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勇者ウェイン物語  作者: クモ子
小国の王
18/19

ウェイン 4

 ダンジョンの探索は特段問題なく六階層目に降り立っていた。。

「順調そのものだなルーク」

「そうだな、まあウェインが居るんだ早々問題は起きないだろ」

 どこか嬉しそうなルークを見ているとこっちまで楽しくなってくる。

「ところでなんで俺を呼んだ? 出来立てのダンジョンならルーク達だけでも探索出来ただろうに」

 少し逡巡するようにルークが答える。

「なんというか、多分俺がウェインとまた冒険に出たかったんだと思う」

 やや俯きながら頬を指で搔き答えるルーク。

「なんだそれは? そんなのいつでも言えばいいだろうに」

「いや、さすがに王位に就いてる身でそんなこと言えないだろ」

 人は立場が違えば振る舞いも変えなきゃいけない、俺はそれが嫌で自ら勇者と名乗り自由を手にした。

 ルークは家柄がそうだったために王位に就いた。それ自体はルークも受け入れているし後悔しているわけでもないだろう。ただやはりルークも冒険者であり、剣士なのだと改めて思った。

「なら、今は楽しくダンジョン探索といこうぜ」

「ああ、今は俺は冒険者で剣士のルークだ。楽しむことにするよ」

 先ほどまでの嬉しそうな表情を取り戻したルークと共にさらにダンジョンの奥へと進んでいく。


 六階層目の探索を終え、七階層へと降りたところで俺達は休息をとることにした。

「しかし、ウェインが自分から勇者を名乗るとは思わなかったよ」

 腰に携えた剣の状態を確認しながらルークが話す。

「冒険者やってた王様程じゃない、俺は多くを護るつもりはないんだから」

「そうは言っても勇者は人類全部じゃないかよ。俺よりはるかに多い」

「勇者は全ての王を統べるための称号だ、人を護るのが王の役目、勇者は王の管理者なんだよ」

「いやまあ、俺達王の認識はそうだけど一般的にはそうじゃないだろ」

「俺は俺のやりたいことをやっただけだ。その結果として人々が救われた、ただそれだけだ。それに、勇者って言うのは俺が護りたい者を護る為の称号なんだよ」

「それはウェインらしい理屈だな」

 剣の手入れをしながら話すルークと向かいながら、俺は魔王討伐へと向かう前の事を思い出していた。

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