私の正夢は未来だけじゃなく、過去が見えるかもしれない
私の名前は……そうだな、仮に〈A〉と名乗っておこう。
実は私に只々不思議な出来事が起きる。私はおそらく、『正夢』を見ていると思う。
といっても、害があるわけでもない。何故か全く『意味のない』正夢を見る。
例えば、夢の中で『一軒家』『大きな畑』『自分は海に浮かんでいる』この3つの光景を夢で見たことがある。
それから2、3週間後にその光景を〈ゲーム〉の中で見た。
私はゲーム内で見た光景が前に、夢で見た光景と一致している事に気づく。
私は見間違いだと思い考えをやめる、だがその時の思いはずっと忘れられなかった。
他にも、夢の中で本を読んでいたことがあった。
1週間後にネット小説で夢の中で見た本の内容と一緒の『文字列』『内容』を見た。
私は正夢を見た時に共通点があることに気づいた。
一つ目は夢の中で意識がしっかりあること、二つ目は夢とは思えないほど現実味があること。
三つ目は夢の中の人の顔が見れないこと、四つ目は音が聞こえないこと、五つ目は正夢で見たことがが意味のが無いこと。
私はこの五つの考えに気づいた。
そして今日また夢を見た。
私がいる場所はおそらく雪山のだろう、周りには雪が積もっている。寒さを感じないあたりやはり夢なのだろう。
周りを見渡すと、沢山の人々がおりそれぞれが白い着物を着ている、雪山ということもあり白い服は周りに積もっている雪に溶け込んでいた。
私は周りを歩き始めるととある物が目に入る。
現代ではあり得ないほど大きなボロボロの橋、橋の向こう側が見えない。しかも構造は丸太をそのまんま橋にしている、こんなに大きな丸太はあるのだろうか。橋の下には雲が見える。雲が下にあるのに何故雪がここに積もっているのだろうか?
ここは不思議な場所だ、あの人々はどうやってここにきたのだろうか、周りは崖に囲まれ下が見えないほど高く到底登ることなどできない。あの人々は着物を着ていた、恐らくここは日本なのだろう。だが日本にこんな場所はないはずだ、見渡す限り一面真っ白で、下が見えないほど高く、人がいる。富士山でもここまでは無い。この場所を例えるならまるで浮島のようだ。
私は今にも落ちそうな橋を渡り雪の大地を踏む。
橋を渡っている時の記憶は無い、まるでワープしたかのように。
橋を渡り終えた先には大きな岩山が見え、雪が岩を隠すかのように一面に積もっている。
私はその光景に驚きながら周りを見渡す。
すると、私はいつのまにか崖の近くに来ていた、そして隣には子供が三人立っている、青い着物を着ている男の子が一人、緑の着物と茶色の着物を着ている女の子二人だ。
隣の子供達は私に気づいておらず崖側に向かって歩き始める。
私は「危ないよ」っと止めようとしたが体が動かない。
すると男の子が走り出し、崖からジャンプして飛び降りていった。
女の子二人が崖側にたどり着き、茶色の着物の女の子が緑の着物の女の子の背中を押し、緑の着物の女の子は飛び降りていった。
緑の着物の女の子が落ちていき、茶色の着物の女の子も後を追うように飛び降りていった。
私は目の前の光景を只々見ることしか出来なかった。
視点が変わった、どうやら私は最後に飛び降りた茶色の着物の女の子になったようだ。
下は見えない。
落ちていった
どんどん落ちていった
他の二人も見えないほど落ちていった
地面が見えた
白い地面の中に赤で塗られたような地面があった
私の視点の女の子は笑っていた、何故笑っているのだろうか?
地面に衝突した
女の子の体から赤い液体が流れている
私はもう女の子が死んでいることがわかった
私は浮かんでいた。
視界は不安定でぼやけているが、私の下に子供だった物がある。
人が死んだらこんなふうになるなんて知らないはずだ、ここは頭の中…夢の中のはずだ。なぜ私の知らないことが起きるだろうか。なぜこんなにも生々しいんだ?なぜこんなにも………『現実味』があるんだ?
すると、私の視点は電源が切れたかのように真っ黒に染まった。
目を開けると白い天井が映る、私は夢から覚めたようだ
「………っ!」
私は夢で起きた出来事を思い出し、急いでパソコンを起動し、調べた。
すると、数年前のとある記事が見つかった。
北海道で三人の子供の遺体が見つかったという記事だった。遺体は腐敗が進んでおり何十年も前の物だと判明した。
私は急いで日記を取り出し夢の中の出来事を書き記した。
記事を見ながら書こうとすると、……ページが無くなっていた。
「…………………」
あの浮島はなんだ?白い着物の人々は誰だ?何故雪が積もっている?なぜ橋を渡った記憶が無い?子供達はなぜ飛び降りた?正夢じゃ無いのか?なぜ記事が無くなっていたんだ?
…
……
………
…………
……………
正夢は過去を見せてくれるのか?なんの意味があるんだ?誰かが何か伝えようとしているのか?それは何故だ?
神様は教えてくれない。
しかたない、無数にある謎は私一人で解くようだ。