〜さあ、ここから始めよう。誰のものでも無い俺の物語を〜
ガンッ!ガンッ!ガンッ!と、とても木刀同士がぶつかったとは思えない轟音が道場の中に響いた。
その音の発生源は、道着姿で、向かい合っている2人の少年だった。
その片割れである俺、神城紅蓮は、両手にそれぞれ木刀を持って構えていた。
いわゆる二刀流である。俺は今、幼馴染みである氷室透と、模擬戦という名の死合をやっていた。
透は、もちろん俺とは違って、しっかりと堅実に一刀流である。
ところで皆さん!皆さんは某黒の剣士さんをご存じだろうか?
なんと言ってもあの16連撃が有名なのですが、やはり、現実はそんなに甘くはないのです……
そもそもの問題として、片手で剣を振ると、剣の達人でもない限り致命傷を与えることが出来ないのだ。
そして何より隙が大きくなり、そのくせ反撃がまともに出来ないので剣道の試合でも使う人は滅多にいないのだ。
俺だって元々は一刀流だった。俺の剣才は、十年に一度とまでに言われたが、俺は自分の才を自慢したことなど一度も無い。
いつだって透が俺の前を進んでいた。ようやくアイツと同じステージに立てたと思ったらアイツは俺の先を俺が追いつく以上のスピードで透は俺を突き放していったのだ。
もう中学一年になった時には、三十秒もしないうちに勝敗がつく様になっていたのだ。
俺は半ぱやけくそになって、このまま一矢報いることが出来ないのなら、粋狂だと馬鹿にされてもいいと考え、透に二刀流で戦ったのだ。
その時俺は透の本気の猛攻に1分耐える事が出来た。
殆どの人々がたった1分だと考えるだろう。しかし、俺にとっては1分も耐えた事に喜びを隠せなかったのだ。
そこから俺は透に勝つためにアイツの何倍も剣を振り、どうすれば勝てるのか考えて、この4年間を過ごしてきたのだ。
そして今日、俺は透に勝つ!!
「【終焉の剣】!!」
「っ!!」
先週にようやく完成させる事ができた俺の必殺技。
俺は透の斬撃を受け止めてその力を利用して加速する。
この奥義は、片方ので得た力を、もう片方の剣と身体に伝えることで爆発的な力を生み出し、身体がその力を維持、制御する事で加速していく俺の至った一つの極地なのだ。
作用反作用の法則は皆勉強してる人なら1度は聞き覚えがある言葉だろう。
俺の作ったこの技は、相手から受ける衝撃に留まらず、自分自身が攻撃した時に発生した反作用する力をも利用して、確実に加速するのだ。
一撃目、左手による