表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
皇女は当て馬令息に恋をする  作者: かのん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

39/52

第三十九話

 オランドは静かにその場に膝を着き、意気消沈した面持ちで項垂れた。


 アルバスはその光景から視線をレスターとオーレリアへと移した。


 戦わずして、帝王を追い詰めることができたのはレスターと、そしてリリアーナ王女の功績が大きい。 


 実のところ、アルバスは自分がへまをして牢に入れられてしまいオーレリアに会わす顔がなかった。


 だが、レスターがリリアーナ王女に面会し、そして自分を牢から出すために手を尽くしてくれたからこそ今、ここに自分は立っていられる。


 牢にいた数日前の自分は死人のような顔をしていたであろう。


 その時の事と、リリアーナの様子を思いだしてアルバスは笑みを浮かべた。



※※※※※※※※※※※



 レスターは馬を走らせオフィリア帝国につくと、王の名代としてリリアーナへの面会を願った。


 オランド帝王はこちらに構う気がないのか、リリアーナとの面会は思いがけずすぐに行うことが出来た。


 だが部屋に通されたレスターは眉間にシワを寄せた。


 通されたはいいものの、あまりの警備の薄さに驚いてしまう。


 リリアーナは簡素なワンピースを着ており、少し顔色の悪い様子ではあったが、無事であることにレスターは安堵した。


「誰が来たかと思えば、レスター様ですの?」


 挨拶もせず、少し落胆した様子のリリアーナにレスターは苦笑を浮かべると言った。


「私で申し訳ありません。リリアーナ王女殿下、ご無事で何よりです。」


「無事は無事よ。それで、何が起こっているのか教えてちょうだい。」


 レスターは頷き、簡単に説明をすると手紙をリリアーナに渡した。


 リリアーナは父親からの手紙を読むと眉間にシワをよせ、すぐに畳んでしまうと、もう一つの手紙を読み出し、そして、ハンカチで目を押さえた。


 レスターはその様子を見守り、じっとリリアーナの言葉を待っていた。


 リリアーナは大きく息をはくと顔をあげてレスターに言った。


「それで、私に何をしてほしいのかしら?」


 その言葉にレスターは笑みを浮かべた。


「良かった。帰りたいと泣き言を言い始めるのかと思いましたよ。」


「あらレスター。私の性格を分かっていてそんな意地悪を言うのね。」


「申し訳ありません。ですが、貴方が頑張っておられることは、分かっているつもりです。」


「ふふ。まぁ良いわ。それで?」


「牢にアルバス殿が捉えられていると聞きました。その方と面会したいのです。」


「あらそれなら簡単よ。」


「え?」


「この城、今は警備がざらなの。」


 リリアーナはにこりと可愛らしく微笑んだ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ