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皇女は当て馬令息に恋をする  作者: かのん


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第四十話

 リリアーナは立ち上がるとレスターに言った。


「良かったわね。私、この城の中ならもう目隠しをしたってどこへでも行けるくらい探検したのよ。」


「侍女らはどうしたのですか?」


「アルバス軍隊長が捉えられた事で内部で混乱が起きているようなの。侍女もかなり気がそぞろで気がつけば誰もいないこともあるのよ?今みたいにね。」


 その言葉にレスターは目を丸くした。そしてそれと同時にリリアーナの簡素な様子に納得がいった。


 リリアーナは生粋の王女である。そんか彼女からしたら自分の回りに人がいないということの方が希であろう。


「大丈夫、、、でしたか?」


 レスターは、幼い時から顔をよく会わせていたリリアーナの性格をある程度は理解しているつもりであった。


 だからこそ心配になったのだが、リリアーナは唇を尖らせると言った。


「大丈夫なわけないでしょう?私の見方はいないし、何かがあったことは分かるけれど私は動けないし、お父様はどうせ私の事なんてどうなったっていいのでしょう?」


「そんなわけは、、」


「あるでしょう。私だって、こんなの王女らしくないって分かっているわ。王女ならば立派に勤めを果たすべきだって、、でも、、、。ごめんなさい。聞かなかったことにして。さぁ、着いてきて。案内するわ。」


 歩き始めたリリアーナの後ろに着いていきながら、だいぶリリアーナが拗れてきているとレスターは溜め息を着きたくなった。


 リリアーナは決して悪い子ではないと思う。昔から長いものには巻かれる派ではあったが、リリアーナがこんなにも拗れてしまったのは父親との関係性のせいだろう。 


 しばらく廊下をくねくねと進んだ後に、離れの建物から地下へと階段を下りていく。


 あまりに迷わな過ぎるリリアーナの足取りに、レスターは本当に大丈夫なのかと、心配になってきた。


 そんなレスターの気配を察してか、リリアーナははっきりとした口調で言った。


「私昔から迷路は得意なの。ほら、ここがアルバス様の捉えられている牢よ。先日侍女が東離れの地下の牢に閉じ込められているって言っていたから、面白そうだと思って一度見に来たの。看守はかなりいい人よ。ここよ。」


 リリアーナが迷うことなく扉を開けると、そこには年老いた看守が一人座っていた。


「おやおや、またおいでですか?今日も探検ですかな?」


 看守は顔をあげるとそう言い微笑んだ。


「ダダロフさん。違いますわ。今日はアルバス様にお話に来たの。」


「おやおや。ですがやめた方が貴方様の為です。わしが警笛を鳴らせば、すぐに他の騎士が来ますし、扉の鍵はどれがどれかはわししか分かりません。」


 その言葉にリリアーナは笑みを浮かべると言った。


「なら、内緒にしてくださいな。この国の為にですのよ?」


「この国の?」


「ええ。無益な血を流さないためです。ね?」


「本当にですかな?」


「ええ。貴方にも何かしらの情報は入ってきているのでしょう?」


「ええ。まぁねぇ。」


「なら、今貴方がするべきなのは私達への協力よ。ね?お願い。」


「本当にこの国のためなのですね?」


「ええ。お願い。ね?」


 可愛らしくそう言うリリアーナに看守は笑い声をあげると、秘密と言わんばかりに自分の目を手で覆うと、ポケットから鍵の束を手渡した。


「内緒ですぞ。リリアーナ様は王女様ですから、わしは逆らえますまい。星のマークの鍵が扉の鍵だなんて!わしは教えておりませんからな。」 


「ええ。もちろんよ。さぁ!レスターいくわよ。」


 レスターが目を丸くする中、リリアーナは扉を開け中へと入っていった。


 こんなにもざるで良いのかとレスターは思ったが、看守も何かを感じ取っていたのだろう。それにこれはリリアーナの人柄もあるのだろうなと思った。


 昔から父親以外の年上に甘えるのがリリアーナは大の得意だったのをレスターは思い出した。


 中にはいくつもの牢があり、そのひとつに両腕を壁に縛り付けられ、虚ろな目をした男がいた。


 それは手負いの獣のような瞳をしており、リリアーナとレスターを睨み付けた。





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