番外編 女帝の娘
私のお母様は、女帝王としてオフィリア帝国に立たれている。
そんなお母様をお父様は支え、そして帝国の繁栄のために尽くしていらっしゃるの。
私は今年で十歳。
それでね、私、思い出したことがあるの。
私、このゲーム知っているわ。
でもおかしいの。レスターお父様は当て馬キャラだったはずなのにお母様と結婚しているし、ヒロインだったはずのマリア様は、レイズ王国のお妃様の筆頭メイドになっていてあった時には驚いたわ。
ゲームのようできっとゲームではない世界なのね。
「アリス姫様。またそんな所で、、、。今日は一体どうしたんですか?」
木の上でのんびりと座っていると、いつものようにエドモンドが心配げな顔で私を探しに来るの。
私はにっこりと笑うと、木から飛び降りた。
「アリス姫様!」
エドモンドは見事に私をキャッチしてくれる。
「ふふふ!エドモンド!大好きよ!」
何故か攻略対象のエドモンドは私の護衛頭となっていて、私はそれに気づいた時とっても嬉しかった。
だって、エドモンドは私の推しだもの。
エドモンドはその言葉に顔を可愛く真っ赤に染めると苦笑を浮かべた。
「アリス姫様は私に毎日幸せを下さいますね。」
エドモンドは多分、お母様の事が昔好きだったのだと思う。
今は多分どちらかというと忠誠って感じだけれど、お母様の事を話すときのエドモンドの顔はとても優しくてそうだったのだろうなって私でも分かった。
だからね、私思うのよ。
エドモンドはきっと、お母様の娘の私の事がとってもとっても可愛いはずだって。
「エドモンドが幸せだと私も嬉しいわ。」
にっこりと笑ってそう言うと、エドモンドは嬉しそうに笑うの。
こんなスチルはゲームでは見られなかったから、私の特権だと思うわ。
けれどごめんなさいエドモンド。
きっと後五年後には貴方を困らせる事になると思うわ。
「だからずっと私の傍にいてね。」
「ええ。ずっとお傍にいますよ。」
私が十五歳になる頃には貴方は三十四歳。ふふ。私的にはとっても良いと思うの。
「エドモンドの事は私が絶対に、ぜーったいに、幸せにしてあげるからね。」
「今でも幸せですよ。」
「あら、今よりもっとよ。大丈夫。私には二人も弟がいるから、心配ないわ。」
「え?」
「お母様ならきっと分かって下さるわ。それにね、私は王様には向かないから、いいと思うの。」
「?あの、姫様、何を言っているのですか?」
首を傾げるエドモンドもとっても可愛くて素敵。
「ふふ!私がエドモンドを大好きだっていう話よ!」
「?」
大丈夫よ。
私が絶対に幸せにしてあげるからね。
五年後、リリアーナの後押しの元、アリスのエドモンドに絶対に嫁入りすると言う強固なまでの意思に、エドモンドが根負けするのは想像に難くない。




