ウェイン 4
ダンジョンの探索は特段問題なく六階層目に降り立っていた。。
「順調そのものだなルーク」
「そうだな、まあウェインが居るんだ早々問題は起きないだろ」
どこか嬉しそうなルークを見ているとこっちまで楽しくなってくる。
「ところでなんで俺を呼んだ? 出来立てのダンジョンならルーク達だけでも探索出来ただろうに」
少し逡巡するようにルークが答える。
「なんというか、多分俺がウェインとまた冒険に出たかったんだと思う」
やや俯きながら頬を指で搔き答えるルーク。
「なんだそれは? そんなのいつでも言えばいいだろうに」
「いや、さすがに王位に就いてる身でそんなこと言えないだろ」
人は立場が違えば振る舞いも変えなきゃいけない、俺はそれが嫌で自ら勇者と名乗り自由を手にした。
ルークは家柄がそうだったために王位に就いた。それ自体はルークも受け入れているし後悔しているわけでもないだろう。ただやはりルークも冒険者であり、剣士なのだと改めて思った。
「なら、今は楽しくダンジョン探索といこうぜ」
「ああ、今は俺は冒険者で剣士のルークだ。楽しむことにするよ」
先ほどまでの嬉しそうな表情を取り戻したルークと共にさらにダンジョンの奥へと進んでいく。
六階層目の探索を終え、七階層へと降りたところで俺達は休息をとることにした。
「しかし、ウェインが自分から勇者を名乗るとは思わなかったよ」
腰に携えた剣の状態を確認しながらルークが話す。
「冒険者やってた王様程じゃない、俺は多くを護るつもりはないんだから」
「そうは言っても勇者は人類全部じゃないかよ。俺よりはるかに多い」
「勇者は全ての王を統べるための称号だ、人を護るのが王の役目、勇者は王の管理者なんだよ」
「いやまあ、俺達王の認識はそうだけど一般的にはそうじゃないだろ」
「俺は俺のやりたいことをやっただけだ。その結果として人々が救われた、ただそれだけだ。それに、勇者って言うのは俺が護りたい者を護る為の称号なんだよ」
「それはウェインらしい理屈だな」
剣の手入れをしながら話すルークと向かいながら、俺は魔王討伐へと向かう前の事を思い出していた。




