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皇女は当て馬令息に恋をする  作者: かのん


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第四十七話

 レスターとヨハン、アレクシスとの間で火花が散っている時であった。


 ジョウロを片手にエドモンドが現れると、にこやかにオーレリアに言った。


「オーレリア陛下。妖精達と花に水やりをされますか?」


 その言葉に、オーレリアは瞳を輝かせるとうなずき、ジョウロを受け取った。


「水を汲んでまいりますわ。妖精さん達も行きましょう?レスター様、行ってきてもよろしいですか?」


 レスターはにこやかにうなずいた。


「ええ。もちろんです。私は少し彼らと話があるのでここで見ていますね。」


「はい。ふふ。皆様少し失礼いたしますわ。」


 オーレリアが嬉しそうに水汲みに行くと、エドモンドはにこやかな笑みを消した。


 レスターははっきりとした口調で三人に向かって言った。


「オーレリアと私は婚約状態となっていますが、文句があるようですね?」


 ヨハンは腕を組み、レスターを見据えて言った。


「少し前までマリア嬢を目で追っていたキミが、何故?納得できかねる。」


 アレクシスもレスターを睨みつけて言った。


「キミとオーレリア嬢とではつり合いが取れないのでは?」


 その言葉を受け止めると、レスターははっきりとした口調で言った。


「マリア嬢については、オーレリアに出会って目が覚めたとしか言いようがない。ウソ偽りなく、今、私はオーレリアの事だけを愛している。つり合いか、、、確かに、私ではまだまだオーレリアの横に立つには力が足りないかもしれない。だが、これから先、どんなことがあってもオーレリアを支えていけるように力をつけていくつもりだ。」


 迷いのない瞳と言葉に、ヨハンもアレクシスも苦々しげな表情を浮かべた。


 そして、エドモンドはゆっくりと口を開いた。


「俺は、自らにはオーレリア陛下の横に立つことは叶わぬと、承知している。だからこそ、今後の一生を陛下に忠誠を誓い、手となり足となり、支えていこうと心に決めた。そして、レスター殿は、今回の件、最もオーレリア陛下が傍にいてほしい時に、その傍らに立ち、力になった。ヨハン殿下、アレクシス殿下、立場から離れられぬ貴方方は、今回の件で、オーレリア陛下の横に立ちえる権利を永遠に失ったのだよ。」


 ヨハンとアレクシスはその言葉に息をのむと、ゆっくりと、息を吐いた。


 エドモンドは、レスターに笑みを浮かべると言った。


「オーレリア陛下を頼む。」


 すっきりとしたエドモンドの表情に、ヨハンとアレクシスは何も言い返すことが出来ず、そして踵を返すとその場から立ち去った。


「お二人も、しばらくすれば頭が冷えるはずだ。では、俺も陰ながら護衛をしている。」


 そう言うと、エドモンドはその場から姿を消した。


 レスターはエドモンドの言葉を反芻すると、小さな声で自分に言い聞かせるように呟いた。


「一生を掛けて、オーレリアを守ると誓おう。」


 花畑で妖精と共に楽しげに水をまくオーレリアを、レスターはまぶしいものを見るかのように見つめ、そしてその横に立つために足を踏み出した。


「レスター様!」


 にこやかに自分の名を呼んでくれるオーレリアが愛おしく、レスターは頬を緩ませた。







 




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