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勇者ウェイン物語  作者: クモ子
小国の王
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ウェイン 2

「サディスト神官に魔法狂、諦めの悪い剣士と不屈の大楯」

「ドーンだけまともだな」

 戦闘の後のちょっとした時間、昔を思い出しルークに話しかける。

「実際まともなのはドーンだけだったろ?」

「いや、ドーンだって結構抜けてるところあるぞ」

「それでもルーク達よりはるかにまともだ」

「ひどい言われようだな」

「初対面が修羅場だったんだぞ? これでも大分気を使って言ってやってるつもりなんだが?」

「まあそうだな、まともではなかったな。でも楽しかった」

「ああ、楽しかったな」

 少しのつもりが昔話に花が咲いた。酒を飲むよりも冒険に出た方が口は軽くなるようだ。

 確かに出会いは修羅場だった。

 先に誰かが遺跡に入っているのは分かってはいた。まあいいかと適当に進んでたら扉を中から叩く音が聞こえた。

 なんかトラブルだなと思って扉を押したらすんなりと開き、その先にお目当ての魔物。

 撤退だって言うから突っ込んだら共闘になって初めてのパーティー戦、初めて組んだパーティーがルーク達でよかったと今でも思っている。

「そういえばザイラスとフェイスは結婚したんだったよな」

「そうだな、昔から仲が良かったからな」

「あれは仲が良かったのか?」

「良かったに決まってるだろ」

 人の事を言えた義理じゃないが、やっぱりこいつらはまともじゃないな。だが良い奴らだ。

 それまで一人でずっと戦っていたからそれが当たり前だった。だがルーク達と出会って仲間がいることの楽しさを知った。

 

 ルーク達といる時は戦闘中も賑やかだったが街に戻ってからも多分に漏れず賑やかだった。

 飯を食い、酒を飲む。五人で円卓を囲う、笑いながら。

 ルークは酔うとずっと剣技の話をしている、ザイラスは酒を片手に誰彼構わずしゃべり掛ける。金庫番のフェイスは今日の稼ぎの分配やら装備品の買い足しリストをぶつぶつ言いながら作っている、ドーンはそんな仲間達を見ながら和やかな笑みを浮かべに酒を呑む。

 ルークからは割と早い段階で自分がリブセレと言う国の第三皇子だと聞かされた。皇子だと知る前にあの戦闘を経験していたせいもあって「ああ、そうなのか」程度の反応しかしなかったんだが、それはルークにとっては有難かったようだった。

 「そこはもうちょっと驚いてもいい所だぞ」ザイラスの言葉でそういうものかとルークを見たが安心したような表情だったからそうなんだと思っただけだが。

 それからも変わらず――ルークは肩の荷が下りたように――依頼を受け戦いに出ていた。

「そういえばウェインってどうしてソロでやってたの?」フェイスが道すがら話し掛けてきた。

「そうだな……一人で魔物が倒せたからかな」特に深く考えたことはなかった事だ。

「今はパーティー組んでみてどう?」戦闘中とは打って変わって微笑ましく少し前を歩きながら振り返り、顔をのぞき込んでくる。

「そうだな、一人の時とは違った戦闘スタイルってのも面白いな、前より出来ることが多い」実際にあの神殿の時から戦うことが前より楽しくなっているのは事実だ。

「ウェインは魔法は使えないの?」矢継ぎ早に質問が飛んでくる。

「俺は魔法は使わない、こいつで十分だ」左手で剣の鞘を握り答える。

「そう、使えるようになったら楽しいわよ」楽しそうに笑うその顔から魔法狂の片鱗が少し垣間見えた気がした。

 ルークとはよく剣の話をした。

 ギルドの依頼を受け魔物の討伐に行った先でちょっとした休憩の時でも剣の話をしていた。

「ルークは受けをメインで戦うだろ? だからどうしても攻撃の時に体重が後ろに偏って腕だけで振ってるんだよ。だから一撃が軽い」剣を持ちルークの動きを真似して見せる。

「なるほど、前に出ながら受けるのか? こうか?」ぎこちなく体を動かし剣を振るルーク。

「出ながらと言うか攻撃と受けの動作を連動させて受け流してから斬る感じだな」

 そんなやり取りを片膝に頬杖をつきながら眺めていたフェイスが不思議なものを見るように声を掛けてくる。

「あなた達毎日毎日そんな事ばっかりやってて飽きないわけ?」

「そう言うなフェイス、男にとっては近接戦闘はロマンなんだよ」

 ここぞとばかりに会話に割って入るザイラス。

「真正の後衛のザイラスが言う?」

 フェイスを宥める様にドーンも話に混ざって来る。

「ウェインは体の使い方がうまいんだ、大楯の俺でも参考になる」

 他から見れば何と言う事のない時間なのだろうが、年を取った時にこういうことを思い出すのだろうなとぼんやりと思っていた。

 

 ルーク達とは二年程一緒に行動を共にした。楽しい日々だった。

 トラブルに見舞われた事もあったが皆生きている。

 そんな旅が終わったのはルークの元にリブセレからの使者が訪れた日だった。

 第二皇子が魔王軍との戦闘で戦死した為ルークは国に戻るようにとの事だった。

 当初からそういう取り決めをしていたらしくルークは兄の死を悼み、渋々ではあるが国に戻ることになった。

 ルークから一緒にリブセレに行こうと誘われたが、俺は一所にいるのが性に合わないので断った。他のメンバーはルークと一緒に行くことに決め、即決で返事をした。

 そして俺はまた一人で旅をすることにした。

 一人で旅をしながらルーク達と一緒に居た頃をよく思い出していた。そして俺もパーティーを組むことを決意した、最強で最良のパーティーを。

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