ウェイン 3
「そういえばラクト砦にはあの後も行ったんだったよな?」
ダンジョンの五階層目を探索して周り、その日の調査を終え休息をとっていた。
「ああ、行ってたよ。二回目の遠征の時はザイラスにこっぴどく怒られた。あんなに怒ったザイラスを見たのは後にも先にもあの時だけだ」
持って来た食料を取り出し、口に頬張りながらルークが答える。
「何やらかしたんだよ?」
「『ルークとウェインは俺の予想をとんでもなく飛び越えやがる、マジでぶっ飛ばされたよ』だってさ」
「おい、俺を勝手に巻き込むな」
思わず食べようとパンをを持った手を止める。
「それはザイラスに言ってくれよ」
口の中の物を飲み込むとさらに続ける。
「確かに俺も無茶をしたけど、先に無茶をしようとしたのはザイラスなんだぜ?」
お互いそれなりに年を重ねて来たはずなのにそこには昔と変わらぬルークが居た。
「ドーンが仲間と家族ってのは似てるって言ったたのがなんとなく分かったよ」
「なんだよそれは」
不思議そうな顔でルークが答える。
ラクト砦への救援要請はルーク達と会ったあの時以来、来なかった。
ギルド幹部から聞いた話では、リブセレ軍の活躍が大きいと言う事だった。
ルーク達は自分達の戦術や技術をラクト砦に惜しげもなく残していったのだと言う。
普通なら軍事機密など他国に教える物ではない。しかしルーク達を知る俺からすれば、らしいなと思う。
雄心の剣士ルーク、不屈の大楯ドーン、命の管理者ザイラス、戦慄の魔法狂フェイス。かつて共に旅をした仲間達はラクト砦ではそう呼ばれていたらしい。
この四人がいたから魔王を討ちに行けた、後ろを気にする事無く。
俺が魔王を倒すと信じて四人はラクト砦を護り抜いた。そして俺は後方の憂いなく魔王を倒した。
互いの信頼があったから、仲間が居たからこそ出来た事だ。
本当に俺は仲間に恵まれているなと改めて実感しその日の眠りについた。




