩くことになった。またしても、借金の申し込みだ。

 だが、レオの返事は、意外にもあっさりしたものだった。


「食料の買い付け費用、ですか。承知いたしました。すぐに手配しましょう」

「いいのか? いつもすまないな」

「いえ、借金するも何も、グレン様はいつまで商会や商人から税を徴収されないおつもりで?」

「え?」

「このグレンフィルトが今、これほど発展しているのは、事実上の『無税、つまりタックスフリー』状態だからですよ。正直、いつまでこの大盤振る舞いを続けられるのかと、こちらが心配しておりました」


 税。

 言われてみれば、俺は領主でありながら、商人たちから一銭も金を取っていなかった。


「うーん、そうか……。よし、そろそろ少し貰うかな……」


 俺は早速、街で商売を営む主だった商人たちを、急ごしらえの広間に集めた。

 俺が新たな税について切り出すと、商人たちの間に、緊張が走る。誰もが固唾を呑んで、俺の次の言葉を待っていた。


「皆の協力のおかげで、街はここまで発展した。だが、さらなる発展と、街の守りを固めるためにも、今日から税を徴収させてもらうことにした。税は……売り上げの一割、だ!」


 その瞬間、商人たちは顔を見合わせ、やがてあちこちから安堵のため息が漏れ始めた。


「一割……? たったの一割で、よろしいのですか?」

「これなら余裕だ。まだまだグレンフィルトで商売を続けられるぞ!」

「グレン男爵万歳!」


 予想外の反応に、今度は俺が驚く番だった。


「へっ? あれ、もしかして安すぎたか? 税ってもっと重いものなの?」


 俺が小声で尋ねると、隣に控えていたレオが呆れたようにため息をついた。


「……男爵様。世間では『四公六民』という言葉もありましてね。収穫の四割、売り上げの四割を領主が持っていくなど、普通のことですよ」

「よ、四割!?」


 商人たちの歓声を受けながら、俺は冷や汗混じりに乾いた笑いを浮かべた。


「ま、まあ、これは最初だからな! 少しずつ上げるってことで、みんな、これからもよろしく頼むぞーっ!」


 こうして、俺の領地経営は、また一つ新しい段階に進んだ。

 秋晴れの空の下、まだまだグレンフィルトの発展は止まりそうになかった。


「とても面白い」★四つか五つを押してね!

「普通かなぁ?」★三つを押してね!

「あまりかな?」★一つか二つを押してね!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ