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【完結】夫の心がわからない  作者: キムラましゅろう


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10/17

オルタンシア伯爵夫人

「わぁ……!こぢんまりとしたパーティーだって聞いていたけれど、とっても華やかで賑やかね!」


アルキオに連れられてパーティー会場に着いたマリー・ルゥ。


婚約パーティーの主役である二人の共通のカラーだという、グリーンで統一された会場内の飾り付けを見たマリー・ルゥが感嘆の声をあげた。


「グリーンの花が存在するのね。淡いものから濃いものまであるなんて私、知らなかったわ」


「中産階級だが貴族に引けを取らない財を成す家だからね。わざわざそうなるように花の成長段階で金をかけて手を加えたのだろう」


アルキオがマリー・ルゥをエスコートしながらそう教えてくれた。


「素敵ね……!招待客の衣装も煌びやかでとても美しいわ」


「美しいのはマリー、キミだよ」


「(かぁぁ/////)そ、それはアルキオ様が贈ってくれたこのドレスのおかげよ」


「ドレスなんて所詮は添え物さ。アクセサリーもね」


「そ、添え物なんていうレベルではないと思うのだけれど……」


恥ずかしさで頬を染めるマリー・ルゥ。

オルタンシア伯爵家の威信をかけて作らせたというオートクチュールのドレスは淡いベージュに近いピンクシャンパンゴールドで、バスト下からスカートがなだらかに落ちるエンパイアラインだ。

胸もとから首にかけてのチョーカーネック部分は繊細な黒いレースになっており、ドレスのトレーンも黒のスカラップレースで縁取られている、アルキオカラーがさり気なく(?)強調されたドレスである。

アクセサリーはシャンパンダイヤと呼ばれる価値の高いブラウンダイヤで、その中でも最高級と名高いコニャックダイヤだ。

しかもコニャックダイヤであるにも関わらずゴールドを帯びているという、世界でも稀なそう易々とは手に入らないダイヤで作られたイヤリングと髪飾りがマリー・ルゥの若く瑞々しい肌と髪に彩りを添えていた。


誰もが結婚後に初めて姿を見せたマリー・ルゥに視線を向けている。


興味、羨望、好意、そして悪意。様々な視線をマリー・ルゥは浴びせられていた。


だが何故だろう。

以前なら人から向けられる悪意や好戦的な視線は苦手で恐怖すら感じていたというのに、今のマリー・ルゥにはそれらの視線に晒されることが苦ではない。

むしろ取るに足らない、喩えていうならコバエが周りを飛んでいて鬱陶しいなと思う程度なのである。


(不思議ね。少しも怖くないの。それどころか向けられた悪意で何かが満たされるような心地になるなんて……引きこもってる間におかしくなっちゃったのかしら?)


以前とは明らかに自分の中の何かが違うと感じる。

マリー・ルウは不思議で仕方なくて、思わず小首を傾げてしまっていた。

だからそんなマリー・ルゥをアルキオが微笑ましげに見つめていたことには気付かない。


アルキオに伴われて主催者と他の招待客への挨拶回りをする。

アルキオは終始嬉しそうな笑みを浮かべて、体調が快復した妻を皆に紹介していた。


政財界、貴族社会においても一目も二目も置かれるアルキオを前にして、マリー・ルゥに表立って不遜な態度を取る者はいなかったが、中には堂々と嫌味を盛り込んでくる愚者もいた。


「私としたことが勘違いしておりましたわ。オルタンシア伯爵様がご結婚されたのは存じておりましたが、そのお相手がまさかこんな可愛らしい方だったなんて。私はてっきり……いつもご一緒の《《あちらの女性》》が夫人だと想っておりましたの。だって、ねぇ?」


と言うご婦人や、


「ややや。今日は夫人ではなく随分とお可愛らしい女性を同伴されておられるのですな。伯爵も隅に置けないお方だ。……え?そちらの女性が本妻なのですかっ?……これは大変失礼いたしました」


と明らかにわかっていてわざと当て擦る者が居たのであった。


(まぁそう思っていても仕方ないわね)

とマリー・ルゥはそれらには笑みを浮かべ、「私が病弱で至らないものですから。《《ご心配》》をおかけてして心苦しいですわ」と返しておいたか、アルキオは違った。


彼もマリー・ルゥと同じように彼らに笑みを向けてはいたがいつもよりトーンの低い声で、

「はははは。確か披露宴には招待していた筈なのだがおかしいな。それほど月日が経っているわけでもないのに妻の顔を忘れるとはかなり記憶力、もしくは頭が悪いと見受けられる。そのような者との付き合いは、その家族も含めて今後は見直させてもらうことにしよう」


と暗に……ではなくハッキリと絶縁を突きつける言葉を発していた。


それを聞き、両者とも慌てふためき謝罪を口にしてなんとか取り繕おうとするも、アルキオは彼らに身も凍るような冷たい視線を向け一瞥し、何も言わず放置してその場を去ったのであった。


何人かそのような目に遭っているのを目撃したことにより、会場にいる者たちがオルタンシア伯爵の夫人はお飾りの妻であるという見解や認識を改めるには充分であった。

そして彼らの口から瞬く間に、いずれは社交界にもこの話は伝わっていくのだろう。





◇───────────────────◇




今日は書く時間が取れなくてここまで。


ゴメンでsorry.˚‧º·(´ฅдฅ`)‧º·˚.


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